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巨乳戦隊キョニュレンジャー VS 貧乳戦隊おっぱいナインジャーZ  作者: しいな ここみ
第十章 巨乳ブルー 青野ヶ原 虚無子の恋
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虚無子のきもち

 巨乳ブルーこと青野ヶ原(あおのがはら)虚無子こむこは彼氏が出来、ゴールデンウィークを毎日ハッピーに過ごしていた。

 女性ホルモンが活発に分泌され、巨乳戦隊最小のDカップの胸も育ち、Eカップ間近であった。


 しかし彼女は夜には絶対にデートしないことを決め、それを頑なに守っていた。

 高校三年生。大学受験を控えた身であることを自覚し、恋愛にハマって勉学が疎かになることを恐れたのである。



「なー。おもろないわー、ここ」

 彼氏の江尻が言う。

「もっと楽しいとこ行こうやー。なー」


 窓の外には健康的な陽射しが芝生を照らしている。

 図書館には清潔な空気が流れ、小声での会話も目立つほどに静けさが漂っていた。


「ウチら受験生やろ? 勉強もせなアカン」

 虚無子こむこがたしなめる。

「二人でやったらはかどるやん。わからんとこ教え合お」


「ほんじゃ、今は我慢するけどなー」

 江尻が言い出した。

「代わりに今夜、楽しいとこ行こうや。俺、奢るで?」


「夜はアカン。どうせいかがわしいとこ連れて行くつもりやろ」

「嫌か?」


「嫌やないけど……」

「じゃ、行こうや。俺たち、そろそろ……」


「アカン、アカン。勉強、手につかんくなるで」

「じゃ、高校卒業するまでおあずけってこと……?」


「当たり前や。健全でお互いをいい未来に導く交際やないと、ウチはする気ない」

「ええ〜……。殺生な」


「それに……。夜はな、ウチにはもう一人恋人がおんねん」

「あー。女の子の恋人な」


「うん。最近、なぜだか会ってくれへんけど……。今夜あたり一緒に星空でも見に行こうかなて、思ってる」

「そこに俺も参加するってのはアカンのん?」


「アカンわ。アンタ、最初はユレンのことナンパしとったやないか」

「あ。ヤキモチかあ?」


「当たり前や。ユレンはかわいいからな。アンタの心がグラグラすんの間違いなしや」

「俺はおまえ一筋だぜ?」


「あん。もぉ……。うまいこと言いよる、このひと」

「卒業まで待つよ。おまえとずっと一緒にいたい」


「目尻くん♡」

「江尻や」


 虚無子こむこのマナーモードに設定したスマートフォンが震えた。

 その画面を見て、虚無子こむこの顔が、嬉しそうに笑った。


「あ……。噂をすればユレンからメッセージや」

 確認して、さらに嬉しそうに笑う。

「今夜『星の見える公園』でデートしようって! やっぱりウチら、親友やわ。考えること同じや」






 星の見える公園には影が溢れていた。

 5月の空はよく晴れ、月明かりが木々の影を不吉なもののように、芝生の上に顕在させていた。


 いくつも設置されているベンチには座らずに、小柄なBカップの胸の少女が、芝生の上に、木々の影のひとつのように立っている。


 虚無子こむこはその後ろ姿を見つけると、乗ってきた自転車を芝生の上に倒し、一番に嬉しそうな顔を輝かせ、手を振った。


「ユレン〜! 来たで〜! なんかおもろい話、しようや〜!」


「こむちゃん……」

 とても小さな声だったが、虚無子こむこには聞こえた。

「ありがとう。来てくれて」


「当たり前やんか! アンタこそ最近どうしたん? なんや電話にも出てくれんかったやんか」


 くるりと、体ごと、ユレンが振り向いた。


 その顔は黒く、影そのものであった。



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― 新着の感想 ―
闇堕ちユレンはマジックで塗りつぶしたような顔をしている、と。 夜に見たくはないな。
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