第十話 帰りたくない異世界人
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『あなたが今日来た異世界人ですか?』
『異世界?やっぱりここは日本ではないのですか...』
松山さんが異世界に帰ってから1ヶ月が経ってからまた異世界人が来たと報告が来た。
今回はおじさんではなくどうやら俺より年下に見える女の子だった。
『落ち込む気持ちはわからないでもないが、俺がちゃんと元の世界に戻してあげるよ』
『戻れるのですか!』
『ああ、すぐにでも戻してあげるよ』
そういうといきなり女の子の顔が険しくなった。松山さんは帰れると聞いて何よりも嬉しい顔をしてくれたが、今回は逆の反応をする。
『そうなのですか、あの...絶対に戻らなければいけないのですか?』
『え?』
元の世界に帰ることが嫌だと感じられる。
俺の予想が合っているのなら元の世界に何かしらあったのだろう。
『もしかして帰りたくない感じかな?』
『はい、私が帰ったとしても誰にも気づかれることはありませんし、就職できなかったので働くところもありません。できればここでの働き場を紹介していただけませんか?』
話を聞く限り大学を卒業した社会人のようだ。あまり見えないが卒業してから就職に失敗したのだろう。
ここでは大卒など関係ないが。
それでも俺が求めていたこの世界で就職希望の異世界人なので、ここで拒否する理由はない。
まずは居住地の確保だ。日本語しか話せない女の子をそこら辺の宿に1人で住まわせるわけには行かないから。
「キシリカ、異世界人用の屋敷はもうできたのか?」
「できたわよ、なんてたってお父様からの勅命だもの。誰でも一生懸命働くわ!」
なぜこいつがドヤ顔なのかわからないが、勅命なら誰でも死ぬ気で働くだろう。王家からの依頼なら報酬も破格だろうしな。
異世界人用の屋敷ができているのならこの女の子がここに残っても大丈夫だろう。
働き先については今すぐ考えなくてもいい、候補もあるがこの世界に慣れるのが先だと思うし。
先送りとも言うけど...
『もし元の世界にに戻りたくないならここに住めばいい、仕事もどうにかするよ。しかし、1週間経ったら戻れなくなるからそれまでは帰還を受け付ける』
『ありがとうございます。あと少し聞きたいのですが、この世界に来てから皆さんの言っていることがスッと頭に入ってくるのです。これはこの世界に来たことと関係していますか?』
記憶力をよくする魔法など聞いたことがない、青いロボットが出す暗○パンのような食べ物もこの世界にはない。
もしこの子が嘘を付かずに本当のことならあの可能性が高い。
『なんだろうな、この世界に来た時になんか天啓みたいなの降りなかったか?』
『そういえば記憶力が良くなるのとか知らないおじさんに言われた気がします』
それだ、本に昔はそういう才能があったという話を読んだ気がする。それに俺がこの世界に来る時にもおじさんが現れた。
今真剣に考えるとあれは神様だったのではないだろうか。本当のことはわからないけど。
『昔、超記憶という才能を持っている人がいたと読んだことがある。それかもしれないな!』
『才能ですか...』
『ああ!人それぞれに与えられる能力のことだ。あとでこの世界の言語を俺が教えるからその才能を試してみよう!!!』
俺は今テンションが上がっていた。
もしこれの考えが合っていたとしたらこいつは必ず俺の役に立つだろう。
『ええ...よろしくお願いします...』
突然俺のテンションがいきなり上がったので若干引いていた。だがこれから世話になるので仲良くならなければな。
なので今日は歓迎パーティーだ!
◆◇◆◇
この子の名前は古賀茉莉奈と言うらしい。22歳で俺よりも年上だが童顔なので高校生と言われても疑われないだろう。
茉莉奈がこの世界に来てから2週間が経った。
あれから驚くようなスピードで言葉を覚え、今はメイドの仕事を学んでいる。
それに俺の世話係に任命されているらしい。
俺は1人で孤児院に来たので専属の使用人がいなかっため意外に助かっている。実家にいたメイドと変わらないほど洗練されているので、使用人の経験はあるのか聞いたところ、全く無いらしい。
しかし俺のテンションが上がっていた理由は異世界人と話せる人が俺以外にも出て来たからだ。
前回の松山さんに王都案内する際に、俺がいないと言葉が通じないためついて行ったが、正直このままだとダメと感じていた。
なので異世界人であり、この世界の言葉を覚えた茉莉奈の登場は助かった。
ちなみに1週間以上経ったが何も言わないので戻るつもりはないのだろう。俺の悩みを全て解決してくれる人材だ。大切にしないと。
「旦那様外出いたしますか?」
茉莉奈は俺のことを旦那様と言う。普通メイドならご主人様とかだろうが、綺麗な女性に旦那様と言われるのは嬉しいので了承している。そしてまりなは当たり前のようにこの世界の言葉を話す。
「魔法の練習をしてくる」
「わかりました。昼は私の世界の料理を用意しておきます」
日本の料理だと!久しぶりに食べる。今まで身の回りの世話だけだったが、遂に料理人からキッチンの使用許可が出たのだろう。
「それは楽しみだな、それと異世界人が来たら手伝ってもらうから準備は怠らないようにしといてくれ」
「わかりました」
こうして初の助手兼世話係を手に入れた。
しかし、俺の近くに女の子が来たため、一名だけ良い顔をしていない人がいた...
それはまた別の話だ。
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