第二十五話 結婚話
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朝、食堂に行くと花さんが死んだ目で机に伏せていた。
朝食も食べずに、コーヒーすら手をつけていなかったが大丈夫なのだろうか?
しかし、俺はそんなことよりも近くに置いてあった十数枚の紙に目がいった。
1枚に1つずつ細かく何かが書いてある。
これが頼んであったウエディングドレスのデザインだろう。
どうやら無事に完成したようだ。
「あ!できたのね!」
『あ、どうにかできました...』
花さんは疲れているようだが説明はしてくれるようだ。
真面目な人だな。
キシリカには伝わっていなかったけど。
「異世界にはこんなにも種類があるのね。迷ってしまうわ」
「そうですね。私もこんなにあるとは知りませんでした」
『この5枚が私が考えた物です。後は少し自信がなかったので、元々あったデザインを一応書いてみました』
なんて仕事ができる人なんだ。
依頼者のために選択肢を増やしてくれたようだ。
花さんが言ったことを茉莉奈が伝えていた。
「そうなのね。じっくりと選ばせてもらうわ」
「ええ、私のも選ばないと」
どうやら、キシリカたちは満足したようだ。
ものすごくいい笑顔で選んでいた。
『お願いしますね。自信作もあるので』
『それにしても花さんは辛そうだな。寝不足か?それなら少し寝てきたらどうだ?』
『いえ、寝不足じゃないんです。実は...』
何だか言いづらそうにしている。
でも、ほっとくわけにはいけない。
『何か持病があったりするのか?』
『ち、違うんです!実は昨日茉莉奈さんがご馳走を作ってくれてですね。いつもは一人暮らしであんなに美味しい物は食べていなかったんです。それで食べ過ぎてしまって...』
『あ、なるほどね』
どうやらただの胃もたれだったようだ。
女性なら言いづらいよね。
『それなら何とかできると思うよ』
そう言って俺は花さんのお腹に回復魔法をかけた。
回復魔法は魔法の中でも難しい部類に入るので、俺はよく父上に呼び出されて使うことが多いのだが、胃もたれに使ったのは初めてだ。
『すごい、これが魔法なんですね。帰る前に見られて良かったです。それにしてもお腹が治りましたよ!』
『すごいだろ』
回復魔法をかけると金色の粒子が舞う。
だから綺麗な見た目に驚いたのだろう。
『もう帰らないとな、準備はいいか?』
『はい、お世話になりました』
『いや、こっちの方が世話になったよ。後これデザイン代ね』
こう言って俺は小さな箱に入った1カラットぐらいのダイヤモンドを渡した。
前に大商人を助けたときにもらった物だ。
『え!これってダイヤモンドじゃないですか?』
『そうだよ、茉莉奈が異世界でも価値があるって言っていたから大丈夫でしょう』
『そうじゃなくて、本当にいいんですか...』
花さんは慌てながらもダイヤモンドから目を離さない。
どうやら気に入ってくれたようだ。
『いいよ、それよりもいい仕事してもらったからね』
『ありがとうございます!』
ようやく受け取ってもらえた。
「もう帰るのね」
「もう少しいたらどうですか?」
ここでウエディングドレスに夢中だった2人がやってきた。
「花さんも忙しんだよ」
「そうなのね、あれだけすごいものを作れるなら仕方ないわね」
「納得ですね」
2人はどうやら本当に花さんの実力を認めているようだ。
『花さんはすごいって2人が行っているよ。だから明日も仕事で忙しいのは納得だって』
『違うんですよ。そもそも私まだ見習いなので、仕事はほとんどないです』
『そうなのか?』
『なら、明日は何があるのですか?』
2人は質問攻めにする。
あまり、深入れしたらダメだと思うけど。
『え〜とですね、彼氏とデートです。もうすぐ付き合って3年になるんですけど、もしかしたらもうすぐ...』
花さんが真っ赤な顔で答える。
前世の俺ならこんな話聞きたくなかった。
だけど今なら婚約者が2人もいるから俺は余裕を持って聞ける。
キシリカにも俺が通訳をしてあげる。
「それってもしかして!」
「もしかして!」
『結婚かなって...』
「「キャーーーー!!!!」」
3人が恋バナに盛り上がっている。
2人ともこういうことに興味は無さそうだけど、意外に好きなことに俺は驚いた。
「盛り上がっているところ悪いが、帰らないと」
「そうだね、デートに遅れてしまうわ。ウエディングドレスありがとうね」
『本当ですよ。私は諦めていたのであなたのおかげで夢が叶いました。明日のデート頑張ってくださいね』
『わかりました、結婚式楽しんでくださいね。それではお願いします。エルシアンさん、キシリカさん、茉莉奈さん、さようなら』
『じゃあね』
「さよなら」
『また会いましょうね』
こうして花さんは俺たちに別れを告げて、元の世界に戻っていった。
それにしても、結婚式が近づいてきた事に実感が湧いて来た。
結婚式の話をしたいので俺たちはいつも3人で寛いでいるスペースに向かう。
「結婚式の準備はもう済んだか?」
「そうね、後はウエディングドレスの完成を待つだけって感じね」
「私もそうですね、料理の手配などはもう済んでいます」
「でもウエディングドレスなんて簡単にできないよね」
前世でウエディングドレスを作るには3ヶ月掛かると聞いたことがある。
姉が必死に選んでいたのを覚えていた。
「そんな事ないわね、王都中の職人を集めて作らせるからあと3週間あれば2着完成するわ」
「さすがお姫様だね」
さすが根っからの王族だ。
まさか王都中から集めるとは思わなかった。
俺はどうしても考え方が前世に引っ張られてしまうから。
「もうウエディングドレスは選んだのか?」
「まだよ、一緒に選びましょう」
「そうです。旦那様の意見も聞かないといけないですね」
「ならこっちのちょっとエッチなのにしようかな」
「これ?別にこれくらい良いけど他の人も見るのよ」
「そうですね」
「そ、そうだね。ならこっちにしようよ」
「急に露出が少ないの選んだわね」
「旦那様は結構独占欲強いですね」
「そんな事ないと思わなくもないような...」
こうしてふざけながらも真面目にウエディングドレスを選んだ。
結局2人は花さんが考えたデザインを選んだようだ。
俺もこのデザインには納得である。
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