第五十二話 恩恵
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結局3人でダンジョンに行くことになった。
なので、最後にまた茉莉奈を抱きしめて俺はダンジョンに向かう。
俺がダンジョンの場所を知らないので転移魔法が使えないし、ロメオは転移魔法が使えないので王家に用意してもらった馬車で向かうことになった。
そして、馬車の中で俺はキシリカと話をしたいのに、ロメオがしつこく話しかけるので鬱陶しい。
「この女性がエルくんの奥さんなんでしょ?」
「ああ、綺麗だろう」
「綺麗な人だね、でも僕の奥さんの方が綺麗だけどね」
「はぁぁ!お前ぶち殺すぞ!!!」
「え!?!?冗談だから、矛の先でつつかないで!」
小さな声で「冗談じゃないけど」と言っていたが今回は見逃してやろう。
でも、この世で1番綺麗なのはキシリカと茉莉奈だからな。そこだけは忘れないようにさせないと。
「あなた、落ち着きなさいよ。それにしてもあなたに勝ったくらいだからどんな人かと思ってたけど、あなたの方がガンガンいくじゃない。本当にあなたより強いの?」
「ああ、どうみても雑魚にしか見えないけど信じられないほど強いよ。ちゃんと王宮筆頭魔導士にふさわしい実力を持っている。本当に雑魚にしか見えないけど」
「雑魚にしか見えないは余計だよ」
「ふ〜ん、あなたがそこまで言うなら本当なのね。これは楽しみだわ」
戦闘狂のキシリカは何よりも強さが気になるらしい。
それにダンジョンに行くことを何よりも楽しみにしていたキシリカはダンジョンについて質問をしていた。
「そもそ攻略ってなんのためにするのよ?あなたが言うにはダンジョンマスターを倒しても数時間で復活するんでしょ?なら攻略しても意味ないじゃない」
「あれ?エルくんに恩恵について聞いてないんですか?恩恵を貰うために攻略するんですよ」
「別に敬語使わなくていいわ。それで恩恵って何なのよ」
「本当?なら普通に話すよ。ダンジョンマスターを初めて倒した者にはダンジョンの成長具合に関わらず恩恵が貰えるんだ。それで恩恵っていうのは...何て言えば良いかな?」
「ん〜〜ちょっとした才能って感じかな?まぁその恩恵を他国の人や無所属の冒険者に取られない為に王家に近い者が先に取りに行くんだよ」
「それならあなた達も持っていないのね」
「ああ、俺が生まれてから今までダンジョンが新しく出来たことはなかったからな。それに恩恵ってハズレもあるらしいから、無駄足になるかもしれないと思って興味なかった」
「色々知っているのね。恩恵を持っている人は今知るの?」
「多分俺とロメオの先生が持っていたと思う」
「ん?モモじゃないってこと?」
「ああ、言い方はあれだけど師匠は俺だけの師匠で、先生は俺たちの世代の魔導士をたくさん指導しているから先生って呼んでいるんだ」
実は俺には2人魔法を教えてくれた人がいる。師匠は中級魔導士なので、俺が上級魔導士になった時に免許皆伝を貰っている。そこで上級魔導士になってからは上級魔導士に教えて貰ったのだ。
先生はロメオの前の王宮筆頭魔導士で、よく謁見にロメオの代わりによくいる人だ。
この人の説明はめんどくさいのでまた後でしようと思う。
「へー、その人はどんな恩恵貰ったのよ」
「生命追加じゃなかったかな。多分1回だけ死んでも良いんだよ」
「すごいじゃない。ならあなたも良いのを貰わないとね」
「すごいけど魔導士の先生にとってはハズレだね。だって簡単に死なないもん」
魔導士は後方支援が主な仕事なので滅多に敵にやられない。なので俺たち魔導士が死ぬのは寿命だ。
生命追加は死んでも生き返る時に若返るはずがない。なので、寿命で死んで生き返ってもまた寿命でぽっくり逝ってしまう。
「それに恩恵はダンジョンマスターにトドメを刺した人が貰えるんじゃなかったかな?だから俺が貰えるとは限らないんだ」
「だけど、この3人で1番最大火力が高いのはエルくんだから、エルくんが貰える可能でいが高いね」
確かにロメオの戦い方は火力が出にくい。俺としてはキシリカに渡したいけど、戦闘中にそんな余裕はないと思うので、誰が恩恵を得られるかは最後のお楽しみだ。
「あなたならどんな恩恵が欲しいの?」
「俺?俺なら子供が出来やすくなる才能かな。早くキシリカとの子供が欲しいから」
「フフッ、何それ。もっと強くなる恩恵にしなさいよ」
「でも僕もそれが欲しいな。僕の妻も王族だから子供が出来にくいんだ」
「ロメオと同じなのは癪だから違うのにしよう」
「何でだよ!!!」
それからまたロメオをいじりながら馬車で進んだ。それにしても遠いな、どこまで行くのか聞いていなかった。
「おい、後どれくらいで着くんだよ?」
「後半日くらいじゃない」
「マジか...もう俺寝るわ」
そう言ってキシリカの膝を枕にして寝転ぶ。こういう時じゃないと膝枕をしてくれないからな。
「ならついたら起こすから」
「了解。キシリカに変な話するなよ」
「どうしようかな〜」
「ダンジョンマスターの次はお前が討伐される番だからな」
「フッ、僕に勝てたらの話だよね」
「ぶち殺してやる!!!」
結局またロメオと一悶着があり、最高の枕で寝ることができなかった。
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