第三十九話 ボス
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ダンジョンに入ってから2時間が経ち、やっと5階層に来た。このダンジョンは広すぎてただ歩くだけでも時間がかかる
だが、思っていた通りこの階層は人が少なくポツポツと魔物がいる。ほとんど牛の魔物のようだ。
「キシリカ戦闘準備だ。俺がバフをかけるからこっちに来てくれ。茉莉奈もフードを被って」
俺はわざと緊張感を出す。気を緩ませるとすぐに魔物の餌食になるから。
「わかったわ。まずはあの牛に行こうと思うわ」
「ああ。角と突進に気をつけてくれ。牛の急所は心臓や頭だと思うけど、あまりそこばかり意識しないようにして足を狙うようにすれば良いからな」
「わかった。サポートよろしくね。行ってくるわ!」
そう言ってキシリカは俺があげたミスリルの剣を抜いて牛に襲いかかった。前にキシリカが持っていた剣は決闘した時に俺が折ったので代わりにプレゼントした物だ。
初めての魔物戦闘にも関わらずにキシリカは恐れることもなく牛に接近する。
そして、ミスリルの剣、伝説級の防具、剣豪の才能、上級魔導士のバフを持ったキシリカは一振りで牛を叩き切った。
「やったわ。でも弱いわね、次に行きましょうよ」
「コラ!油断するな。弱くても何が起きるかわからないから最後まで集中しろよな」
「ごめんなさい...でも頑張ったわよね?」
「...ああ、よくやった」
キシリカの頭を撫でてあげると、嬉しそうに目をとろんとさせる。牛を一切りで倒した子だとは全く見えない。
「すごかったですね、あまり剣の事はわかりませんがキシリカ様がこんなに強いとは知りませんでした」
「これが剣豪の才能の力よ。それに私だって今まで剣の鍛錬を真面目にやってきたんだから」
ちなみに牛を切る時にキシリカはものすごい覇気を出したので、周りの魔物は逃げていった。なのでこんなにダラダラ話していても大丈夫だ。
覇気は別名闘気とも言われ、どんなに硬い物でも覇気を纏うと攻撃が通るようになる。なので、覇気を纏えない人と纏える人で戦闘力に大きな差が出る。しかし、たくさん魔物を狩る時には邪魔なので逆に抑えなければならない。
俺が子供の時に戦闘でこんなに覇気を出したら師匠に怒られるが、別に今は怒らなくても良いだろう。なのであとで教えてあげようと思う。
「じゃあ、魔物を倒しながら階段を探して行こうか。この調子で行くと昼までにボスまでたどり着けるだろう」
「わかったわ」
「あの、宝箱とかはないのでしょうか?この世界のダンジョンでは宝箱があるって聞いたことがあります」
ここで茉莉奈が宝箱について聞いてきた。確かに宝箱はたまに見つかるのだが...
「もっと50階層くらいに行かないと見つからないと思うな。ここら辺は全部見つかっていると思うからね」
「浅い階層の宝箱はゴミみたいなのしか入ってないって聞いたことがあるわ」
「そうだね、入っていてもそこら辺に生えている薬草とかだと思うから、魔物を狩った方がいいよ」
「そうだったんですね。ちょっと残念です」
もしかしたら茉莉奈は宝箱目当てでついてきたのかもしれない。意外な理由にちょっとびっくりだ。
「ごめんね。先に言っておけばよかったよ。じゃあ行こうか」
「うん!」
「はい、わかりました」
それから4時間くらい経ち、昼前にはボスのいる部屋の前に来た。ボスの部屋は1つしかないので、部屋の前には10組近くの冒険者パーティが並んでいた。ちなみにボスは死んだ3分後にリスポーンするから回転率は高い。
こう言った時間に他の冒険者とコミュニケーションを取ったり、パーティの勧誘をしたりするのだが、どう見てもレベルが高そうな俺たちに話しかけてくる人はいなかった。
キシリカが覇気を抑えることができないので、近づけないと理由もある。そもそも覇気を纏うことすら難しいのに、それを長時間垂れ流しにするキシリカは異常である。
ちなみに茉莉奈は状態異常無効の効果がある指輪をしているのでなんとも感じていない。俺はこのくらいだとびくともしない。
「多分まだまだ時間がかかるから昼にしようか。おにぎりでいいだろう?キシリカもニトロバイコーンに乗りな」
「わかったわ。私立ったままご飯食べられないからね。唐揚げないのかしら?」
「ごめんなさい。もう唐揚げはないんです。ウインナーならありますよ」
「それでいいわ。ありがとう」
「俺にもちょうだい」
「はいどうぞ」
ニトロバイコーンの上からウインナーの刺さった爪楊枝を渡してくる。もらったウインナーはちょっと冷めていた。
それから周りの冒険者に見られながら昼食を食べていると、すぐに順番が回ってきた。
「やっと次は私たちね。作戦はどうするの?」
「まずは俺がバフをかける。ミノタウロスは大きな斧を持っているから俺が風魔法で斧を叩き落とすからそのあとはキシリカがトドメを刺してくれ」
「私はどうしたらいいですか?」
「俺の近くにいてくれ」
「わかりました」
作戦を伝えているとちょうど扉が開き俺たちの順番が回ってきた。扉の先には3メートルほどのミノタウロスが立っており、片刃の斧を持っていた。
「行くぞ!」
「うん!」
俺が無詠唱で攻撃力と守備力と素早さを上げるバフをキシリカにかける。ミノタウロスは様子を窺っているのか動かない。
バフをかけ終え、俺は風魔法を放つ。かまいたちのような風が飛んでいき腕ごと斧を切り裂く。真っ赤な血が大量に出ているのでもう右腕は使えないだろう。
風魔法が修まると同時にキシリカがミノタウロスに襲いかかる。今まで一斬りで倒して来たが流石にボスは無理だったようで何度も斬っていく。
初めてキシリカの剣術をしっかりと見たがものすごく綺麗に舞うように斬りかかる。剣舞というやつだろう。
それから3分ほどキシリカが戦っていいるとミノタウロスが倒れる。一度も攻撃を受けなかったので俺の出る幕はあれから一度もなかった。その間茉莉奈にミノタウロスについて解説する時間があったのでいい時間だった。
「お疲れ様、惚れ惚れしたよ。これなら50階層くらいまでは行けるね」
「本当?いつか行きましょうね。これドロップ品よ」
キシリカは俺にミノタウロスの角を渡す。短剣くらいなら作れるだろう。それとも記念に取っておくのだろうか。
ミノタウロスが消えると同時に2つの魔法陣が現れる。1つは次の階層に行く魔法陣で、もう1つは1階層に戻る魔法陣だ。
「じゃあ帰ろうか、まだ昼の1時くらいだから冒険者の街を周ろうよ」
「そうね、珍しい物が売られているかもしれないからね。楽しみだわ」
「私も賛成です」
それからキシリカがもう1本ミスリルの剣を買ったり、茉莉奈が謎に鎖帷子を買ったりするのを見ていた。俺は流石に何も買わなかったが見るだけでも楽しい街だったので来てよかったと思う。
「よし、次はペルコ湖だから早めに出発しようか」
「はい、やっと目的地ですね。長かったようなあっという間だったような感じですね」
「本当そうね」
俺たちは冒険者の街を出てペルコ湖に向かった。さすが人気の観光地なのですれ違う馬車が自然と増えていく。
ペルコ湖ではキャンプをするつもりなので、久しぶりのキャンプだから楽しみだ!
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