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【完結済み】愛し子のトリセツ  作者: 西九条沙羅
第一章

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19/50




その部屋に入ってすぐレオナルドは、少し前かがみに俯いて鼻を押さえ、何かを堪えるように目をぎゅっと瞑った。



もしここに宰相かエリアスがいれば、「わー、親子!」と言っていただろう。



しかしここには、同じ様に乗り越えてきた戦友しかいないのだ。






貴賓室の一角に大きく山積みされた、赤く染まったティッシュがそれを物語っている。










貴賓室の奥、鏡の前に佇み、現れたレオナルドにこぼれんばかりの笑顔を向けて振り返ったのは、卒業パーティの為に盛装した妖精姫、レティシアだった。











貴族の子女は社交界にお披露目される為に15歳でプレデビューをする。

そして18歳の成人で完全にデビューすると、夜会に参加できる。

それまで学生はお茶会などには参加できるが、夜会は学園で開催されるものにしか参加できない。


それはリンゲンでもアンハルトでも同じ。



しかし森に居たレティシアは社交界プレデビューをしていなかった為、今回の卒業パーティでプレデビューすることとなった。



プレデビューで貴族女子が着る真っ白のドレス。




総レースで出来たそのドレスは、ハイネックでピッタリとスタイルに沿うデザイン。

そして太もも下から扇状に広がるマーメイドドレスは、レティシアの完璧プロポーションを余すことなくさらけ出す。

手首から先しか露出は無いが、肩回りや鎖骨、腕は裏生地がなくレースでしか隠されていない。




隠されているから色っぽく、そして透けているから艶っぽい。




子供から大人への変換期、その危うい美貌には、軽い化粧しか施されてなく。




また、プレデビューらしく小さなピアスしかつけていない分、そのドレスに細かく、されどびっしりと縫い付けられたダイヤモンドの欠片が、レティシアが動くたびにキラキラと光る。








(控えめに言っても女神だ!!!)








何とか持ちこたえてレオナルドは再度レティシアに対峙する。




ピアスには自分の瞳と同じ色のアメジスト。






それを見た瞬間、レオナルドは鼻血の代わりに涙が出そうになった。






「嬉しい・・・。 かわいい・・・。  キレイ・・・。  大好き・・・」







語彙が死んだ感想だったが、だからこそレティシアの心に響き、レティシアは満面の笑顔でレオナルドに抱き着いた。






「皆、ご苦労だった・・・、本当に・・・。


ボーナス、弾むから・・・。本当に、ありがとう」




レオナルドにそう言われて、セラは鼻にティッシュを挿したまま、臣下の礼を取った。




「こちらこそ、貴重な経験をありがとうございます!!!

もう死んでも構いません!!!

(顔を上げた瞬間レティシアと目が合って)

!!!


あ! もう天国でしたか!!!」






セラは死にそうになっていた。レティシアのキャパオーバーである。




「ダメよ、セラ。 死んではだめ。


皆も知っての通り、お母様も私もずっと森にいたから、流行りとか全然分からないの。

皆がいなければこんなに素敵に変身できなかったわ。


ありがとう!」






実は今回お披露目デビューするにあたって、王城で準備をするため、王城の侍女から選抜チームが選ばれることとなった。


しかしそれに待ったをかけたのが公爵家の侍女たち。


やっと自分達の姫様がリンゲンに帰ってきたと思ったら、初めての夜会の準備を、王城の侍女に取られるとあって物申してきたのである。


しかし所詮は侍女、貴族の娘たちがほとんどである。


口喧嘩で罵り合っているところを、物理で黙らせたのがセラであった。




普段、王太子執務室のメイドのセラ。


しかしそれは、レオナルドが信頼を寄せる人間の入れた飲み物しか飲まないため、伯爵令嬢であるセラは、侍女にならずに王太子執務室専属メイドとなったのだ。




騎士団長によって鍛えられた体術で他の侍女を投げ飛ばし、自分が筆頭を勝ち取ったのである。




そして物理で黙らせた公爵家と王城の侍女を並ばせて、東洋の国で流行っている「あみだくじ」なるもので今回の選抜チームを選んだ。








「みんなもありがとう!」








選抜チーム全員が鼻血を出した。






(コンコン)






そこで侍従長が絵師を連れて貴賓室に入ってきた。






「トーマス。 お前が呼んだのか? 気が利くな!」

「いえ、王妃殿下でございます。」

「あー、あのティッシュの山はやはり母上だったか」

「いえ、あのティッシュは侍女たちの物です。

王妃殿下のはあちらです。」



そう言って侍従長が指したカーペットには一筋の血の跡。



(殺人事件の現場みたいだな・・・)




「王妃殿下はレティシア様を見た瞬間に、虹の様なアーチの鼻血を噴かれまして、そのまま後ろにお倒れになりました。


そして気絶する寸前に気力を振り絞ってこのトーマスに、絵師を呼ぶように言われたのです。


・・・それが最後の言葉でした」




(遺言みたいだな)




レオナルドは母親の部屋のある方角へ黙祷し、気持ちを切り替えてレティシアに笑顔を向けた。





「では母上の希望通りに絵師に書いてもらおう。 ツーショットで!」

「殿下はダメです」




レティシアに近づこうとしたレオナルドの首根っこを、アントンが掴んで制止した。





「何で!!!」




「これから卒業パーティの、例の打ち合わせをしなければなりません。

もうすぐ始まるのですから」

「打ち合わせなんて、これと言って無いだろ!?」

「あります。 これはレティシア様の今後の安寧の為なんですよ?

きちんと準備しなければ!


大丈夫です、殿下。この世には合成という技術がございます。


プレデビュー時の殿下を合成で追加して頂きますので、念願のレティシア様とのツーショットは問題ありません」




「そんな~・・・」




泣き言を言うレオナルドだったが。




「まぁ! そんな技術があるのね? 凄いわ~!


レオ、お仕事頑張ってね♡ 後でね♡」






レティシアの一言で、侍女たちから文字通り追い出された次代の王である。








レティシア最強説!

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