第六十四話 恩恵
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キシリカと久しぶりに何戦か終えた後、俺は1人起きていた。
さすがに今日は寝すぎたようで、キシリカとあれだけ戯れたとしても目が冴えてしまうようだ。
キシリカはと言うと俺がいる反対の方を向いて寝ている。普通終わった後はイチャイチャするものだと思うのだが、キシリカにはそんなそぶりが全くない。
しかし、俺は学んだ。
寝ているときにキシリカの手が暖かくなっているときは熟睡していることを。
この熟睡しているときに抱き着いても何も反抗してこず、起きているときにこの状態でも怒らない。
怒らないと言うか何も反応してこないのが正解だが、そんなこと今はどうでもいい。
俺は手が暖かくなっているのを確認してから。薄いブランケットを1枚だけ被って寝ているキシリカに後ろから抱き着いた。
予想通り、何も反応してこない。
きれいな金髪の匂いをこっそり嗅いでも、少しだけ割れている腹筋をさすっても反応がない。
なら、こういう時に男として触らないといけない場所がある。
胸だ。胸を触らないとこの人生男として後悔してしまう。
世間ではよく巨乳・貧乳論争をしているが俺にとってはどうでもいい。
たしかにキシリカの胸は小さい、本人が気にするぐらいに。
しかし、そんなささやかな胸を触ってしまうとその柔らかさに驚いてしまう。そしてその手はもう離れてはくれない。
それから、しばらく近くの窓から見える月を見ながらもみもみしていると不意に我に返る。
やばい、俺にはやることがあったと。
キシリカが持ってきた謎の銘柄の酒を飲んでいたから酔っぱらってしまったが、ダンジョンマスターを倒したときに貰った恩恵の確認をしなくてはいけない。
別に確認はいつでもいいのだが、気になりだすとさらに眠れなくなる。
そもそも眠れないのだから今してしまおう。
俺はキシリカの胸を揉みながら自分に鑑定の魔法をかけた。
鑑定魔法は自分に掛けるならどんなことでもわかってしまう。
久しぶりに自分のことを見てみる。自分でもいやに長い情報がずらっと出てきた。
称号や呪文など色々増えている。
称号については誰がつけているのか知らないが、もう何も気にしなくなった。
始めて貰った称号である“魔法使い見習い”を授かった時はあれほど嬉しかったのにな。
そんなことを考えながら恩恵の欄に来た。
ダンジョンマスターと倒したときに確認したので、この欄が俺に追加されたのは知っていたが、これから先を確認していなかった。
あの時はそこまで興味なかったので気にならなかったが、今は違う。
ゆっくり見てみよう。
師匠によると鑑定をした際にどう見えるのかは人それぞれらしく、前世が関係しているのか、俺にはドラ〇エのステータス欄のように見える。
なので、俺は決定ボタンを押すように恩恵の欄を意識した。
出てきたのは“魔出生”という文字。
見たことも聞いたこともない。この古代文明時代の文献を読み漁った俺がだ。
たしかに恩恵とは今だに謎が多いもので、今までに授かった者が少ない。
古代文明時代も今と同じようなものとすると情報が少なくても納得できる。
しかし、自分のことを鑑定することについては鑑定魔法に不可能はない。
俺は慌てずに“魔出生”という欄を意識した。
すると、“この恩恵を授かった者の子は魔法を有する”と書いてある。
「へ?」
俺は衝撃で声が出る。
なぜなら、そこまで頭の良くない俺でも、その短い文章でこの恩恵のことを理解することができたからだ。
まず、“恩恵を授かった者”とはもちろん俺のことで、“魔法を有する”とは確実に魔法使いになるということだろう。
と言うことは俺の子供は全員魔法使いとして生まれることになる。
現在茉莉奈が妊娠している子はともかく、それ以降の子供は魔法使いとして生まれてくるので、キシリカが生む子、すなわちこの家の嫡男は確実に魔法使いとなる。
俺が言うのもあれだが、魔法使いが頭首を務める家は失敗なしと言われているので、これは嬉しい。
それに加え、魔法使いはどこに行っても喜ばれるため、将来仕事に困ることなく働くことができる。
この世界では貴族でも仕事1つ見つけるのが大変なため、親として嬉しいと思う。
このことに、キシリカの胸を揉むことすら忘れるくらい俺は興奮していた。
貴族は100年後のことも考えながら行動するというのを聞いたことがあるが、俺はそこまで意識することはできない。
しかし、俺も自分の子供のことは考えている。
そこで子供が魔法使いになることが確定されると今までの心配事が嘘のように張れていく。
子供が貴族になれぬとも食いっぱぐれることはない。
「ぐふふふふ...」
口からは自分のものではないほどの気持ち悪い笑い声が出てくる。
だが、止めることはできない。だが、寝ているキシリカ以外いないこの部屋で止める必要性も感じないので、そのまましばらく1人で笑った。
30分ほど1人で笑っていると当たり前だが我に返る。
よくよく考えると良いことだらけではない。
恩恵のことをゆくゆくは国、すなわち陛下に報告しなければいかないので、俺が“魔出生”を持っていることは知られてしまう。
これを知った陛下がすることと言ったら、俺の嫁を増やすことだろう。
脆弱とも魔力を持っている者を欲している王族と貴族は俺の恩恵を知ったら、絶対にこの案を提案してくる。
嫁がその王族や貴族の血を引いていると、生まれた子を嫁がせたり、入り婿として迎えることが簡単にできるからだ。
しかし、俺はそんなことどうでもいい。
嫁がこれ以上増えることは望んでいない。
確かに死ぬ前に女をたくさん抱きたいと思っていたが、それは結婚する前の話だ。
今の俺はたくさんの女を抱くより、2人と一緒にいる時間を増やしたいと思っている。
こんな贅沢な話を俺が悩む立場になるとは思わなかったが、これは致し方ない。
こう言う時、生まれつき陰キャはどうするのだろうか。相談できるのならしてみたい。
だが、結局は陛下の決めるままだ。俺が何を言おうと、父が何を言おうと、陛下が決めたことは絶対なので覆すことは俺にはできない。
そんなことを考えながら不安を紛らわせるために、俺はキシリカを強く抱きしめた。
このことを今すぐに誰かに伝えたいが、時間的にそれは無理だろう。
しかし、何かを感じたのか本能で生きているキシリカが起きてしまった。
強く抱きしめてしまったからなのか知らないが、こういう時目が覚めるのがキシリカらしい。
「眠れないの?」
「いや、今から寝ようと思ったところだよ」
「そうなのね。明日は何もないけど早く寝なさい」
そう言ってキシリカは俺を強く抱きしめる。
こんなこと今までになかったのに俺を不意に抱きしめたのだ。
そんな姿に俺はこれまで不安に思っていたことが嘘のように晴れる。
憶測だが、俺がどんな答えを陛下に答えたとしても俺について来てくれる気がした。
それなら俺が陛下の言葉を否定してもキシリカを失うことがないことを意味する。
平民扱いの茉莉奈はともかく、キシリカがいなくなる心配がなくなることを考えると俺の心が軽くなる。
俺はそう思いながらキシリカと初めて抱きしめながら眠りにつく。
これまで感じたことない幸せが俺を包み込んだ。
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