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「ひゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

荒野に囲まれた廃墟の一角に、起動音…じゃなくて絶叫が響き渡る。

その悲鳴は上空で項を描き、荒野の一角に着地する。


 ドスン!

鈍い音とともに土埃が舞い上がる。しばらくして土埃が落ち着いた頃、音の原因であった物体が散乱しているのが見えてくる。バラバラに散らばった部品類や配線と思われるコード、潤滑油と思われる透明の液体、美しく輝くガラス製の眼球が斜面を転がり落ちてゆく。無惨な姿をさらす少女の機体に向かって何かが遠くから近づいて来た。


 ドドドドド!!

騒音とともに黒い噴煙を上げながら、パロと言う名の巨体重機が疾走する。

ブシューン!

元は少女の機体であった残骸の前で停止し、頭の部分をつまみ上げた。

パロは巨大な口のような扉を開けると、その中に飲み込んでしまった。


●「わぁぁぁぁん!!」

今度は丸い球体が大慌てで翼をバタつかせながらやってくる。

●「ごめんなさい! ごめんなさい! ここまで高威力だとは思わなかったんですぅ!!」


 残骸の周りをクルクルと回りながら、必死で何かの言い訳を始めた。

●「荒野は危険がいっぱいだから……旅をするには武器が必要なんです!」

●「だから機械人に取り付けられるレールガンをご提案したんですぅ!」

●「廃墟の奥で見つけた武器で……すっごくカッコよかったんですっ!」

●「エルフィラ様に取り付けたら、きっとものすごく素敵だなって!!」

●「でもでも! まさか撃ったら飛んでいくほどの威力だなんて知らなかったんですぅ!」

●「……エルフィラ様……怒っていらっしゃいますよね?」


 精霊イオは、残骸の中ほどに降り立ち、クルリと一回転した。

次の瞬間、青色の閃光が周りを照らし出す。


●「どどどどどどどどどどど」

青い閃光は円形に高速回転を始め、残像が輪になり始める。


●「どどどどどどどどどどど……どうしょぉぉぉっ!!」

●「エルフィラ様が死んじゃった!! 私のせいだぁ!! うわぁぁぁぁん!」

円形に回転する閃光の輪は、今度は紫掛かった色に変化し無軌道な回転を始めた。


●「うううっ!…せっかく助けてもらったのにぃ……ごめんなさぁぁぁぁい!」

輪の軌道は次第に小さくなり、ブルブルと震えながら地面に落ちていった。


 パシッ!

精霊イオを受け止める白い手、イオが手の上で振り向くとそこには壊れて失われたはずの機械少女、エルフィラがイオを受け止めているのだった。


 無傷の美しい機体の後ろにはパロが大きな口を開けて座っていた。

●「あえっ?? えっ? エルフィラ様? ……エルフィラ様ああああっ!!」

●「ごめんなさい!!  私っ!!  私はっ……」


 エルフィラと呼ばれる機械少女は、優しく微笑みながらイオを見つめている。両手でイオを包み込み、胸に抱き寄せて語りかける。


「私のために頑張って見つけてくれたんでしょう?」

「それに私の胸に名前が書いてあるのを見つけたのもイオなんだから」

少女の機体の胸には小さく「ELFIL-a」と刻印されていた。

「頑張ってくれてありがとう……イオ!」

●「ああ…私には顔が無いけれど……きっと涙が溢れているはずです……」

●「こんなに優しいエルフィラ様にお会いできて……イオは……イオは本当に嬉しいですっ!!」


!!カッ!!

今まで見たこともないような閃光が周囲を包み込む。

エルフィラの白いボディが光の中に溶けてゆく……


その日、エルフィラは再びパロのお世話になる事になった……

書いていくうちにイオのキャラクターが固まってきました。どうだったでしょうか?

この続きも読んで頂ければ嬉しいです。よろしくお願いします

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