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「ふん ふ ふん の ふ~ん♪」


「ご機嫌ですね、我が国の王太子殿下は」

「そりゃそうでしょ。 

しかし微笑みの貴公子として御令嬢方に大人気の殿下が・・・」



「「音痴だったなんて!!!!」」



「うるさい! 聞こえてるぞ!!!」


側近とメイドのこそこそ話(悪口)が聞こえてきたが、レオナルドのまなじりは下がりっぱなしである。



それもそのはず。




”コンコン”



春の訪れのようなさわやかなノック音。(普通のノック音)



「王太子殿下、レティシア様がお見えです」



扉が開くと、そこには控えめに言っても天使のレティシアがいた。



「レティ! 王太子妃教育、お疲れ様!

さぁ、一緒にお茶にしよう。セラ、用意を」



愛しのレティシアをエスコートして、執務室のテーブルソファに誘う。


そしてしれっと横に座る。



「どうだった? 王太子妃教育は? みんなレティが優秀だって褒めていたよ」

「うふふ、ありがとう。とても解りやすいし、皆様もとっても優しいわ。

レオも政務お疲れ様!」



そうして見つめ合う二人、・・・を見つめる二人。




「・・・お前ら、お茶を出したら下がりなさい」

「「いや、宰相閣下より絶対に二人きりにしないよう厳命されております故・・・」」



(未来の国王ではなく魔王の味方につくとは・・・。

こいつら減俸だ!!!)



アントンとセラを一睨みして、レオナルドはレティシアに向き直る。



「あ~あ、今日も公爵邸に帰ってしまうんだね・・・」

「仕方がないわ。お父様が寂しがるんだもの・・・。

お兄様とも数年間は離れて暮らしていたし・・・。」



あのひと悶着の後、レティシアを自国に連れて帰ってきたレオナルドはそのまま城に戻ろうとしたが、馬車にはレイラも居たため、一旦公爵邸へと向かった。


しかし公爵邸に着くと、魔お・・・宰相が仁王立ちして待ち構えており、レイラとレティシアを屋敷に入れると、レオナルドを蹴飛ばして追い出した。



言葉の綾ではなく、文字通り蹴飛ばして自国の王太子を追い出したのである。




レオナルドは怒り狂って副騎士団長に宰相家の扉を壊させた。



そして屋敷に入り込んでレティシアを王城で住まわすと宣言したが、宰相の根回しによってレティシアは、公爵邸から通いで王太子妃教育を受けに行くことになった。



それならば、教育の時間が延びて帰りが遅くなる日は王城に泊まるという条件を付けたが、レティシアは優秀すぎて、教育時間が延長されることはなかった。



それならばと母親が教育担当の日に、延長してくれるよう自分の母親に泣きついたが、王妃からの教育はいつも時間より早く終わってしまうのだった。



「王妃様は有名な妖精姫様フリークです。

公爵夫人がリンゲンに嫁いで来た時は、結婚式の間ずっと鼻をハンカチで押さえて鼻をすすっていたそうです。

涙が全く出ていなかったので、母の分析によるとあれは鼻血を噴いていたようです。


レティシア様に関しては、童話の妖精姫より若い成人前のお姿。

虹の様なアーチの鼻血を噴いて倒れられました。


授業を延長すれば王妃様は出血多量で儚くなられるでしょう」



アントンの報告を聞いて、レオナルドは舌打ちをした。



レティシアに関しては、父上も宰相に辞められては困るので彼の言いなりだ。



諦めきれないレオナルドであったが、




「それに今はアビゲイルも私の帰りを待っているしね」





そう。



レオナルドの天敵がもう一人、増えていたのである。













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