本拠地の戦い
「バカね! 戦うのは私ではないわ」
そう言うと、ドクター・チヴは飛び退いた。
「出なさい! 私の可愛い怪人ちゃん!」
「わ……ワシか」
超清廉潔白社長クマラーがそう言いながら、割れた窓からもじもじと入ってきた。
「ワシ……、ギゼンの新首領だと思ってたんじゃが……」
「ここは新たに結成された美乳戦隊ビニュレンジャーの本拠地よ」
ドクター・チヴがほくそえむ。
「ここを潰してしまえばコイツらは再起不能! つまりこれは最後の戦いなのよ! そこに出るべきはあなたでしょう? ギゼンの新首領、超清廉潔白社長クマラーさん!」
「うおぉ……」
クマラーはやる気のあまり出ない感じの雄叫びを上げた。
「やるしかないのかー」
「しかもあっちは1人足りないわ」
ドクター・チヴは窓から外へ避難しながら、高笑う。
「陽奈がいない今こそ、敵を壊滅させるチャンスよ」
「ここで戦うの、玲子さん?」
優美が聞く。
「せっかくの新事務所、めちゃくちゃになっちゃうよ?」
「大丈夫よ」
玲子はクールに言い放った。
「お金はいくらでもあるもの」
「では、行くぞー」
クマラーがヒグマのごとく両手を掲げた。
「死ねー、ビニュレンジャーども」
「くっ……! こんな狭いところ、動きにくいな」
美乳イエローこと堀スタインが舌打ちする。
「オレの長い手足とデカい胸が邪魔だっ!」
「ほんとだ! 動きにくい!」
美乳ゴールドこと平野ぺたが喜びの声を上げた。
「すごい! すごい! おっぱいが大きいのって、こんなに動きにくいんだね!?」
「アイツの弱点はわかってる」
美乳グリーンこと千々梨マリアが冷静に分析する。
「自分は清廉潔白だって思い込んでいるその自尊心をめちゃめちゃにしてあげればいいのよ」
「……ってことで、行けっ! 美乳ブラウン!」
元貧乳ピンク、現美乳ブラックこと鬱布瑛華が犬に命令するように言った。
「アイツに捕まって、おっぱいもみもみされて、アイツの自尊心をめちゃめちゃにしてやるんだっ!」
「断る」
元巨乳ピンク、現美乳ブラウンこと出階堂小心はそれだけ言った。
「……仕方がないな。……じゃ、わたしが……」
元貧乳ブルー、現美乳ピンクこと微風ユレンが頬を染めながら前へ出た。
「いや! ユレン! そんなことせんでええ! 自己犠牲精神が過ぎるで!」
美乳ブルーこと青野ヶ原虚無子が必死で止めた。
「あーのーね、みんな?」
美乳レッド2号こと千々梨優美が叱る口調で言った。
「私たち、新生スーパー戦隊だよ? 姑息なことしなくても、あんなムッツリスケベおやじぐらい、正攻法で倒せる!」
「優美さんの言う通りよ」
美乳レッド1号こと獏羽生玲子が自信たっぷりに言い放った。
「みんなの美乳パワーをわたくしに集めなさい。一瞬で葬って差し上げるわ、超テラ爆乳波で」
その頃、元巨乳グリーン、現美乳ホワイトこと牛野陽奈は捕まり、社会悪の秘密組織ギゼンのアジト内にいた。
「あー……。あたし……、確か、千房と町で久々に再会したと思ったら、眠りガスを嗅がされたのよね……。ってことは、ここはギゼンのアジトかー……」
そこは薄暗い石の牢獄で、鉄格子が彼女を閉じ込めていた。
「フフフ……。お目覚めかね、巨乳グリーンくん?」
そう言いながら、鉄格子の外に、白衣の老人が姿を見せた。
「お陰様でよく眠れたわ。あー、スッキリしちゃった」
呑気にそう言いながら伸びをする陽奈に、老人の目尻が嫌らしく垂れ下がる。
「フフフ……、いい乳じゃ」
伸びをした時に、そのHカップの乳房が、ダイナミックに揺れたのである。
「ところであたし、もう巨乳グリーンじゃないのよ。これからは美乳ホワイトと呼んでくださる? ところでお爺さまはどなた?」
「わしの名は松戸バーカー博士。ギゼンの誇る天才マッド・サイエンティストじゃ。これからおまえさんを改造し、とってもスケベな怪人を作るのじゃ。ヒヒヒヒ!」
「あら。それは無理ね」
陽奈は鉄格子に自分の身体を押しつけ、余裕たっぷりに笑った。
「だってあたし、これ以上スケベになりようがないもの」
「なっ……!? 何をしておる!?」
松戸博士がうろたえる。
陽奈のHカップの乳房が、鉄格子の間からむにゅむにゅと、外へ飛び出した。
「ああん……! 苦しいっ!」
陽奈が悶える。
「お爺さま! コレ、なんとかしてえっ!」




