第五十六話 孤独
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この階層に来て3日経ちようやく魔物が溜まった。
ロメオが1人で4万匹倒してきたので、生贄攻略のための貯蓄を貯めることができた。
「これで遂にボス戦に行けるね」
「ああ、今日は休んで明日ボスのところに行こうか」
「そうだね。なら安全地帯に行くんだね?」
安全地帯はボスがいる階層にあるので、ここから一階ずつ生贄攻略をしていく。
ちなみに、17階層で19階層までの生贄を捧げても20階層に行くことができない。しかし、生贄は捧げた分を全て取られるので気を付けなければならない。
「じゃあ行こうか」
「うん」
俺たちは今回も扉から少し離れた場所で休憩する。それにしても相変わらず俺が料理を作らないといけないらしい。
今日もポトフを出そうと思ったが、キシリカが嫌な顔をするので今日は味噌汁を作ってあげよう。そこにおにぎりと焼き魚があれば立派な定食だ。
この階層はボスがいる階層にしては広いので魚くらい焼いても問題ないと思う。
「あれ?あなた味噌汁作れたの?」
「ああ、茉莉奈に聞いてきたよ。完璧じゃないと思うけど茉莉奈の味に近づいていると思う」
「それは楽しみね」
ロメオが魔力を回復するまで寝ているので、時間がたっぷりある。なので本格的に作って時間が掛かっても大丈夫だろう。
まずは鍋に昆布と鰹節を入れて出汁をとる。ここで出汁を取らずに味噌を溶かすと言う料理初心者あるあるをするわけにはいかない。
そこに豆腐やワカメなどいつも茉莉奈が入れている具材を入れて、味噌を溶かして完成だ。
横で魚を焼いていたキシリカも完成したようなので、配膳をする。
ここでロメオの魔力も回復し、起きてきたので一緒に食べることができた。
「美味しいね。これエルくんが作ったの?」
「ああ、比較的簡単な料理だけど凄いだろう」
「うん、エルくんが料理をするとわね。ダンジョンで毎日ポトフを食べていた頃のエルくんとは違うよ」
昔はポトフが1番お腹に溜まるし、栄養もある気がするからいつも空間魔法にたくさん入れてダンジョンに潜っていた。
別に好きでも嫌いでもないのだが、干し肉を食べるロメオには言われたくない。
「それにしてもロメオは強いわね。あんなにたくさん狩ってくるとは思わなかったわ」
「別に俺も本気出せばあれの2倍、いや3倍は狩れるぞ!」
「え?そうなの?でも私は思ったんだけど別にロメオ1人でもダンジョンを攻略できるんじゃないの?」
「それは僕でも無理だね」
そう、ロメオの言う通りダンジョンに1人で入ることは王宮筆頭魔導士であるロメオでも色々な魔法が使える俺でも無理だろう。
これは経験談なのだが、俺とロメオが先生のところで魔法を学んでいた頃、1人の先輩が1人でダンジョンに行って金を稼いでくると言っていた。
しかし、ほとんどの者が死んでしまうから危険だと言って止めようとする。
その先輩はとても良い人で、お調子者だが優しく多くの人に慕われていたので皆必死に止めていたのだ。
ついて行こうとする者もいたが運が悪いことに追試で行けなかった。
以外に魔導士は頭が良い者が少なく、それに加えて魔導書は難しいので追試を免れる者は少ない。
そう言う俺もその中の1人だった。
それでも行くこうとするので、先生からも止めてくれと伝えると先生は「ほっといてもすぐに帰ってくるぞ」と笑いながら言って、結局ダンジョンに行かせてしまった。
しかし、帰ってくるのを皆が待つ中、その先輩は3日で帰ってきたのだ。
傷1つ無く、食料も尽きる事も無く何も問題なく帰ってきたことに安心した俺たちだったが、すぐに疑問をぶつける。
なぜこんなにも早く帰ってきたのかと。
するとその先輩は一言恥ずかしそうに「寂しかった」という。
ダンジョンで1番恐ろしいことは魔物やダンジョンに仕掛けられた罠ではなくどうやら孤独だったらしい。
確かにあの暗いダンジョンの中で1人でいたら鬱になりそうだ。
先生もそれを分かっていたから止めなかったのだろう。
多分だが定期的に同じことをする人がいるのかもしれない。
俺はこんな感じでキシリカに教えた。
「なるほどね。だからあなた達は1人でダンジョンに行かないのね」
「そう言うこと。じゃあ、俺たちも寝ようか」
「そうね」
俺たちはご飯を食べ終えたのでロメオと見張りを交代して寝ることにした。
ロメオには悪いが俺はキシリカとくっ付いて寝る。
「別に良いけどさ、もうちょっと何とかならないの?僕も妻に会いたくなるよ」
「それは戦える人を妻にした者の特権だからしょうがないね。じゃあ俺は寝るわ」
「あ〜い」
俺は不貞腐れたロメオを無視して毛布に包まる。さすがにいじりすぎたと思いながらも、だからと言ってキシリカから離れて寝ようとは思わない。
後でカメラを貸してあげて、妻の顔をいつでも見られるようにしてあげよう。
◆◇◆◇
俺たちは5時間ほど寝たところで目が覚める。何日もダンジョンにいるから分かったが、どうやらキシリカはダンジョンの中なら寝坊をしないようだ。
「おはよう」
「エルくんおはよう。もう行こうか」
「ああ、俺の予想だとまだ俺の力が必要になるとは思わないけど、魔物集めるの手伝ってくれたから俺もボスを倒すのに参加しようか?」
「う〜ん、ならお願いしようかな」
「分かった」
俺たちは扉を開き、前に進んだ。しかし、そこには瀕死の竜人が血だらけで片膝をついていた。その姿に哀れることもなくキシリカと一緒に一撃を入れて倒した。
瀕死でボスがいるなんて初めて見たが何があったのだろうか?
「もしかしてロメオがやったのか?」
「うん、暇だったからドアに向かって火の玉を打ったけど、どうやら効果はあったみたいだね。初めてやってみたけどやってみるもんだ」
「へー、そう言うこともできるんだ。でも魔力の無駄遣いするなよ」
俺たちは簡単に竜人を倒してしまったので、また休息を取らずに次に進む。
それにしても竜人が出たってことはダンジョンマスターがあいつなのは確定だな。
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