第七話 王都案内
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松山さんが帰る前に異世界を観光したいと言うので王都観光が始まった。
異世界人と話せるのが俺しかいないので自然と俺がついて行く。
しかし、俺にはもう1つ仕事がある。それはキシリカと仲良くなることだ。
ここで婚約者をほっといて仕事に行くと家庭がすぐに壊れると前世で学んでいる。それに仕事と言っても俺しかまだいないので、少し私情が混じっても怒られないだろう。
「これからこの人を王都案内するけどキシリカも付いてくるか?」
「一緒に行く!」
流石に王女が護衛無しで外出することはできないので、こっそり付いてくるだろう。そもそもこの国2位の魔術師である俺と、剣豪の才能を持っているキシリカの2人がいたら勝てない相手はほとんどいない。
キシリカもドレスに戻り、松山さんも準備が済んだと言うので俺たちの王都観光が始まった。
◆◇◆◇
王都はとても広く1日では回りきれないだろう。しかし3分の2は居住区なので観光地は少ない。
しかし、俺もほとんど魔法の訓練をしていたのでそこまで詳しくない。なので、日本にはない物を紹介した方がいいと思う。
『松山さん、お腹空いてませんか?』
『そうですね、もう昼頃だと思うからお腹が空いてきたな』
『この世界には魔物がいるんですよ、その肉とか食べてみませんか?』
『魔物の肉ですか!』
日本では魔物の肉など食べたことはないだろう。この世界では魔物の肉は高級品になる。
家畜と違い、魔物は凶暴なので命を賭けないと手に入れることなどできないし、なぜか家畜よりも脂がのっていて美味しいのだ。
魔物の見た目はいかついが皮を剥いで解体すると普通の肉になる。毛皮も肉も高く売れるので、魔物を狩る冒険者はこの世界で人気の職業だ。
『その反応だと食べたことないでしょう。騙されたと思ってついて来てください』
『わかりました...』
「キシリカ、おすすめの魔物料理はどこにある?」
「この近くにおすすめの料理店があるよ、そこに行く?」
「ああ、案内よろしく」
キシリカが先頭を歩きレストランに案内をしてくれる。
さすが王族なので美味しい店を知っているようだ。あまり飯とかに興味なさそうだがしっかり覚えているのだろう。
それから少し歩くと大きな店に着いた。店員はキシリカの顔を見ると急いで個室の準備をしてくれた。
そして、今俺たちの前には牛に似た魔物の肉が丸焼きの状態で置かれている。
『これだよ!こんな丸焼きは俺がいた世界だと食べることはできないよ!』
『そうなのか、遠慮せずに食べていいですよ』
「私も食べていいの!」
「ああ、いいよ」
なぜかいつでも丸焼きなんか食べられるキシリカもテンションが上がっている。もしかしたらお目付役が食べ方にうるさくて丸焼きを食べたことがないのかもしれない。
物語でもおてんば姫はワイルドな料理を好むからな、これから結婚するのだから彼女が好きなものは覚えておこう。
丸焼き以外にもいっぱい頼んだので全員すぐにお腹が満杯になった。松山さんは魔物料理が気に入ったのか俺の2倍は食っていたぞ。
少し食休をしてから次にどこに行くかキシリカと話あう。
「次にどこに案内したらいいと思う?」
「市場なんてどう?私行ったことないの」
それ案内するというか、キシリカが行きたいだけではないのか?
でもいい案だ。俺も久しぶり行きたい。
『松山さん、次は市場に案内しようと思うんですが、どうですか?』
『異世界にどんなものが売っているのか気になるな、行ってみよう!』
松山さんが快く了承してくれる。
◆◇◆◇
王都の市場はこの国でも1番大きく、魔物の卵など珍しいものが売っていることで有名である。俺もたまにここに寄って謎の本を買う。たまにだが魔導書も混じっているので面白いのだ。
今日もいつも通り市場は盛り上がっていた。
「すごい!こんなに人で賑わっているなんて知らなかった!」
「こらキシリカ!遠くに行っちゃダメだよ」
「なら迷子にならないように手繋いで!」
「ええ...いいんだけどね」
まるで親や兄になった気になるが、婚約者なので手を繋ぐくらい普通だろう。俺が手を出すとキシリカは喜んで手を繋ぐ。そんなキシリカの姿はものすごく可愛かった。
キシリカの手は剣を握っているとは思えないほど柔らかく、女の子の手だ。
『2人は仲がいいんだね』
『こう見えて今日初めて会ったんだよ』
『それは驚いた!』
そうして、キシリカがカエルの卵を買おうとするのを2人で止めたり、松山さんの家族の話を聞いたりして、無駄話を3人でしているとあっという間に1日が終わり、異世界に帰る時間となった。
『では松山さん、もう異世界に来たらダメですよ』
『それは神に祈るしかないですね』
『『あははは……』』
冗談を2人で言い合う。
1日しか一緒にいなかったが寂しくなるものだ。
ちなみに、キシリカは遊び疲れてもう寝ている。俺が執務室に寝かせてきた。もう17歳になるらしいが子供っぽいな。
『エルシアンさん本当にありがとう。今日はいい思い出になった』
『それはよかったです。それでは転移始めますね』
『わかりました。あなたのことは忘れません』
それは無理なのだが、ここでそれを否定するほど俺は空気が読めない訳ではないので言わない。
それにこのことは誰にも言わないと決めたからね。
転移魔法陣が青く光ると松山さんは足元から消えていく。
『じゃあね!』
松山さんは、あっという間に異世界に帰って行った。
こうして俺の初仕事は無事に終了した。
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