貧乳ピンクの幼さ
「とりあえず」
漉王老師がグリーンを除いた貧乳戦隊の4人を前に立たせ、みんなに言った。
「さっきのグリーンみたいにそれぞれ、自己紹介せいっ」
姿勢を正し、まずはリーダーのレッドが声を張り上げる。
「貧乳レッドこと千々梨優美! 19歳! Aカップです!」
「ウム。名前の通りの乳なしじゃな。清々しい」
レッドは老師のセクハラ発言に、必死に耐えた。
「貧乳イエローこと平野ぺた! 20歳です! え……、Aカップ……」
「名前の通りのぺったんこ平野じゃの」
殴りかかろうとするイエローをみんなが必死で止める。
「ひ、貧乳ブルーこと……」
「何っ!? 聞こえん! もっと大きな声で喋らんか!」
「貧乳ブルーこと微風……」
「まだ聞こえんっ! ちゃんと胸に力を入れて喋れいっ!」
ブルーは手でメガホンを作ると、ぎゅっと目をつぶり、ありったけの声で言った。
「貧乳ブルー! こと! 微風ユレンですっ! 17歳Bカップ!」
「なんとか聞こえた。名前の通り、わずかな風にも揺れなさそうな乳じゃの」
泣いて崩れ落ちそうになる ブルーをみんなががっしりと支える。
「さて……。グリーンはさっき聞いた」
漉王老師が最後の1人、ピンクに向き直る。
「お前さんは……小学生?」
激怒しながらピンクが自己紹介をする。
「ボクは……っ! 貧乳ピンクこと、鬱布瑛華! 14歳のAカップだあっ!」
「小学生じゃ……ないのか?」
驚きに漉王老師が後ずさる。
「しかし……、14歳ならまだまだ発育中。望みはある」
「なんの望みだーっ!」
ピンクは涙を浮かべながら、吠えた。
「小4の頃から背もあんまり伸びてないんだぞーっ!」
貧乳ピンクこと鬱布瑛華は公立中学校に通う中学2年生。どんどん大人っぽくなっていく同級生への負の感情を持て余し、貧乳戦隊入りを志願した。
ピンク色のツインテールにセーラー服風のコスチューム。周囲からはよく『ち○うさ』と間違えられる。
「さて……。熱原くん」
漉王老師が話題を変えた。
「敵の巨乳戦隊というのは、どうなのかね? ウチと違って一枚岩の結束で結ばれておるのか?」
「正直、個人技においては我らが貧乳戦隊のほうが優れております。余計なものが胸についてないぶん身が軽い。だが……、全員による合わせ技においては明らかに向こうが上。特に全員の巨乳を震わせての『巨乳震動波』は恐ろしい技です」
「なるほど。一人一人の力ではこっちが上回るということか。ならばバラバラにして、罠にかけ、闇の中で心臓を抜き取るがごとく、一人ずつ息の根を止めればよいのでは?」
大人の話は難しすぎて、ピンクはよくわからず首をひねった。
「しかし、一人……、バケモノがいるのです」
「どういうことかね?」
熱原は生唾を飲み込むと、畏れるように、その名を口にした。
「巨乳レッドこと、獏丹生玲子……。あれは、チートだ!」