第六十八話 シュナイダー家
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陛下に嫁候補はいないかと聞かれた俺は、適当に師匠であるモモの名前を出したら、何の反対もなく話が進んで行った。
これが師匠の言っていた「どうにかなる」のことなのかはわからないが、本当にどうにかなってしまった。
もちろんダンジョンに潜ることは嫌なのだが、今の夫婦生活が壊れるぐらいなら受けて立つ。
それに次のダンジョン攻略は俺的には国の戦力を総投入すると思うので、王宮魔導士でもない俺のやることと言えば後方支援だろう。
そもそも王宮で働く者なんて攻撃型で俺みたいな万能型は珍しいから最前線に送り込まれることはないと思う。
陛下からの恩情なのか、親バカが関係しているのかわからないが、俺としては願ってもいない内容となっている。
「ちなみにだが、攻略するダンジョンの恩恵はヴァオグリフ男爵に持たせたい。もしかしたらお主と同じ恩恵を授かることができるかもしれないからな」
「それはもちろん。わかりました」
そう返事を返した後、ロメオの方をチラッと見ると困った顔をしていた。
多分だが、ロメオも俺と同じでそこまでたくさんの嫁が欲しいということはないようだ。
しかし、立場的に俺よりも拒否権はないようで、陛下には嫌な顔を見せない。
それに、恩恵は才能と同じように1人につき1つかもしれないので、すでに恩恵を持っている俺が取ろうとは思わない。
そんなことよりも今は師匠のことだ。
師匠がシュナイダー家の長女?もしかして貴族なのか?そんな馬鹿な。
それにシュナイダー家なんて聞いたことがない。
確かにそこまで貴族に興味のない俺が知らない家名があってもおかしくはない。
しかし、陛下が覚えているほど有名な家名ならそれは違う。
「申し訳ありません。モモの名前を上げた私がこの質問をするのはおかしいと思うのですが、モモがシュナイダー家の長女と言うのは今初めて聞きました。もしよろしければそこら辺を詳しく聞いてもよろしいでしょうか?」
「む?そうなのか?お主でも知らないことがあるのだな。何と説明しようか...」
「ここは私が説明しましょう」
そう言ったのは父上だ。
これまで黙っていた父上が陛下に説明をすると言い前に出た。
「そうか、任せる」
「ありがとうございます」
「それでは父上お願いします」
そもそも父上が黙っていたからこんなことになったとは言えず、口を紡ぎ父上にお願いした。
「お前の師匠の本名はモモナ・リン・シュナイダー。貴族でありながら貴族の務めを持たないシュナイダー家の長女だ」
「貴族でありながら貴族ではない...」
「そうだ。実はシュナイダー家には全員魔導士の素質がある。そのため、その力が他国に渡るのを恐れた先々代の陛下が無理やりに貴族に任命し、逃げられないように勤めを免除したのだ」
「待ってください!全員に魔導士の素質があるってどういうことですか?それなら俺の恩恵など関係なくこの国には魔導士が増えるじゃないですか。なぜそれを今まで教えてくれなかったのですか?」
馬鹿げた話だ。なぜこんな大事なことを秘匿していたのか。
俺は興奮と怒りを抑えられない。
「それがだな...」
父上は陛下の顔を伺う。
ここまで来てまだ言えないことがあるのだろうか。
「よい。教えてあげろ」
「わかりました。なぜシュナイダー家が秘匿されているかと言うと、シュナイダー家の信仰しているのが“魔神”だからだ。お前はあまり信仰心がないからどうとも思わないだろうが、邪心である魔人を信仰している者がいたらこの国では良くて処刑、悪くて一族皆殺しだな」
「なるほど、宗教の問題ですか。それに処罰しようにも魔導士をそう簡単に捕らえることができないから現状維持が一番ということですね」
「そうだ。ちなみにモモはお前と同じく信仰心がないから気にすることはないだろう」
「わかりました...」
信仰心が無いことを喜んでいいのかは分からないが、一応返事を返した。
「シュナイダー家が全員魔導士になれることについては何か分かっているのですか?」
「ああ、確証はないがシュナイダー家は物語に出てくる“魔族”の血を引いていると言われている。これはシュナイダー家の人間に聞いた話だが、そこまでおかしな話でもないだろう」
「...そうですか」
魔族か。
確かに物語でよく悪役として出てくる。
しかし、それは現代の物語の話で、古代文明時代の本には未だに1回も出てこない。
なので、俺は魔族の存在を信じていなかった。
何か引っかかる気もするが、こういうのを解決した経験が無いので、このまま思い出せないまま忘れてしまうのかもしれない。
「そもそも父上はモモ以外のシュナイダー家の人に会ったことがあるんですか?」
「...ああ、いろいろあってな」
なんだろうか?父上が口籠るは珍しい。
「フフッ。お主の父上は魔導士の息子が生まれてから慌てて魔法の講師を探したのだ。それはそれはうるさかったのを今でも思い出せるな」
「陛下言わないでくださいよ」
確かに師匠はいつの間にか俺の師匠になっていた。
まさかおれが生まれてすぐだったとは...
魔導士に魔力測定をして貰ったのか分からないが、生まれてすぐはいくら何でも早すぎだろう。
「しかし、あの時はエルシアンの師匠を探すのは骨が折れた」
「どうしてですか?それにそもそも中級魔導士なら師匠でなくても王都には少なからずいると思うのですが?」
そう。師匠の実力をなめているわけではないが、師匠と同じ力量の魔導士ならそこそこ王都にいる。
それも侯爵なら上級魔導士を講師として雇うことができるはずなのだ。
「それは元々モモをお前の師匠としてだけでなく、お前の正妻として娶らせるためだ。まぁ、それはモモの提案によってなくなってしまったが、それは私の浅はかな考えの所為だともいえる」
「ええ!?!?正妻!?」
いや、どんだけ俺に大事なことをこの父親は隠していたんだ!
しかも知らない間にフラれているし。
「どうして師匠を俺の婚約者にしようと思ったのですか?師匠の年齢は知りませんが、こういうのは年が近い者とすると思うのですが」
「年はともかく理由はシルトクレーテ家に魔導士を増やしたかったからだ。今まで分家も合わせて魔導士の数が他の侯爵家に比べて少ないからな。本家においてはお前が初めてと言ってもいいぐらいだ」
「そういうことですか」
まぁ。予想通りの回答だな。
魔導士は便利な職業だからいくらいても問題はないから納得だ。
「それで断られた理由も聞いていいですか?結婚するので知っておきたいのですが...」
内容によってはショックを受けるかもしれないが、これからの新婚生活のために聞いておかないといけない。
「そうだよな...聞きたいよな...」
なぜか父上は歯切れが悪い。
「これはモモだけでなくシュナイダー家の特性で、シュナイダー家の存在が秘匿されている理由の1つでもあるのだが...」
「ええ」
「不老なのだ」
「え?」
そう聞いて俺は今日2度目の静寂が起きた。
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