第五十五話 必殺技
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17階層にたどり着いた俺たちはまたもや頭を抱えていた。
なぜなら、そこには16階層と全く同じ光景が広がっていたからだ。
「これってまた生贄攻略しないといけないんじゃないの?」
「ああ、多分19階層までは同じなんだと思う」
「でも、さっき魔物全部使ったからまた集めないといけないよ」
「...頑張ろうか」
今魔物の在庫は0に等しい。16,000匹集めるのにほぼ1日かかったので、これからはもっとかかってしまうだろう。
「さすがに今日中にはボスに辿り着かないと思うからロメオも手伝ってくれ。それにこの次の階層から魔物が少なくなるかもしれないからこの階層で19階層分までの魔物を狩ろう」
魔物の大きさや強さにかかわらず生贄攻略ではどんな魔物も1とカウントされる。なので比較的多くのドラゴンが沸いているこの階層で魔物を貯めておこうと思う。
「わかった。なら僕はここから右の方に行くよ」
「ああ、大丈夫だと思うが遠くに行きすぎるなよ」
俺たちは一旦2組に分かれて狩りに行く。上級魔導士が同じところで戦っても意味ないからな。
「キシリカ、あっちに行こうか」
「そうね。どっちが多く倒せるか勝負よ」
「それもいいけど、せっかくだから遠距離攻撃の練習をしようよ」
ただ魔物をひたすら倒すだけだとすぐに飽きてしまうので、キシリカが苦手な遠距離攻撃の練習をしようと伝える。
キシリカの勝負もいいのだが絶対俺が圧勝してしまうのでここは別のことをしてみよう。
「遠距離攻撃苦手だからもう嫌なんだけど」
「でも1つあると便利なんだよ。それに政宗を持っているのに魔力を放つことができないのは勿体ない」
政宗は魔力を通すことができるので、魔力を放って斬撃を放てるようになると思う。これがあれば戦い方の幅が広がるし、安全に戦えるだろう。
「ほらめんどくさがらずに練習するぞ」
「わかったわ...」
「よし、ならまずは俺がお手本見せるから」
そう言って矛先に魔力を溜めてドラゴン目掛けて斬撃を放つ。
そうすると数匹のドラゴンが巻き込まれて死んでいく。
「かっこいいわね。これ氷魔法を放っているの?」
「そうだよ。でも最初はなんでもいい。相性とかもあるから」
「わかったわ」
キシリカは両手で政宗を持って力を込める。魔力を込めているのだろうが全く込められていない。魔物を斬っているときはできているのに、目の前にいないときはできなくなってしまうのだ。
「なんでだろうね。さっきまではできていたのに」
「意識したらできなくなるの。ねぇあなたがそこから政宗に魔力込めてよ」
「できるかな?」
この場合魔力を込めると言うより、魔法をぶつけて政宗に魔力を込めさせたほうがいいだろう。
しかし、キシリカにも当たってしまうかもしれないので慎重にやらなければならない。
「氷魔法を撃つから政宗を前に出してくれ」
「氷魔法じゃなきゃダメなの?私雷魔法がいいわ」
「え〜、雷魔法は危ないよ」
雷魔法は掠っただけでもダメージを受ける。それも痺れるのであまり使いたくない。
「いいからやって、大丈夫だから」
「なら政宗を天井に向けて上げてくれ」
「はい、どうぞ」
俺はキシリカの上に真っ黒な雲を作りそこから雷を政宗に向けて落とす。雲を作られなくても雷魔法は使えるのだが、こっちのやり方の方が狙いやすいのだ。
そのキシリカは雷を受けて覇気を身体中に纏ってしまった。どうやら相当集中しているようだ。
キシリカは雷を纏った政宗を一回転してからドラゴンの群れに放つ。
俺はその光景に目を輝かせてしまった。
キシリカの姿は全男子が一度は真似をした、某勇者の○○スラッシュと全く同じだったからだ。
まさかキシリカがあの勇者と同じ技を使えるようになったとは、俺はこれほどテンションが上がったことはない。
「おい!すごかったぞ」
「本当?集中しすぎてよく覚えていないわ。でも凄いことが起きたってことは見てわかるわ」
ドラゴンはキシリカにより全滅させられていのでここには丸焦げにされたドラゴンの死体しかない。それに生贄攻略にはこれでも使えるので全く問題ない。
前にゴブリンの耳だけで生贄攻略ができるのを試したので、全身残しておかなくても大丈夫なのだ。
「それに覇気を出しちゃったわ。はい、ハグして」
「ああ、そうだったね」
キシリカが覇気を抑えるのが苦手だったので色々試した結果、俺がハグをしてあげると落ち着いて、覇気を抑えることが出来ることを発見した。
こうやって抑える人を見たことないがあまりにも可愛いので俺はハグをしてあげる。
「それで、コツは掴めたのか?」
「う〜ん、やっぱりちょっとわからないわ」
「まぁ、少しずつやっていけばいいよ。それに2人の必殺技が出来たから俺としては大満足」
「そうなの?ならよかったわ」
俺は心の中でキシリカの名前から2文字取ってキカスラッシュと名付けよう。もしこれから使える時があったら使ってみよう。
そして、キカスラッシュのせいで一旦ドラゴンがいなくなったので2人で次が来るまで座って待つ。
「今何匹倒しているの?」
「あー、まだ300匹くらいかな...」
「やばいわね。まだまだ時間がかかるわ」
「ああ、3日くらいはこの階層にいないといけないかもな。やっぱりどっちが多く倒せるか勝負するか。負けた方が勝った方の言うことを何でも聞くってことで」
「いいわね。どんなお願いしようかしら」
「よし、ドラゴンが集まってきたから始めるか」
そこからは全力でドラゴンを殲滅する。
俺の本気に驚いたロメオが一度見に来たこと以外何もなかったが、勝負は間違いなく勝ったのでよかった。
帰ってからキシリカに何をしようか今から楽しみだ。
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