怪人が珍しいとこに出現
田良子坂がマイクに向かって叫ぶ。
「巨乳戦隊キョニュレンジャー出動!」
熱原もマイクに向かって叫んだ。
「貧乳戦隊おっぱいナインジャーZ、出動だっ!」
「「場所は◯◯ゆうえんち内にある『おばけダンジョン』」」
「キャーッ」と、両戦隊のメンバー達をが嬉しそうな声を上げた。
「駅前じゃないのね」
「初めてじゃない?」
「しかも遊園地の中だなんて」
「倒したら帰りにみんなで遊んで帰ろう」
民衆に不安を与えないため、戦隊ヒーローショーの出演者として入場すると、両戦隊は足並みを揃えて『おばけダンジョン』をめざす。
ゾロゾロと列を組んで歩く戦隊ヒーローを発見して子供達が声を上げた。
「キョニュレンジャーだ!」
「キョニュレンジャーだ!」
「もうひとつの見慣れない戦隊はなに?」
「クッ……!」
貧乳戦士達はこの日の悔しさを噛みしめた。
「あった」
「あれだわ」
入口には怖いおばけの絵がびっしりと描かれてあった。
おどろおどろしい装飾に両ピンクが抱き合ってビビる。
「新人さんの初仕事だね」
キョニューイエローがヒンニューブラック&ホワイトこと黒木メイコを見て、言う。
「頑張れよ、後輩!」
ヒンニューイエローが先輩風を吹かせて言った。
「はいっ☆ 先輩!♡」
ピンク色の声を出す黒木メイコをちらりとだけ、興味なさそうに見ると、キョニューレッドこと獏羽生玲子が音頭を取る。
「さあ……」
「入りましょう!」
ヒンニューレッドこと千々梨優美が音頭を奪った。
受付でお姉さんに言われた。
「な、なぜ戦隊ヒーローショーの方々が、おばけダンジョンに?」
「気にしないで」
「ダンジョンの平和を守りに来たのよ」
「それにしても怪人出たってのに入場禁止にしてないのかよ」
「危機管理がなってないわ」
強引に入場禁止の札を立てると、両戦隊は仲良く11人全員で入って行った。
「ケンジ〜、怖いよう」
一般客のカップルがイチャイチャしている。
「大丈夫だよ、マリ。僕が守るから」
「ああっ。雰囲気だけで怖いっ! 抱きついちゃお。えいっ!」
「フフ……。マリは怖がりだなあ。そして意外に巨乳だなあ」
「怖いよぉ〜、ケンジぃ〜」
「マシュマロみたいだよぉ、マリぃ〜」
暗いダンジョンを歩く二人の前で、突然、女の声がした。
「きいいっ!」
声というよりは歯ぎしりだった。
「だ、誰っ!? 守って、ケンジ!」
「うわあっ! おっ、おばけ!?」
振り返ってひとりで逃げ出そうとしたケンジの背中をマリが掴む。
「まっ……! 待ってよぉ! ……ケンジ!」
「あたしの眼の前でイチャイチャしないでよ!」
姿の見えない声の主は、激しく歯ぎしりを鳴らし続けながら、言った。
「あたしは怪人ジェラス・レディー! 羨ましいやつは皆、あたしより不幸にしてやる! Shit! Shit! 嫉妬ォ〜〜〜!!!」




