戦い終わって、ファミレス・タイム
戦い終わって、10人の戦士たちは変身を解き、ファミレスにたむろしていた。
「あ。チョコパフェください」
「あたし、スペシャルサーロインステーキセット!」
「優美さん、凄いの食べるのね。優勝したらお腹減っちゃった?」
「経費で食べられるからね、出来るだけ高いもの頼まないと!」
「あたしはウーロン茶でいいや」
「どうしたの、ぺったん!? しっかりカロリーのあるもの取らないと、胸が育たないわよ!?」
「マリアさん、きつーい!」
「おっ……! オレもウーロン茶で!」
「無理せずステーキ頼みなさい、堀ちゃん」
「ウチは抹茶わらび餅にするどすえ」
「……」
「ユレンちゃんは白玉ぜんざいやそうです」
「「あたし(ボク)、『キラキラプリンアラモード』!」」
「あらあら。ピンク同士、気が合うのねぇ。ウフフ……かわいい」
「そんなんじゃない、陽奈さん! ちょっとココロ! 真似しないでよ土偶のくせに!」
「そんなんじゃないから、陽奈さん! そっちこそ瑛華! 真似しないでよね、ちび○さのくせに!」
「わたくし……、帰ったら田良子坂局長に言うつもりよ」
「えっ! 玲子さん、愛の告白!?」
「バカ言わないで、優美さん。わたくし水産加工食品に興味はないの」
「ドーナツはやっぱりオールドファッションに限るな」
「何を言うんです? ポンデリングに決まっているでしょう」
「君は仮面をつけたままドーナツを食べるのか? 食事の時ぐらい素顔を見せろよキハ仮面」
「篠宮さんこそ、どうして上半身裸なのですか? この変態」
「な……、なんで篠宮マサシがここにいるんだろう?」
「……照れてしまってチョコパフェが食べにくいですわ」
「気にすることないよ、玲子さん。……それにしてもキハ仮面さん、器用だなぁ。仮面をつけたままポンデリング食べてるよ。かっこいいなぁ……」
「ところで優美さん」
「ん? 何?」
「『貧乳戦隊おっぱいナインジャーZ』は、貴女のものですわよね?」
「え? いや、わたしだけのものじゃないよ。みんなのものだし、どっちかっていうと、テレビ局のものかな?」
「わたくし、『巨乳戦隊キョニュレンジャー』を買い取ることに決めました」
「買い取る……?」
「ええ。番組をわたくしのものとして、わたくしたち戦隊は、テレビ局から独立いたします」
「ど……、独立!」
「どう思いますこと?」
「か……、カッコいい」
「視聴率など気にしてわたくしたち両戦隊が争い合うことなんてない。力を合わせて、社会悪と戦いましょうよ!」
「なるほどなー……。さすが玲子さん、考えることが違うなー……」
「貴女がたも是非、考えてみて? テレビ局からの独立を。男の人たちの思惑に乗せられるのはもう、飽き飽きしたの」
「うーん……」
「わたくしたちの真の敵は、オトコ! 殿方の勝手な嗜好で『巨乳がいい』だの『チッパイ最高』だのと決められることにはもう、愛想が尽きましたの」
玲子の言葉に、優美は考え込んだ。
熱原局長と一風部長の顔が、頭に浮かんだ。優しくて、自分たちを育ててくれて、一緒に悩みを共有してくれた、温かい上司たちの顔が。
そして、一言だけ、答えた。
「か、考えてみるよ」
テレビ局に帰ると、熱原局長と一風部長が揃って上機嫌で貧乳戦士たちを迎えた。
「やったな、レッド! よくぞ優勝した!」
熱原局長が優美にハグを求める。
「これで憎むべきデカパイどもに一歩も二歩もリードすることが出来たぞ!」
「よくぞ敵の巨乳攻撃にあれだけ耐えたな! 偉いぞ!」
一風部長が手で空気をもみもみしながら、言った。
「俺も喰らいたいぐらいの、あの、ぽよんぽよん攻撃を……。ヒヒヒ、俺ならいくらでも恍惚の表情で喰らいたいところだ。きょ……、巨乳、最高」
「熱原さん! 一風部長!」
それまで思い悩んでいた顔をしていた優美が、決然と言った。
「わたしたち、独立します!」




