第三話 仕事内容
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「では、詳細は別室で話そうではないか」
「はい」
◆◇◆◇
謁見が終わり陛下と父上と俺の3人でこれのために用意された会議室に行く。
3人でと言っても陛下に護衛がつかないわけはないので、この3人の他にも近衛騎士団や書記担当の家令などが会議室で待っている。
さすがに上級魔導士の俺を警戒しているのか近衛騎士団は魔導士の兵が用意されていた。
でも初めて見た魔導士なのでそこまで強くはないのだろう。陛下を逃すための時間が稼げたらいいのだろう。
俺は暴れるつもりは全くないけど...
陛下が席についてから他の人たちが席に着く。近衛騎士団は座らないようで、陛下の後ろに2人、俺の後ろに1人立つ。居心地は少し悪いがここで文句を言うと反論を買いそうなので何も言わない。
準備が整うを待って陛下がまず口を開いた。
「まず、何から話そうか?」
「そうですね、異世界人をどうやって探すかですね」
俺がいかに上級魔導士と言っても、一度会ったことがある魔法使いを探すなら簡単だが、会ったことのない異世界人を探すことなど魔法を使ってもほぼ不可能だ。
まずは探し方から話し始めた方がいい。
ちなみに給料や休息日などについて聞かないのは他の役職と同じように大体王家が決めているからだ。
たまにものすごく稼いでいる役職持ちの貴族がいるのだが、それは間違いなく賄賂など悪い方法で稼いでいるのですぐに処罰される。
「それについては地道にやっていくしかないの、全ての地方貴族に異世界人を保護したら報奨金を出すように言ってある」
「そうですか、いろんな街に行き交う商人も情報が入りやすいと思うので、私から話しておきたいと思います」
積極的に意見を言うのは陛下に仕事を頑張るとアピールするためだ。これは前世で学んだ。
「わかった」
「次に一時的に保護する場所ですね、シルトクレーテ侯爵家でいいのでしょうか?」
シルトクレーテ侯爵家はシュトレント王国で大貴族にあたる。なので家族や使用人など以外は簡単にシルトクレーテ侯爵家の屋敷に入ることができない。
もちろん平民は間違いなく入ることができないし、それも異世界人なので知らない人を屋敷に入れていいのかわからない。
「そのことについては問題ない、我の娘が孤児院を運営している。そこが使えるように話をつけてある」
「わかりました」
「ちなみにだがな」
ここまで何も言わずに聞いていた父上が口を開いた。よくこの人は陛下との会話に割り込むことができるな。
「なんですか?父上」
「その孤児院を運営しているキシリカ様がお前の婚約者だ。お転婆らしいので頑張れよ」
「え?突然すぎません!」
「我からも頼むな」
今まで兄たちと違って俺には婚約者を用意されなかったのでどうリアクションしたらいいのかわからない。断ろうと思っても陛下に頼まれると何も言えなくなる。
今まで自由に過ごせていたのに遂に俺も世帯持ちになってしまうのか...
まぁ、これは後でいいか。
「はぁ、そうなのですか。この話は後にしましょう。次に異世界に送り返さないほうがいいですか?」
「戻せれるものなら戻してあげたいな、流石にできないだろう?」
「簡単にできますよ」
「「は?」」
そうだった、たまにだが古代文明の頃にできて現代では失われた魔法がある。俺は古代文字が読めるので、異世界転移魔法が使える。
ちなみに一度日本にから○げ君を食べに行ったことがある。異世界は今のところ地球にしか行けないけどね。
俺は異世界転移魔法を使うことができ、異世界人を元に戻すことができると2人に伝える。
「この魔法は古代文明時代の魔法でした。難しくないので教えたら上級魔導士なら誰でも使えると思います」
異世界転移魔法は消費魔力が魔法の中でも一段遠いので、相当魔力量が多い人にしか使うことができない。俺でも1日ギリギリ2回と言うところだ。
「そ、そうか、そこは異世界人と要相談で頼む」
「わかりました。最後に仕事とは関係のない質問なのですが、異世界人を助けてどうするのですか?」
俺は別に他の人がどうなろうが仕事なので関係ないと思うが、異世界人を使って実験するのなら止めよう。
異世界人を好き勝手して滅んだ国があると前世の漫画で見たことがあるから。
「そうだな、異世界人は必ず皆が羨む才能を持ってこの世界に来る。しかしな、全員戦闘経験はないのだ。この国では魔導士の方が強いから活用はしないが、他の国では違う。なら我が国で保護するのが得策であると考えた」
「そうなのですね...」
そう言う理由なら納得だ。この世界には俺が住んでいるシュトレント王国の他に、同じ大きさの領土を誇るジラグレット帝国がある。この二つの周りに小国が12と魔族が多くいる魔大陸がある。
ジラグレット帝国以外は戦力的に考えて脅威ではないが、異世界人の存在はそれを大きく覆すと陛下は考えているのだろう。
「どうした?」
「いえ、陛下の考え理解いたしました」
「うむ」
「では私は時間があるので孤児院に向かいたいと思います」
「そうか、なら俺はここで帰ろうかな。陛下これからも息子をお願いします」
仕事内容を3人で確認した後、俺は孤児院に向かった。
俺の婚約者がいるらしいので少し緊張する。
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