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プロローグ

 性懲りもなくまた同じ世界について書き始めました。


 今度は週一を目標に投稿していきます。


 前回よりはずっと長くなる予定です。


 それではどうぞ。

 若い男女の石像がある……。


 人が訪れなくなって久しいその部屋は、石壁は風化し、荘厳な造りだったであろう柱は今にも崩れそうな様子である。


 そこに立つ、2体の石像。


 男の方は、優しげな雰囲気の顔立ち、。しかしよく見ると、しっかりとした体つきをした青年の像だった。


 対するに、女の像は、鋭い目つきをして、自信に溢れた出で立ちをしている。


 どちらも、等身大の像で、まるで本物のような錯覚に陥る。



 静まり返った部屋に、不意に足音が響く。


 複数の足音が、広い室内に響き渡った。



「ガタッ」


 何十年、あるいは何百年と開かれることのなかった部屋の扉が、「ギィ」と嫌な音を立てて開く。


「ここが、最後の部屋か」


 やって来たのは、冒険者らしき出で立ちをした、五人の男女。最初に入って来た、ロングソードを腰にさした男が、感慨深げに呟いた。


 彼らは、長い戦いを経て、ここにたどり着いたのだろう。身に纏う衣服は擦り切れ、表情には疲労が見え隠れしていた。


 それでも、ここまで来た目的を果たそうと、しっかりした足取りで、部屋の奥を目指す。


 弓を持った別の男が、部屋の奥を指差して言う。


「あれ……、あの石像じゃない?」


 冒険者達は慎重に、石像に近付く。


 盗賊シーフの恰好をした者が、罠がないか確認する。


「……大丈夫だ」


 その言葉を聞き、長いロッドを持った女が、像を見据え、呪文を唱えようとする。


「待ってくれないかな?」


 唐突に、冒険者以外の誰かの声がした。


 突然のことに、魔法使いは喉まで出かかった呪文を飲み込んだ。


 辺りを見渡す魔法使いの視界に、石像が動くのが映った。


 先程まで微動だにしなかった石像は、いま、ゆっくりと、冒険者達の方へ歩いて来ている。


 冒険者達は、直ぐさま身構えた。


 ゆっくりと、女の像の口が開く。


「……安心しなさい。君達に害を加えようという訳じゃない。ただ、少し、私達の話を聞いて欲しいだけ。遠い昔、まだ世界が暗闇に覆われていた頃、地には魔獣の雄叫びが、天には人の歎き悲しむ声が木霊していた頃の、ある少年少女のお話を……」

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