美乳戦隊ビニュレンジャー誕生!
「皆さん、よく集まってくれたわね」
社長椅子から立ち上がり、巨乳レッドこと獏羽生玲子が微笑んだ。
「今日からわたくしはこの椅子を優美さんにお譲りしますわ」
「コホン……!」
貧乳レッドこと千々梨優美は咳払いをすると、狭い事務所を埋め尽くすように立つ8人の美少女に向かい、言った。
「今日から『獏羽生プロダクション』の社長を務めさせていただきます、貧乳レッドことと千々梨優美です……って、柄じゃないなぁ〜〜〜!」
「くすっ。これからは貧乳レッドではなくってよ、優美さん」
後ろから玲子が言う。
「あなたたちはそんなネガティブな名前の戦隊ではなくなるの。今日からわたくしたち10人は、同じひとつのスーパー戦隊となるのよ」
「そうだった!」
優美が思い出したように、声をあげた。
「今日から私たち10人は、『美乳戦隊ビニュレンジャー』に改名をします!」
「わー!」
平野ぺたが猿のオモチャのように拍手をした。
「貧乳でもなく、微乳でもなくて、美しいおっぱいの戦隊なんだよね! 大賛成〜!」
「でも……待ってくれよ」
堀スタインが横から手を挙げた。
「それじゃオレとぺたちゃんと、どっちが『美乳イエロー』になるんだい?」
「色を変更します」
優美が答える。
「堀さんはイエローのまま、巨乳イエローから美乳イエローに改名を。ぺったんはイエローからゴールドに変わってもらいます」
「美乳ゴールドか!」
平野ぺたが喜び、はしゃいだ。
「輝く美乳、ビニューゴールドだね!」
「でも……、なんだか癪ですわ」
貧乳グリーンこと千々梨マリアが言った。
「私もグリーンではなくなって、牛野さんにグリーンの名前を取られるってことでしょ? なんだか負けた気がして……」
「お姉ちゃんはグリーンのままだよ」
優美がまた答える。
「牛野さんは白衣が似合うから、美乳ホワイトになってもらいます。いい?」
「あら。いいけど……」
巨乳グリーンこと牛野陽奈がにっこり笑う。
「あたしみたいな、一番クリーンなイメージから程遠いセクシーお姉さんがホワイトでいいのかしら」
「「あたし(ボク)たちは!?」」
両ピンクが身を乗り出した。
「「言っとくけど譲らないからね! ピンクはあたし(ボク)のものだから!」」
「そう言うと思ったので……」
優美が言いにくそうに答えた。
「二人には両方とも色を変えてもらいます。旧巨乳ピンク出階堂小心ちゃんはブラウンに、旧貧乳ピンク鬱布瑛華ちゃんはブラックになります」
二人の顔が青ざめた。
二人同時に床に手をつくと、同じ動きで頭を横に振り、イヤイヤをした。
「旧貧乳ブルー、微風ユレンちゃんを新たにピンクに任命します。旧巨乳ブルー、青野ヶ原虚無子さんは美乳ブルーになります」
「わあっ! ユレン、あんたピンクやて!」
虚無子が背中を叩いて親友の幸せを喜んだ。
「ピンクって……柄じゃ……ないけど……」
ユレンはみんなに聞こえる声で、恥ずかしがった。
「が……、頑張ります」
「さて……それでは……」
傍で見ていた漉王老師が声を発した。
「そろそろいいかの? おっぱい大きくしてほしいひと、こっちへ」
そう言って両手をワキワキと動かす。
「私は……いいです」
千々梨マリアが顔をひきつらせ、首を横に振った。
「今のままでじゅうぶん美乳だと思ってるし……」
「はーい! はーい!」
平野ぺたが勢いよく何回も手を挙げた。
「なりまーす! 謙虚にDカップでいいのでしてくださーい!」
「わたしも……いいです」
微風ユレンがぶんぶんと首を横に振る。
「なんか……嫌な予感……するし」
「小さくはできないんだよな……?」
堀スタインが絶望を顔に浮かべ、言った。
「大きくしか……できないんだよな? チクショウ」
「あんたは?」
漉王老師が興奮に目をギラつかせながら、優美のほうを見た。
「レッドがチッパイじゃ、見た目に映えんぞいっ。それにわし……あんたのチッパイを一番大きくしてみたかったんじゃ」
「私は……呪いがかかっていますから」
「呪い!?」
「ええ……。篠宮マサシという悪魔がかけた呪いです。けっして豊胸できないカラダにされてしまってるんです」
「やってみんとわからんぞいっ!」
漉王老師が興奮して大声をあげた。
「そやつの魔力とわしの仙力……、どちらが上か、試してみろっ!」
「あ……。ところでレッドはどうなるの?」
平野ぺたが優美と玲子に聞いた。
「どっちが美乳レッドになるの?」




