第三十二話 出発
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「よし、出発しようか」
「そうね」
「はい」
まだ日が登る前に、旅行に向けて馬車に乗り込む。
このくらいに出発しないと次の街に夕方までにつかないのだ。
流石に朝早いので見送りに来る人はいない。
それにこんな時でもついて来そうな師匠対策でもある。
荷物はもう馬車に積んであるので、あとは乗り込むだけだ。
ちなみにこの馬車は元々6人乗りの馬車なので馬が4頭必要なのだが、ニトロバイコーンともう一体ホワイトユニコーンという魔物が二匹で引っ張っている。
本当はニトロバイコーン一体で引っ張ることはできるのだが、何だかかわいそうに思ったので、二匹にした。
ホワイトユニコーンはニトロバイコーンの番としてテイムしたのだが、イチャイチャしているところは見たことない。
それもそのはず、種族が違うのだから。
「いい馬車ね」
「この日の為に買ったんだ」
馬車など待っていなかったので新しく買ったのだが、意外にも種類が多くて驚いた。
あまり詳しくないので1番高いものを適当に買ったことは内緒だ。
「馬車に乗るのは初めてなんですが、御者が必要なのでは?」
「普通は必要だね、でもこの2頭は賢いからいらないんだ」
「すごいですね」
「なんてったってニトロバイコーンだからね」
俺は自信満々に答える。
しかし、そんなことは興味ないのか茉莉奈は話が終わる前に馬車に乗り込む。
キシリカを除きニトロバイコーンが好きなのは男だけだからな。
前世のスポーツカーみたいなものだと思ってほしい。
「早く行くわよ」
「わかった」
こうして、俺たちは孤児院を出発した。
◆◇◆◇
「馬車って思っているほど揺れないんですね」
「違うわよ。普通の馬車はもっと揺れるのよ。あなたが魔法で振動を抑えているのよね?」
「そうだよ。せっかくの旅行なのに車酔いになりたくないからね」
「それもそうですね。しかし、さっき酔って来たから膝枕して欲しいって言ったじゃないですか」
「え?あ、不思議と酔ってきたな...」
俺は今茉莉奈に膝枕してもらっている。
ずっと座っているのが辛かったので長椅子に寝転がろうと思ったのだが、せっかくなので膝枕をして貰った。でも、すぐに痺れたと言って俺はどかされてしまったので、俺は車酔いをしたと嘘をついた。
こんなところで嘘がバレてしまうとは...
「しょうがないですね。今日だけですよ」
そう言って、茉莉奈は優しく微笑んだ。
結婚してから茉莉奈が微笑む事が多くなった気がする。
「ありがとう」
「ちょっと、私の前でイチャつかないでくれる。それにしてもお腹空いて来たわね。もうすぐお昼の時間じゃないの?」
「そうですね、今日は私がお弁当を作って来ましたよ」
「いいね、楽しみにしていたんだ」
「前に約束していましたから」
前にピクニックに行った時にお弁当を作ってもらうように約束した。
そのことを覚えていてくれたようだ。
「どこで食べるの?」
「ここら辺でいいんじゃない?人もいないし」
「そうですね」
近くにキャンプができそうな広場があった。
前に誰かが野営をしてそのままにしていたのか、丸太で作ってある簡易的な椅子と机が置いてある。
「どうぞ」
茉莉奈が弁当を広げる。
何だか運動会のお昼に家族で囲んで食べたのを思い出す。
このタイプの弁当箱って重箱って言うんだっけ?
「おにぎりがたくさん入っているわね」
「はい、こう言う時はやっぱりおにぎりですよね」
「そうなの?」
「異世界ではそうなんじゃない」
俺も心の中ではその通りだと頷く。
ちなみに一段目が3種類のおにぎりといなり寿司、二段目が唐揚げや卵焼きなどのおかず系、三段目がポテトサラダなどのサラダ系とデザートが入っている。
たくさん弁当の定番が入っていた。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
「スープももう少し待ってください」
「わかった」
キシリカが皿を配り、茉莉奈はスープを温め始めた。
3人分にしては量が多い気がするが、茉莉奈が張り切って作ったことがよくわかる。
「それじゃあ、食べようか。いただきます」
「いただきます!」
「召し上がれ」
やっぱり外で食べる弁当は美味しいな。
「おい、キシリカ。唐揚げ食べ過ぎだぞ」
「まだ3つしか食べてないわよ...」
「6つしか入ってないんだぞ...」
「細かいわね」
「まぁまぁ」
突如、唐揚げ争奪戦が始まったりしたものの、楽しい昼食となった。
「それで、あとどのくらいで着くの?」
「あと4時間くらいだと思う」
「まだまだあるのね」
「しょうがないですよ。でも、この調子じゃ全部回るのに1ヶ月かかるのでは?」
「いや、王都から1つ目の町までが遠いだけで、そこからは2時間くらいの間隔であるから、今日我慢すれば大丈夫」
「そうだったのですね、安心しました」
「それで1番目の街はあなたが選んだのよね。どんな街なの?」
目的地のペルコ湖までに多くの街があるのだが、ルートが何通りもあるので、好きな街を選ぶことができる。
なので、それぞれ1人1つずつ行きたい街を選んでいる。
そして、最初の街は俺が選んだ。
「俺が選んだのはマクリス街だよ」
「どんな街なのですか?」
「教えないよ〜、楽しみにしていてよ」
「そうですね。私が選んだ街も楽しみにしていてください」
「私もよ」
「わかった。おっ!見えて来たんじゃないか?」
3人で話しているとあっという間に最初の街についた。
ちょっと到着が遅れて日が沈み始めているが、街は物凄く明るい。
これがこの街の特徴の1つである。
その景色を見て、俺は久しぶりに心が踊っていた。
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