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【完結済み】愛し子のトリセツ  作者: 西九条沙羅
第一章

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レティシアが泣き止むまで、レオナルドはレティシアを優しく抱きしめていた。

時々ぽんぽんと背中を優しく叩きながら、もう片方の手で髪をすいたりする。



「結局私たちは、両想いってことで、いいのかな?」



レオナルドに顔をのぞき込まれて、レティシアは頬を染めた。



小さく頷いたレティシアは恥ずかしくってもじもじしてしまう。



恥ずかしいけど嬉しくって、何だかこそばゆい。



レオナルドはその虹色の瞳にまた自分を映して欲しくて、だけど目線があわなくて、もどかしくて、




「ちゅっ」




レティシアのおでこにキスをした。




レティシアはびっくりしてレオナルドを真正面から見た。



レオナルドが本当に優しい瞳で自分を見るから・・・。




ボッ!!!




レティシアの顔はゆでだこのように真っ赤に染まった。



(ヤバい、可愛すぎる!!!)




これ以上進んだらレティシアがキャパオーバーになりそうで、自分は歯止めが効かなくなりそうで、だから今日はここまで。

レオナルドはニヨニヨしてしまう自分の口角を、手で伸ばす。




ボロボロの馬車をUターンさせて、レオナルドはアンハルトの離宮へレティシアと共に戻って行った。









「もうびっくりしたわ!

負の感情をコントロールする修行を完了した筈なのに、婚約者がいるって分かっただけであんな、子供の頃の様に大爆発してしまって。

もうすでにレオナルド殿下に恋してたから、知らない人と婚約してたと思って感情をコントロールできなくなってしまったのね。


レティったら、もう! 恋する乙女は感情がジェットコースターなのね♡


あら? じぇっとこーすたーって何かしら???



まぁいいわ! 今日はお赤飯ね♡」



すれ違っていただけだと分かったレイラはすっかり安心し、乙女の気持ちを大暴露。

同性の母親特有の無神経さで、ティーンの心の中を土足で歩きまくる為、レティシアは恥ずかしさで真っ赤になって涙目になった。


因みに、レオナルドも流れ弾に当たり真っ赤っかである。







ディナーの後、レティシアとレオナルドはレティシアの愛馬に乗って、二人が出会った湖にきていた。


やっぱり乗馬服なんて離宮に置いてなくて。

いつもドレス姿で馬を跨いでいたんじゃないか!と心の中でレオナルドはごちる。

(だけどそのおかげで)レオナルドは、レティシアを自分の前に横乗りで座らせて、後ろからレティシアを抱きしめながら湖までやってきた。


恥ずかし気に視線を彷徨わせるレティシアは、控え目に言っても天使だった。




湖の畔で二人並んで座る。



今回はどちらも話さない。


だけど手は握って。



思い思いに湖を眺める。









「明日リンゲンに戻ったら、今後はこの湖にはなかなか来れなくなるだろう。


レティシアは王太子妃の教育が始まるし、結婚したら王太子妃の政務が始まる。



今までの様に、自由なお転婆姫では居られなくなるだろう。



だけど、私はもうレティシアを手放せない。


ごめんね。


窮屈な世界に閉じ込める私を


どうか許して欲しい」



レオナルドはレティシアの瞳を見られず、前を、湖を見つめながら言葉を紡いだ。



じっとレオナルドを見つめていたレティシアは、レオナルドと同じ様に前を、湖を見つめながら言葉を紡いだ。



「バカ言わないで。


私もあなたを選んだの。


私も、私を窮屈な世界に閉じ込める道を選んだの。


恨むなら、あなたの瞳に囚われた自分を恨むわ」



レオナルドは弾かれた様にレティシアを見た。



「ねぇ、私があの離宮でどんな教育を受けていたと思う?


大好きなお兄様が、お父様がお母様が、無残に殺される幻影を見させられた。


それでも心が揺るがないように。


出来るまで何度も・・・。




でも今日、思ったの・・・。


あなたは、あなただけは私の心の奥に触れてくる。


あなたがもしも私を裏切ったり、私を愛することを止めたら、きっと私の感情は暴走して、妖精は止められない」




レティシアは横にいるレオナルドを見つめた。


レオナルドもレティシアを見つめる。


お互いがお互いに囚われた瞳で




「覚悟してね」



レティシアはレオナルドに微笑んだ。












「怖ぇええええーーーーーーー!!!」





レオナルドは大きな口を開けて、笑った。




レティシアも笑う。




笑いながら抱きしめ合い、そして ————————





二人は唇を重ねた。




いやいや、レオナルド君。

今日はここまでって言っておきながら、もう一歩進んどりますがな!

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