参加者ゾクゾク
サウナの中で二人はばったり出会った。
「すごい乳……」
貧乳グリーンこと千々梨マリアはそう言いながら、相手の顔を見た。
「ウフ……。まさに『牛のような』巨乳ですわね、お姉さま」
「あら? どこかで見たCカップだなと思ったら……」
巨乳グリーンこと牛野陽奈はタオルも巻かず、スッポンポンを堂々と晒しながら、視力の悪い目を細めた。
「貧乳さんのところのグリーンちゃんじゃないの」
「陽奈さんも例の武闘会、出られるんですの?」
「あたしは出ない。傷ついた人が出たら治す役だもの」
「奇遇ですわね。わたくしも出場を辞退しましたのよ。ウフフ」
「お互い戦隊最年長どうし。仲良くやりましょ? あなたのスレンダーボディー、とっても素敵♡」
「あん……っ♡ ウフフ」
「武闘会か……」
真っ暗な洞窟の中で、武闘会のチラシを読みながら、真っ黒な影が呟いた。
「俺の実力を世に知らしめるチャンスかもな……。クククク……」
「ケガレプレジデント様」
女の声が響いた。
「武闘会に出られるおつもりで?」
「もちろん悪の首領『ケガレプレジデント』として参加することは控える」
蝋燭の明かりが点いた。
「本名で参加するつもりさ。『社階灰汁タケル』としてな!」
マントを翻したその顔は、27歳のイケメンであった。
「おや、ウシノくんじゃないか」
松戸バーカー博士は悪の秘密組織の喫茶室で、ばったり牛野千房に会った。
「あら、松戸博士。調子はいかが?」
「ウキウキだよ。私が主催する武闘会に、好きな女の子が出場してくれることが決まってね」
「その武闘会、あたしも参加するんですのよ」
「君が!?」
松戸博士は鼻で笑った。
「君は何の戦闘力も持たないただの女性じなないか」
「ですから、あたしの作った改造人間を参加させるんですの」
「おもしろい」
松戸博士は身を乗り出した。
「わしもじつは参加する。悪の秘密組織『ギゼン』の科学者として、どちらが優秀か、勝負じゃ!」
「玲子さん……。私、負けませんよ」
秋風の舞う大学構内で、貧乳レッドこと千々梨優美が言った。
「優美さん……。貴女と是非、お手合わせを願いたいわ」
巨乳レッドこと獏羽生玲子は思い詰めた表情で、言った。
「それでどちらの戦隊のリーダーが強いのかがわかる」
火花を散らす二人を遠巻きに見つめながら、会話する2つの影があった。
「俺達はさすがに参加はできないよね。それぞれの想い人をそれぞれに見守るしか出来ない」
「そうですね。篠宮マサシさん」
電車の上に乗った男装の麗人が答える。
「ですが、私は玲子お嬢様のことはもちろん、優美さんのことも応援するつもりですよ」
「さすがだな、キハ仮面くん」
篠宮マサシが笑った。
「身も心も美しい君に惚れてしまいそうだ」
「寄んな」
キハ仮面が篠宮マサシを蹴っ飛ばした。




