第五十一話 王宮筆頭魔導士
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おじいちゃんが作ったミスリルの剣の名前は正式に政宗に決まった。
キシリカが持ち主なので、決定権は俺にないのだが俺がつけた名前だからこれでいいと言う。深く考えないキシリカらしい。
政宗って言う名前がおじいちゃんの名前から取ったと言わなかったのが良かったのかもしれない。
あれからキシリカと政宗はずっと一緒にいる。言い方はあれだが、俺は剣に嫉妬するほど頭がイカれていないので気にしてないのだが、寝る時もいるのでその時だけはどうにかしてほしい。
だってこっちは裸なのに刃物が置いてあったら集中できないだろう?
今夜もキシリカといるのだが、政宗を離そうとしないので一悶着起きている。
「ねぇ、大切にしてくれているのはいいんだけどさ。流石に寝る時は机に置いておこうよ」
「いいじゃない。これを持っていると落ち着くんだもの」
「本当に?なんか呪いがかかっているんじゃないか?」
俺はそう思って探知の魔法をかける。前に呪いのせいで脱げなくなった鎧を鑑定したことがあるので、政宗が呪われていたとしても俺ならわかる。
しかし、政宗から全く呪いは確認されなかった。
それもそのはず、別におじいちゃんが命をかけて打ったわけではないので、呪いが付与されることはあるわけがないのだ。
キシリカが政宗を離さないのは、普通に剣豪として名剣に魅了されているのだろう。
「大丈夫だったでしょう?それに鞘から抜いているわけじゃないから怪我をしないわよ」
「怪我をするかどうかは今は関係ないんだよ」
俺はキシリカに抱きついた時に体温が感じるのが好きなんだ。それなのにこんな固くて冷たい物が俺たちの間にあったら盛り上がるものも盛り上がらなくなってしまう。
キシリカもそれは嫌だと思うし。
「ほら、明日からダンジョンに行かないといけないからササっと終わらせて寝ようよ」
「別にしなくても寝られるわよね」
「よくそんなエッチな服を着てそんなセリフを吐けるな。男のことを何も理解してないんだから!」
「そんな泣くほどじゃないでしょう。しょうがないわね。ほら早く来て」
そう言ってキシリカは政宗を壁に立て掛ける。
俺は勝ったと思いながら、キシリカをギュッと抱きしめた。
◆◇◆◇
今日遂にダンジョンに行く。
もう1人の協力者は孤児院まで来てくれるようで、俺たちはそいつを待っている。
昨日まで体調が悪かった茉莉奈も見送りに来てくれた。しかし、あまり万全ではないらしく師匠が付き添いをしてくれている。
「キシリカ体調は大丈夫か?本当は側にいてあげたかったんだけど...」
「ただのつわりだから大丈夫ですよ。もうすぐ安定期に入るので辛いのはあと少しだと思います。それよりも私は旦那様が無事に帰ってきてくれればそれでいいんですよ」
「茉莉奈...」
俺は茉莉奈を抱きしめる。だがお腹に赤ちゃんがいるので軽くだ。
「それで手伝ってくれる人はまだ来ないの?」
「もうそろそろ来ると思うんだけどな」
俺たちは全員玄関にいるので誰か来たら即対応できるようにしている。
「あ!あの人じゃないの?」
「あの人っぽいですね。格好も魔導士みたいですし」
キシリカと茉莉奈は俺よりも先に気づいた。
俺も言われた方を見てみると、そこにはとんでもないやつが王宮筆頭魔導士しか着ることのできないローブを着てこっちに歩いて来ていた。
「おい、もう1人の協力者ってロメオかよ!」
ロメオ・リン・ヴァオグリフ。俺のライバルであり、命の恩人でもあり、現王宮筆頭魔導士。即ちこの国最強の魔導士だ。
王宮筆頭魔導士を決める大会が終わってから会っていなかったので、久しぶりの再会になる。
「おい、王宮筆頭魔導士さんよ。俺の家に何の用だよ」
「え〜!これから一緒にダンジョンに行くんだよ!」
「知っている」
「も〜、ビックリさせないでよ」
いつものように俺がロメオにダル絡みをする。昔から俺たちはこんな感じで会話をしていて、ロメオはこんなに強いくせに純粋でいいリアクションをしてくれるのだ。
ちなみに褒めると調子に乗るタイプなので滅多に褒めることはない。
「もっと王宮筆頭魔導士らしくしないとすぐに他の魔導士に剥奪されるぞ。大丈夫なのか?」
「え!エルくんが心配してくてる。やっぱ結婚したから優しくなったのかな?」
「うるせぇ!俺は元から優しかっただろう」
「いや、俺にだけ優しくなかった。そういえば結婚式呼んでくれなかったでしょ!」
「ああ、親しい人しか呼ばなかったからな」
「いや、十分僕たち親しいよね。なんなら昔ダンジョンで助けてあげたし」
「いつの話してんだよ。それで結婚と言えばお前の方はどうなんだよ。」
王宮筆頭魔導士を目指す理由は人それぞれで、俺は無職になりたくなかったので目指したが、他にも色々な特典がある。
その1つに王族を妻にすることが出来るというものがあり、ロメオはその特典のために王宮筆頭魔導士を目指した男だ。
ロメオは役職持ちの伯爵家出身でよく王城に出入りしていたらしく、その時にあるお姫様に一目惚れしたらしい。
しかも、そのお姫様はキシリカの叔母で、嫁ぎ遅れた陛下の妹なのだ。
俺が言うのもなんだが、まさか10歳も上の女性のために目指したなんて普通は考えられない。
しかし、こいつはやり遂げたのだ。好きな人のために戦って王宮筆頭魔導士になってしまった。
ちなみに王族を妻にしたいときはこっちから宣言しないといけないので、必ず選ばなければいけないと言うわけではない。
当時はそんなこと考えていなかったが、今なら迷わずキシリカを選ぶと思う。
「え!聞いちゃう?しょうがないな、教えてあげるよ」
「やっぱいいや」
あれからどうなったのか気になるが、なんか調子に乗りそうだったのでキッパリと断る。
「え!そうかい?でもダンジョン攻略が終わったら結婚式があるから来てよね」
「考えとく」
「来てくれよ〜」
「それでこれから行くダンジョンについて何か聞いているのか?」
「ああ、3ヶ月前にできたダンジョンらしいよ」
「はぁ!3ヶ月ってクソ雑魚ダンジョンじゃねぇか」
ダンジョンは年月が経つにつれ成長すると言われている。そして3ヶ月しか立っていないと言うことは多分50階層くらいまでしかないだろう。
俺とロメオは100階層以上に成長したダンジョンに何度も挑戦しているので、俺たちには簡単に攻略することが出来るだろう。
そもそも上級魔導士を2人も用意する必要はない。
「ロメオは上級魔導士2人それも1人は王宮筆頭魔導士、それに加え本物のミスリルの剣を持った剣豪の才能を持った剣士、この3人でそのダンジョンを攻略するとして、どのくらいで終わると思う?」
「そうだね、普通なら1週間もかからないと思うよ。そもそも戦力過多だね」
「俺もそう思う。だから暇な魔導士連れていけ。俺とキシリカは帰る」
俺はそう言って茉莉奈たちのところに行こうとする。
まぁ。予想通りロメオに止められるのだが。
「普通のダンジョンならって言っただろう。今から行くのは普通のダンジョンじゃないから僕たちが行くんだよ!」
「何が普通じゃないんだよ」
「1階層からドラゴンが出るんだ!」
「マジかよ...」
ドラゴンが出ると言うことはそこのダンジョンマスターはあいつだろう。
俺はその言葉で行くことを即決した。
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