第二十六話 テレフォン
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今日も授業が終わり教室でみんなが帰るのを待っていた。
よく授業終わりに質問に来る生徒がいるのでそういった子のためである。
あまりたくさんは来ないが必要なことだ。
そんな中、教室の隅で無言で見つめ合っていた男子生徒たちがいた。
いつもは元気よく外で遊んでいた子達だったので俺は気になった。
「お前たち何しているんだ?」
「あ!先生だ。パムくんの才能がすごいんだよ!」
パムとは俺のクラスの生徒で、頭が良くて気のいい子だ。孤児院出身ではないが、親が通わせてくれたのだろう。
パムはもうすぐ10歳ぐらいだろうから、若干才能が目覚めるのが少し早いかな。
しかし、同い年の子達にとってはちょっと驚くよね。
「良かったな!それでどんな才能なんだ?」
俺はパムに聞いてみた。
「え〜とですね、声を出さなくても相手に伝えたいことを届けられます」
「頭に直接話しかける感じか?」
「そうです。不思議な感じですよね」
この才能はもしかしたら知っているかもしれない。
「ちょっと俺に話しかけてくれ」
「わかりました」
そういってパムは俺をグッと見てきた。
今はそうしないとできないのだろう。
『先生、聞こえますか?』
『ああ、聞こえているよ』
頭に声が届いてくる。
この感じは間違いない。
「この才能はテレフォンだな。前にこの才能を持っている人に同じことをしてもらったことがあるけど、こんな感じだった」
「テレフォンってすごいんですか?」
「そうだね。遠くにいる人とでも会話できるから、この才能を持っている人を欲しがっている貴族は多いね」
俺の実家にも1人いた。
いつも父上の側で働いていたのを思い出す。
テレフォンは俺の超読解や茉莉奈の超記憶に比べたら珍しくはないが、才能の中では珍しい部類に入る。
「すごいなパム」
「俺も早く才能が欲しいよ」
「みんなもいつか手に入るよ」
「そうだな、才能は誰でも持っているからね。間違いなく手に入るよ」
才能がない人なんて聞いたことがない。
俺がみんなに言い聞かせる。
「「「「「わかりました!!!」」」」」
「よし!」
みんな才能がまだ目覚めていなくても、パムに嫉妬はしないようだ。
これでいじめになったら悲しいからな。
俺の考え過ぎかな?
でも、テレフォンの才能が珍しい事には間違いない。
なんとしてもパムが他の貴族から手を出させないようにしないと。
「パムは将来何をしたいか決まっているのか?」
「はい!プロサッカー選手になりたいです!」
「そうか...」
10歳ぐらいの子供の夢なんてこんなものか。
可愛らしいものだ。
「パムが学校を卒業したらここで働かないか?その才能ならここでも十分仕事があると思うし、将来的にサッカーチームを作ろうと思っていたからちょうどよくないか?」
「え?」
前から思っていたのだが、異世界人が定期的に無計画で来るから孤児院から離れなくなっていたのだ。
このせいで旅行などの遠出ができなかったので俺たちは困っていた。
なので、パムのような才能を待っている人が欲しかった。
これなら、旅行先にいてもテレフォンで異世界人が来たことを知らせてもらって、すぐに転移魔法で孤児院に戻って、ピュッと帰して、また旅行先に転移魔法で戻ることができる。
諦めていた新婚旅行もできるぞ。
別にパムを騙して働かせようとは思ってない。
まぁ、サッカーチームを作ろうとは今考えたけどね。
「パムならできると思うから考えてくれないかな、他の所で働くよりはましだと思うよ」
「本当ですか?頑張ってみようかな」
「ああ、卒業までまだまだあるから前向きに考えてくれ」
「わかりました」
パムは笑顔で了承してくれた。
その笑顔に俺の良心が痛む。
別に騙していないのに...
「あとこれからたまにお願いすることがあるかもしれないから、手伝ってくれないか?」
「暇な時なら大丈夫ですよ」
「ありがとう、ちゃんと給料は出すからな」
「やったー!」
パムはなんていい子なんだろう。
これで新婚旅行は問題ないかな。
「パムはいいな」
「うん、僕も働きたい」
「みんなも才能が目覚めたら教えてくれ、そしたら何か頼み事があるかもしれない」
「本当ですか?」
「わかりました」
「ああ、それにしても結構長いこと話してしまったな。もう帰りなさい」
「「「「「わかりました!!!」」」」」
そういって生徒たちは帰っていった。
◆◇◆◇
夕食の時間に新婚旅行に行けるようになったことを2人に話した。
「え!やったー、どこにしようかしら」
「私はいろんなところに行きたいです」
2人共新婚旅行に行けるようになったことを喜んでいた。
行けないかもと俺が言った時は「しょうがないよ」と優しく言ってくれたが、本心は残念がっていたのだろう。
「それで、何で行けるようになったの?」
「生徒の1人にテレフォンの才能がいたんだよ。その子に頼めば遠くにいても来た事を教えてくれるからね」
「なるほど、運が良かったわね。さすがのお父様でも忙しいテレフォン持ちを貸してくれないからね」
「そうだな」
やっぱり王家でもテレフォンは珍しいらしい。
それは本当に運が良かった。
「才能とはそんなこともできるのですね」
「今回は珍しい部類だね、普通才能って字が上手に書けたり、足が速かったり、そんなものなんだよ。茉莉奈の超記憶は無茶苦茶珍しいんだよ」
「そうなんですね」
「そんなことよりも早く旅先を決めるわよ」
「いつの間にこんなに買っていたんだ?」
キシリカは大量のパンフレットを持ってきた。
「新婚旅行ができなくても、いつか茉莉奈と2人で旅行に行こうと思っていたからね」
「はい、旦那様はここから離れられないと聞いていたので」
「え!」
まさか裏でそんな恐ろしい計画を立てていたとは。
俺は仲間外れにされていたことにショックを受けつつも、2人がそこまで仲良くなっていたことが嬉しく、謎の感情が俺の中に湧いてくるのだった。
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