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今回も自称ヒロインのターンです。
ご機嫌よう、皆様。
みんなのヒロイン、リンカ・マインツでございます。
今日は貴族学園の入学式です。
クラス分けは成績順でAからⅮとなっており、私は残念ながらⅮクラスとなってしまった。
これはしょうがない、だって少し前まで庶民だったんだもの。
もう少し早く前世の記憶を思い出していれば、Cクラスからスタートできたかも知れないのに!!!
残念!!!
でも、まぁいいわ。
1年後の最終試験でトップの成績を取れれば、「愛し子」になれる。
乙女ゲームではイベントをこなすだけだったけど、リアルではイベントこなしながら成績を上げないといけないから、これから忙しい1年になるわ。
でもしょうがない。
レオ様を射止めるには頑張るしかないのだ。
それに相手はレティシア・オルティースだから余裕だろ。
リンカは入学式で一人ほくそ笑んだ。
乙女ゲームに出てくるレティシア・オルティースは、「愛し子」の娘として、そして王妹の娘として、どちらの国でもちやほやされまくった人生だったため、とても高飛車だった。
それに、一体なんで作画担当者はそこで手を抜いたのかというほど、平々凡々な容姿なのである。
さらにぽっちゃり。
高飛車で不美人、さらに政略で決められてしまったため、レオナルドとの仲は最悪である。
レティシアはよくレオナルドに話しかけているが、レオナルドは愛想をどこかに落としてしまったような表情で返事をしている。
そのレオナルドが在校生代表として壇上に上がった。
やばい・・・。
生レオナルド・・・。
ありゃ歩くフェロモンだわ・・・。
やばい、あれと結婚するの?
人生勝ち確じゃん!
どうしよう、どうしよう、どうしよう~~~~~!!!
興奮している間に式が終わってしまった。
クラスに行くとモブだらけ。
せめてCクラスだったら攻略対象者がいたのに、残念。
まぁイベントで回収していこう。
そう、思っていたのに。
なんでレオ様と、侯爵令息のアントンが落とせないの???
どんなに頑張ってもニアミスで、目線すら合わない。
半年経ってようやく騎士団長の息子のオスカーと、裕福な商家の嫡男であるフランツを侍らすことができた。
しかし二人を攻略するのに時間がかかったため勉強が追い付かず、前期の試験ではぎりぎりCクラスに入れるかという成績しか修められなかった。
これでは残り半年でAクラスに入る成績を修められない。
しかもレオ様とアントンは、オスカーとフランツとは比べ物にならないほど難易度が上がる。
どうしよう、どうしよう、どうしよう!!!
しかも肝心のレティシアが一切自分に関わってこない。
レティシアの目線にさえ入れないのである。
これじゃぁレオを攻略できない。
本当は出したくなかった・・・。
失敗すると逆ざまぁがあるかもしれないから。
だけど見た感じレティシアに前世の記憶は無さそうだし(あったらもうちょっと性格変えるでしょ)。
しょうがないから、奥の手を使うことにした。
秘技「悪役令嬢にいじめられた女の子風 ~でも、悪役令嬢にいじめられたとハッキリ言わない~の、隠し味を添えて」!!!
裏庭で泣き真似をしている私に最初に気づいたのはアントンだった。
「・・・オルティース家の令嬢が?
そうですか・・・。
彼女の場合はただの礼儀作法の注意と思われますが・・・。
念のためレオナルド殿下に伝えておきましょう。 彼女のことは私ではどうしようもないので・・・ね。」
やった!!!
そうよね、侯爵令息じゃあ筆頭公爵家の令嬢に何も言えないよね。
でもそのおかげでレオ様に現状が伝えられるから、私としては最高の展開よ!
やっぱヒロインよね♡
それから数日後、レオ様に謝罪されて一緒にお茶をした。
生レオナルドに興奮してかなりやばかったけど、何とか健気で頑張り屋の、未来の「愛し子」アピールができた。
レオ様も今頃私の事を考えて、悶々としてるはず!
だって、あのレティシアと比べれば・・・ねぇ。
そのお茶会後、時々レティシアから見つめられる事が多くなった。
何か言ってくるわけではない。
が、ただジッと見てくる。
何?あいつ・・・、陰キャ?
マジでキモイんですけど。
レオ様の卒業式で断罪したら、どっか修道院送りとか国外追放してやろうかしら???
レティシアは「愛し子」の娘の為、乙女ゲームでも断罪はされても、罰は何も受けなかった。
ただアンハルト王国に戻っただけだった。
この乙女ゲーム、そこが気に入らなかったのよね~。
今は何もしてないけど、ゲームではヒロインのリンカをいじめてたくせに、罰を受けずに終わるなんて。
私が「愛し子」になったら、妖精に頼んでアンハルトでも生きていけないようにしてやろうかな?
レティシアの事は別に嫌いじゃないけど、1度はざまぁしたかったのよね~。
レオ様の卒業まであと3ヶ月、順調順調!!!