表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/50




「え? レティシアがいじめをしている???」










アビゲイルがレティシアとして入学して半年、大きな問題もなく、この半年間は幸せいっぱいのレオナルドだった。

大好きなレティシアは毎日王太子妃教育を受けに王城にくる。

そして毎日一緒にお茶をする。(アントンとセラもいる。)




学園が休みの日曜には、二人でお忍びで城下町にデートした。(護衛にめっちゃ囲まれていたけど。)


庶民の格好をしたレティは、控えめに言っても天使だった。





薔薇園の東屋ではアントン達から隠れてキスをした。




涙目で頬を染めて見上げてくるレティは、控えめに言っても天使だった!!!!!!
















そんな穏やかで幸せな日常に終止符を打つ、剣呑な情報。








「Ⅾクラスにいるリンカ・マインツ男爵令嬢が、今日裏庭で泣いておりました。

そこを通りかかったので私が話を聞いたところ・・・」


「レティにいじめられていると」


「いや、はっきりとレティシア様のお名前は出しませんでした。

ノートが破られたり靴を隠されたり、この前は教具室に閉じ込められたようです。

その時に、白銀の髪を見たとか、リタによく似た容姿の女の後姿を見たとか・・・。」




「う~~~ん。

そもそも、何でその令嬢はいじめられているんだ?」


「彼女は1年半前まで庶民でした。母親がマインツ男爵の愛人でして。男爵夫人がお亡くなりになったので、男爵家の籍に母親と共に入りました。

最近はオスカーと、平民ではありますがリンゲンで大きな商家のご子息と、仲良くしています。


それが、その・・・、男性との距離が近いということで、一部の女子から疎ましがられているようです。


ただ、いじめには発展していなかったようですが、後期になってからいじめられるようになったようでして・・・」




「う~~~ん・・・。


本人がレティシアからいじめられているのかもしれないと思っているのなら、何らかのアクションを取っておくべきだな。


一度私がお茶に誘って話を聞いてみよう」












それから数日して、レオナルドは学園のカフェテリアでリンカと対面した。






その結果、・・・混乱しただけであった。










以前から男性との距離が近いということで、貴族女子からは遠巻きにされていた。


なのに、後期になってから急にいじめられた。(交友関係に変化が無いのに)


いじめの主導者がレティシアのような、そうでもないような。


本当に主導者がレティシア(アビゲイル)だったとして、この少女をいじめる理由は???


誰かがそう仕向けたとしても、いじめの理由はどう設定しているのか・・・???










現時点ではすべてが不明の為、レオナルドは手を打つことができず、とりあえず情報をレティシアとアビゲイルにも共有することにした。







「まぁ、そうなのね。アビー、気を付けてね」

「大丈夫ですわ、レティ姉様。私にはリタがおりますので。

その女の事を調べてみます。

レティ姉様が来年より何の憂いもなく学園に通えるよう、このアビゲイルが大掃除しておきますわ!」





レティシアに頭を撫でられて、無表情がデフォのアビゲイルがやっぱり頬をピンクに染めた。




大きな尻尾をぶんぶん振る幻覚まで見える。








(くっ・・・。 俺もイイ子イイ子して欲しい!!!)






レオナルドの心の声が聞こえたのか、アビゲイルはどや顔でレオナルドを挑発した。






「大丈夫だよ、レティ。俺の婚約者には指一本触れさせ (ぎゅ~~~~~)




レオナルドの言葉の途中で、アビゲイルはレティシアに抱き着いたのである。


(あーーーーーーーーー!!!)










何だ、何だ、なんなんだ!!!




俺だってぎゅーしたいのに!!!








「大丈夫ですわレティ姉様、この国の洗脳教育は完了しておりますから。

よほどの馬鹿でない限り、レティ姉様に手を出す奴はおりません」




レオナルドは人を殺しそうな目でアビゲイルを睨みつけていたが、アビゲイルの言葉に思考が停止した。






「・・・せ、・・・洗脳教育?」



「はい。「愛し子」を手に入れたいリンゲンの3代前の国王が、国民に「愛し子」の素晴らしさを伝え、「愛し子」に不愉快な思いをさせないよう発行させたのが、『愛し子のトリセツ ”童話 妖精姫様”』です。」




「トリセツ・・・?」




「はい。人とは未知なるものに恐れるものですからね。 


せっかく「愛し子」をリンゲンに呼び入れても、人々が恐れて遠巻きにしてしまっては「愛し子」が悲しみます。

それを危惧したリンゲンの国王が、我がアンハルト先々代国王に相談されたのです。


まだ手にも入れてないし、今後「愛し子」がリンゲンに住むとは限らないのに、とらぬ狸の何とやらとはこの事だな、と我がご先祖様も頭の中でリンゲン国王を馬鹿にして笑っていたのですが」

「何だとぉ?」

「我が国でも、知らず知らずに「愛し子」に不愉快な思いをさせる、外国の大使にうんざりしておりましたので、当時のアンハルト国王が ”童話 妖精姫様” を監修しました」






「だからこの国を筆頭に、近辺諸国の民は妖精姫様として「愛し子」を敬愛しているのです。




()()()()








アビゲイルは何も無かったかのように、音もなく紅茶をすすった。






レティシアは「わ~! アビーは物知りなのね! さすがアビー♡」といって、またもや頭を撫でていた。


















いや、だから何で俺知らないの?









(3代前のリンデン国王)「洗脳だったの!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ