番外編① ~レオナルドの受難(前編)
「頑張れ、レオナルド君!」の回です。
「レティ、レティは紅茶とハーブティとどちらが好き?」
「どちらも好きよ。 お茶菓子によるかしら?
あと、寝る前は絶対カモミールティーを飲むわ!
レオは?」
「俺はね・・・」
「レティ姉様! アンハルトの古語について、教えてくださいませ!!!」
さわやかな秋の午後、風が心地よくそよぐ庭園の東屋で語り合うカップル、
・・・の会話をぶった切る大きな声。
「あら、アビー。今から? 今はレオとお茶の時間だから帰ってからね。ね?」
「分かりました。ではレティ姉様が終わるのを待っております」
そう言って邪魔者は、ずけずけと同じテーブルに座ってきた。
「おい、勝手に座るな。邪魔するな。
待つなら他の所で待ってろよ。
って言うか、何で王宮に用事もなく来てるんだよ」
レオナルドが大人げなく応戦している最中から、顔が曇っていくアビゲイル。
「わたくしはこの様な性格ですから、お友達がいないのです・・・。
施政者として、舐められないようにと教育されましたので・・・」
悲し気に俯くアビゲイルを、レティシアは席から立ちあがって抱きしめに行く。
それは、もうギュー——————————っと。
(あーーーーーー!!! 俺の・・・)
レティシアのふくよかで柔らかそうな胸に顔をうずめた途端アビゲイルは、レオナルドに挑発的などや顔を向けた。
それは、もう、・・・誰が見ても瞬時に沸点を超えさせてしまいそうな、完っ璧などや顔で。
「かわいそうなアビー!
だけどいつか、あなたの良さに気づいてくれる人はいるわ!
だって、あなたはこんなにも可愛いんだもの!
一緒に学園に通えるようになったら、私がポジティブキャンペーンをして、みんなに本当のアビーを知ってもらうんだから!!!
さ、一緒にお茶をしましょう。
いいでしょ、レオ?
セラ、準備をお願い」
レオナルドは、微笑みを浮かべたまま、固まった。
翌日学園で。
「お早うございます、殿下」
しれっと挨拶をしてくるレティシア、ではないアビゲイル。
レオナルドの眉毛がピクピク動く。
「お早う。
最近は(鼻血を噴かずにレティシアと対面できるようになった)王妃殿下に邪魔されるようになったから、二人のお茶会は特別なんだ。
今後は邪魔をしないように。
寂しいならアントンに遊んでもらいなさい」
しれっとアントンに押し付けるレオナルド。
「フッ。 もしレティ姉様があなたと二人っきりでお茶をしたければ、わたくしの同席を認めませんわ。
つまり、あなた様が選ばれなかっただけでございます、で・ん・か」
レオナルドは忌々しそうにアビゲイルを睨みつける。
「それではご機嫌よう」
完璧なアルカイックスマイルで、アビゲイルはその場を離れ・・・る前にもう一言。
「レティ姉様のやわらかいお胸は、まだあなたの物ではございませんので。
って言うか、そんなお下品な想像をするなんて、レティ姉様に言いつけてやろうかしら?」
レオナルドの表情がごっそり落ちた瞬間だった。
「しょうがないじゃないか! 思春期なんだから!!!」




