第五十四話 裏技
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今、俺たちの前には中型犬サイズのドラゴンが数十匹戦闘態勢をとっている。
それを俺が氷魔法と風魔法を複合させて吹雪のように使いドラゴンを凍らせていく。
さすがに氷魔法が弱点のドラゴンと言ってもこれだけでは倒せないので、キシリカが氷ごとドラゴンを切っていった。
さすがの政宗は氷を切っても刃こぼれをすることがないようだ。
「この階層はこの小さいドラゴンだけしか出ないのかしら?倒すのは簡単だけど数が多いから時間がかかるわ」
「本当は炎魔法で殲滅させたいけど相手がドラゴンだからな、それにここはダンジョンの中だから」
さすがの俺でもドラゴンを火で倒すことはできない。ドラゴンは火の耐性が高いのであまり効かないのだ。
それにここはダンジョンで狭い空間なので火を使ったら一酸化炭素中毒で死んでしまうので使うことができない。
「まぁ、考えても仕方ないよ。手を動かさないと」
「うるせぇ、ロメオ」
俺はロメオのことを無視して黙々とドラゴンを凍らせていった。
16階層くらいで、中型犬ドラゴンがいなくなり大型犬ドラゴンが出てきた。
しかし、そこまで多くないので魔法を使わずに矛で斬っていく。念の為キシリカにバフを何重かかけておいた。
このままだと1週間もかかわらず終わるぞ。
しかし、ドラゴン討伐に集中しすぎて気づかなかったが、ある異変に俺は気付いた。
「待ってくれ、この階層めちゃくちゃ広いぞ。今までの階層の比じゃない」
「でも探知魔法があれば大丈夫でしょ?」
「いや俺の探知魔法は俺から半径100mくらいしか探知することができないんだ。だからここまで広いとほぼ意味をなさない」
探知魔法は使用者によって範囲が違ってくる。俺の範囲は平均のちょい上くらいなので、俺の実力不足ではないぞ。
「ならどうするのよ」
「時間はかかるが少しずつ探していくしかないな」
「長くなりそうだ...」
結局今日は次の階層に着くことができなかった。
今日はと言っても時間などがわからないので、大体で1日が終わると決めている。今回はキシリカが眠たくなったら1日が終わると決めた。
ダンジョンには迷路のようになっており、至る所に無駄な部屋がありそこで休息を取ることにした。
たまにこう言う部屋に宝箱があるのだが、今は関係ない。
ドアがないので、空気穴を残して土魔法で埋める。これはボスを倒してから何もしていないロメオがやった。
「ここで今日は寝ようと思う。一応ガチガチに守ってあるが何が起こるかわからないから交代で休もう」
「順番はどうするんだ?」
「俺、ロメオ、キシリカの順番で交代しよう。真ん中が1番きついけどロメオだから大丈夫だろう。1人2時間ずつだ」
「俺が1番戦っていないから真ん中は納得だけど、言い方があれだな」
「わかったわ。でも何か食べてから寝たいわね」
「そうだね。ポトフ温めようか」
俺は空間魔法から小さな鍋に小分けしたポトフを取り出し、魔道コンロにかける。
これはこの日のために人気のレストランに頼んだポトフだ。
ダンジョンで火を焚くことは火魔法を使ってはいけない理由と同じでしてはいけない。だが、魔道コンロはそこまで火が激しくないので使ってもいい。
「ほら出来たぞ」
「ありがとう。このポトフは美味しいわね。それに温かいのは嬉しいわ」
「普通ダンジョンは硬いパンとか干し肉を齧るしかないんだけどね。これは空間魔法が使える仲間がいるパーティの特権だね。エルくんに感謝だ」
俺たちはゆっくりと夕食を食べて自然と2人は寝始める。
俺は最初の見張り当番なのでまだ寝ずにキシリカに膝枕をしてあげた。
◆◇◆◇
俺たちは次の日もダンジョンを歩き回るが全く階段が見つからない。
なのであれを使うしかないな。
「もうすぐ倒した魔物が16,000匹に届きそうだから裏技が使えるぞ」
「裏技?何それ?」
「次の階層の階段が見つからないときにそのダンジョンの魔物を攻略したい階層×1000匹をダンジョンに捧げるとダンジョンが魔法陣を用意してくれるんだ。今まで倒した魔物の素材は無くなるけど、確実に次の階層に行ける」
「この方法エルくんが見つけたんだよ。普通の人なら思い付かないからね」
「俺はただ本に書いてあったことをやったんだ。キシリカは俺がそんなことを思いつくやつだとは思わないだろう」
この方法は俺が初めてダンジョンに行く前に調べておこうと思い、古代時代の本を読み漁っているときに見つけた。
そのダンジョンでこれをやった時に、引率していた先生が引いていたのを今でも覚えている。
しかし、この方法は画期的で今ではメジャーな方法となっているのだ。
ちなみに俺はこの方法を生贄攻略と呼んでいる。
「よし、ちょうど魔物が溜まったから生贄攻略やろうか」
「見とけばいいの?」
「ああ、でも魔法陣はすぐに消えるから準備しておいてくれ」
「わかったわ」
俺は空間魔法から16,000匹分の魔物の死体を取り出し、山のように積んでいく。その山に魔力を少し流すとダンジョンに魔物の山が吸われていき、真っ赤な血で出来た魔法陣が出てくる。
なんでこんなに手際がいいかって?それは俺がダンジョンに潜ったら5,6回は生贄攻略をしているからだ。
「よし、行こうか」
「凄い光景だったわね。でもやっと次の階層に行けるわ」
「俺はエルくんとしかダンジョンに潜ってないからこの光景はもう見慣れてしまったよ」
2人がごちゃごちゃ言っているが時間がないので、ロメオは蹴り上げて、キシリカは抱き抱えてから魔法陣に入って行く。
16階層はものすごく広かったが次の階層は簡単だったらいいな。
そう思いながらも生贄攻略は好きなのでそれでもいいなと俺は思ってしまった。
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