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巨乳戦隊キョニュレンジャー VS 貧乳戦隊おっぱいナインジャーZ  作者: しいな ここみ
第十章 巨乳ブルー 青野ヶ原 虚無子の恋
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出会いはカフェで

「結局ユレンのとこは独立でけへんかったんどすなぁ」

「うん……。玲子さんと違って、うちのリーダーはお金持ちじゃないから」


 巨乳ブルーこと青野ヶ原(あおのがはら)虚無子こむこと貧乳ブルーこと微風そよかぜユレンは、かわいいものがいっぱいなカフェの席で向かい合い、ダルゴナコーヒーを飲んでいた。


「じゃあ、貧乳はんとこは、相変わらずウチらを敵だと思ってはるんやね?」

「少なくとも上の人たちはそうみたい。でも、わたし達メンバーは思ってないよ、もう」


 虚無子こむこは目を閉じてコーヒーに口をつけると、ゆっくりと皿に置いた。

 メガネが曇り、口の周りは泡だらけだった。

 その顔を見てユレンは思わずぷっと笑ってしまった。


「どうしたん?」

 片目を開けて、虚無子こむこが不思議がる。


「こむちゃん、泡、ついてるよ。盛大に」

 ユレンの笑いが止まらなくなる。


「おひげみたい?」

「みたい、みたい。クスクスクス」


 その時、突然、横から背の高い男が、ぬっとユレンの前に顔を現した。


「キミ、かわいいね」


「……!」


「高校生だよね? どこの高校? 俺、池暮いけぼ高校三年の江尻えじりって言うんだけど」


 とても小さな声でユレンが「あのっ、そのっ」と言った。


「ん? 口は動いてるのに声が出てないよ? あっ。何かの障害? いいよ、俺、そういうの気にしないから。大らかな、度量が広い男だから」


 その背中から、コーヒーを口に当てながら、虚無子こむこがツッコむ。


「なんですのん、あんさん。その娘声がちっさいだけや。失礼なナンパの仕方やなあ」


 男が虚無子こむこを振り向く。

 いかにもなチャラ男だった。

 そのチャラい雰囲気に全身を包む男を見て、虚無子こむこは一瞬で恋に落ちた。


「ごめん、キミよりこっちの娘のほうが好みなんだ。キミは黙っててくれないかな」


 コーヒーを口に当てたままメガネの奥の目がハートになっている虚無子こむこに男は微笑んだ。


「知らんやった……」

 虚無子こむこはチャラ男に答えた。

「ウチ、こういうギラギラした感じのひと、タイプやったんやわ」


「ありがとう。でも、言った通り、俺、こっちの娘のほうが好みだから」

「へんな名前も好みやわ。すごい名前どすな、目尻めじりくんて」


「目尻ちゃうわ! 江尻や」

「あ、すまんすまん。目尻がシブいから目尻くんかと思ったわ。ええ尻しとるから江尻くんなんやな?」


「なんやおまえ関西人かいな! どこのもんや!」

「京都どす〜」


「嘘つけ! それ京都弁ちゃうやろ! ほんまはどこや!」

「ホンマは大阪の堺どす〜」


「ほな、どすどす言うなや!」

「どすどすなんて足音立てるかいなゴジラやあるまいし」


 いきなり始まった関西弁どうしの掛け合い漫才を見ながら、ユレンは呟いた。


「な……、なんかこの二人……。お似合いだ!」


「おもろいな……、おまえ」

 江尻くんも少しそう思ったようだ。

「顔、見してみ? よう見たら好みやったとかなるかもしれん」


 虚無子こむこがゆっくりと、口に当てていたマグカップを、離した。


 口の周りにコーヒー色のひげが、びっしりと生えていた。



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― 新着の感想 ―
大らかな、度量が広い男だから > 本当に度量の広いヤツはそんな事は言わん! と言うか、また化けてる系の怪人なんじゃ…………?
[良い点] 〉「うん……。玲子さんと違って、うちのリーダーはお金持ちじゃないから」  世知辛リアル(´・ω・`) [一言] 縁は異なもの味なもの〜
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