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巨乳戦隊キョニュレンジャー VS 貧乳戦隊おっぱいナインジャーZ  作者: しいな ここみ
第十章 巨乳ブルー 青野ヶ原 虚無子の恋
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ゴールデンウィークがやってきた

 5月の連休が始まった。


 巨乳ブルーこと青野ヶ原(あおのがはら)虚無子こむこは毎日を楽しんでいた。

 昨日は人気ロックバンドのライブ、今日は遊園地。付き合いはじめたばかりの彼氏と毎日一緒だった。


「なー、目尻くん。次、アレ乗ってみぃひん?」

「目尻ちゃうわ、江尻や! なんべん間違ったら気が済むねん!」


「あー、ホンマ、ええ尻や」

「衆人の前で男のケツ撫で回すなや!」


 関西人同士、二人は意気投合しているようだ。



 貧乳ブルーこと微風そよかぜユレンはそんな二人を隠れてつけ回していた。

 関西ウォーカーの大きな表紙で姿を隠し、遠目に二人の行方を確認している。


『わたし……。何やってるんだろう』


 昨日もライブ会場で三列後ろの席から二人の様子ばかり見ていた。


『自分がこんなに嫉妬深い子だったなんて……』


 自分を客観的に見たら、とても落ち込んでしまった。


『帰ろうか……。ううん、気になる。ここにいる』


 二人は軽食コーナーでソフトクリームを買い、楽しそうに食べている。虚無子こむこがバニラ、彼氏はチョコだった。


『エタメタノールさんのweb小説でも読んで気分をほっこりさせよう』


 ユレンがそう思い、スマートフォンを開こうとした時だった──


「もー、江尻くん。口の横にチョコついてんで」


 そう言うなり、虚無子こむこが彼氏の口元についたチョコを指で掬い取り、舐めたのだった。


 ユレンには刺激が強すぎた。

『あれって……! 間接キスってやつ!?』


「おいおい。他人のこと言えるかぁ? おまえも口元にバニラついてんで?」


 そう言いながら、彼氏が虚無子こむこの唇を、舐めた。


『う……、うわあああっ!?』

 ユレンはエタメタノールさんのweb小説どころではなくなってしまった。

『あ……、あれあれあれは……! ディープキスってやつ!?』






 帰り道、ユレンはヘトヘトになっていた。

 両親には『戦隊のトレーニング』と嘘をつき、戦隊には『親と毎日小旅行』などと嘘をついて外出していた。

 なぜ、貴重な青春時代の5月連休を、こんなことに費やしているのか、自分でもわけがわからなかった。


『わたしも……恋がしたいなあ……』

 そう思うのと同時に、別のことも思っていた。

『こむこちゃんが一緒にいてくれないから、つまんない……』


 そこへ後ろから声をかけてきた女がいた。


「ねェ、あなた。あたしと一緒にリア充滅ぼさない?」


『えっ?』


 夕暮れはじめた小径には、自分の他には誰もいないと思っていた。

 燃える嫉妬のような太陽を背に、その女がそこに立っていた。


「恨めしいでしょう? 憎らしいでしょう?」

 黒い影のような女は、歯を激しく軋ませながら、強い声で言った。

「あたしと一緒になれば、妬ましいリア充に目に物見せてやることが出来るわ」


「だ……誰?」とユレンは言い、相手には聞こえていないようだったが、その女は名乗りながらユレンの影に自分の影を重ねてきた。


「あたしの名前は影女。あなたの影になってあげる」


「う……、動けない!」

 ユレンの表情が恐怖にかたまる。


「あなたの嫉妬を増幅させて、あなたをダークサイドにご招待するわ」

 影女はそう言い、じわじわと近づいてきた。


 やがてそれはユレンの影とひとつになった。





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― 新着の感想 ―
闇堕ちユレン! これで大きい声が出るようになるのかも知れない!?
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