第二十四話 デザイナー
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今日はいつもより遅く起きた。
昨日父上のサッカーチームに混じって試合をしたのだが思いのほか楽しかった。
その試合終わりにお疲れ様会に参加したのだが、いつものキシリカたちと飲むのとは違い、騒がしい宴会となった。
だが、これはこれでものすごく盛り上がった。
酔っ払って裸になるもの、男同士なのにキスをするもの、父上が肉を持って踊り始めたときは驚いた。
そんな父上もおふくろに怒られながら連れて帰らされていたが。
それから、父上が連れ去られて行ったので宴会は終了したのだが、その頃にはもう日が出ていた。
その後に寝たので今日は昼ぐらいに起きたのだ。
昼食を食べに食堂に行くとキシリカが不機嫌顔で座っていた。
「あら、朝帰りのエルくんではないの。いいご身分だわ」
「しょうがないいよ。これも大人の付き合いってやつだね」
どうやらキシリカは何も伝えずに朝帰りしたことに不満らしい。それにエルくんなんて初めて呼ばれたぞ。
「旦那様、もしや女性のところに言っていたわけではないですよね?」
ここで茉莉奈も会話に入ってきた。
「え!そんなわけないじゃん。俺はそこまで性欲は強くないよ」
「本当でしょうね?」
「もちろん、ずっと父上と一緒にいたから信じられないなら聞いてきたらいいよ?」
「しょうがない、今日はあなたを信じてあげましょう」
「そうですね、次はないと思ってください」
「...わかりました」
今まで俺が宴会に行ってなかったので、ここまで2人が嫉妬するとは知らなかった。
意外な一面を見たな。
本当に悪い事をやっていないのに俺は萎縮してしまう。
「そして、この人は誰?」
俺は茉莉奈の隣に座っていた女性のことを聞いた。
初めて見る顔だ。
「この女性は異世界人です。旦那様が寝ている間にやって来ました」
「そうよ、あなたが寝ている間にね!」
どうやらこの女性は今月の異世界人のようだ。
それにしても、キシリカはまだ少し怒っている。後でなでなでしてあげないと。
「もう粗方の説明は行いましたので、あとはお願いします」
「おお、わかった。さすが茉莉奈は仕事が早いな」
「いえ、これぐらい容易いことです」
茉莉奈は当たり前と言いながらも褒められて顔が少し赤くなっていた。
意外に茉莉奈はちょろいのだ。
そんなことよりも今は異世界人だ。
『初めまして、俺の名前はエルシアンと言う。あなたの名前は?』
『あ!あなたも日本語を話せるんですね。私は橘花です』
『花さんは聞いたと思うけど異世界に帰れるから安心してくれ。すぐに帰るか?』
『そうですね、お願いします』
この人は異世界に興味はないようだ。ぶっちゃけ世話をするのにもお金がかかるのでそっちの方が助かる。
それにしても花さんは派手な服を着ているな。
『異世界ではそういう服が流行っているのか?』
『いえ、私の世界でもこう言った服を来ている人は珍しいですね。これは私がデザインした服なんです』
『え!そうなの?』
『はい、私は服専門のデザイナーになりたいんです。こう見えて若手の中では優秀な方なんですよ』
どうやら、花さんは服飾系の仕事をしているらしい。
本人には言えないが大人びて見えるので若手と言ってもいいのかは分からないが...
『へー、かっこいいね』
『ありがとうございます。いつかはウエディングドレスをデザインするのが夢なんです』
「え!!!」
「どうした?」
ウエディングドレスと聞いて茉莉奈が反応した。
「私たち今ウエディングドレスを探しているんですけど、なかなか良いのが見つからないから新しく作ろうと思っていたとこなんです。私がいた世界のウエディングドレスと比べたら、この世界のウエディングドレスはちょっとって感じですね。だから同郷の花さんにデザインして貰いたいです。」
「もしかして、この人が作れるの?お願いしましょうよ!」
あまり2人は結婚式のことは俺に伝えてこないので、ウエディングドレスに悩んでいたとは知らなかった。
しかし、1つ問題がある。
「でも花さんはもう帰るって言っているよ?」
「そこを何とかお願い!」
「そうです。この人にしか頼めません!」
いつもより必死な2人に俺も頼みたくなる。
『別にこれを断ったとしてもちゃんと元の世界に俺が戻す。でもどうかこの2人のウエディングドレスを考えてくれないか?』
俺たちは頭を下げる。
花さんは急だったので驚いていたが良い返事をくれた。
『私で良いのですか?私はまだ見習いみたいな者です。なので納得できるものができるとは...』
『別に花さんが最後まで作るわけではないのだろ?デザインだけ考えてくれたら後はこっちの職人に頼もうと思っているから』
『そうですね、あまり考え込まないでください』
2人で猛プッシュをする。
もう花さんを逃す気はない。
『わかりました。しかし、明日の夜までには帰りたいので今から部屋を用意してもらっても良いですか?』
『もちろんだよ、1番大きい部屋を使ってくれ』
『私もこれからご馳走を用意しますね』
花さんが承諾をしてくれたので2人はものすごく喜んでいた。
だからこれくらいのサービスは容易いことだ。
『ありがとうございます。それでは頑張りますね』
『ああ、お願いする』
そう伝えて花さんはやる気に満ちた顔で部屋に籠った。
ウエディングドレスを作るのが夢と言っていたので、知識はあるのだろう。
2人のために頑張って欲しいものだ。
茉莉奈はご飯を作りに行ったので、俺はキシリカと結婚式のことを話し合った。
しかし、半分以上はただイチャイチャしてしまった。
頑張っている花さんには悪い気がしないでもない。
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