巨乳戦隊の優越
πTVプロデューサーの田良子坂は黒縁メガネを指でクイッと上げると、マイクに向かって指令を送った。
「巨乳戦隊キョニュレンジャー、出動だ!」
モニターの中に5人の巨乳戦士が躍り出る。
レッド、ブルー、グリーン、イエロー、ピンク。5人揃ってポーズを決める。
「我らキョニュレンジャー! ボイイ〜ン!」
「出たな、キョニュレンジャー! 今日こそはお前らを凌辱してくれるわ!」
そう言って悪者のポーズを決める怪人と戦闘員達。
今日の怪人はハゲの中年男。名前はパワハラジョーシだ。
踊るように戦闘が始める。
まずはお約束の戦闘員達の無駄死に祭りだ。
「ウギャーッ!」
「ハヒィーッ!」
戦闘員達が嬉しそうな声を上げながら、次々と倒されて行く。
「それもそうだ」
田良子坂が呟く。
「俺もあの巨乳に挟まれて倒されたいからな」
パワハラジョーシはムチ状の腕をぐるぐる振り回しながら、戦闘員達を叱りつけるばかり。
「お前らー! 根性が足らんわ! もっと根性見せてみろ! すべてのことは根性でなんとでもなるんじゃー!」
ハゲ頭を太陽光に光らせながら、自分は戦うことなく、ただムチを振る。
やがて戦闘員達はすべて死に、5人の戦士がパワハラジョーシを取り囲む。
「根性でこれ、何とかしてみなさいよ!」
Gカップの胸を重そうに、組んだ腕の上に乗せながら、レッドが威嚇する。
「ごめんなさい……」
パワハラジョーシは即座に土下座した。
「ごめんなさぁ〜い! もう、無理なこと戦闘員に押しつけませんからぁ〜!」
「「「「「信じると思うかぁ〜!!!」」」」」
5人の巨乳が、5方向からパワハラジョーシを押し潰す。
怪人は至福の表情を浮かべながら内側から弾け、大爆発を起こして憤死した。
爆風が5人の巨乳を揺らす。
衝撃を巨乳のクッションで受け止め、周りへの被害はすべてその巨乳に吸収した。
5人は颯爽と振り返ると、テレビカメラに向かい、勝利のポーズを決める。
みんな巨乳をアピールするようなセクシーポーズだ。
「悪は巨乳が吸収する!」
いつもの決め台詞で締めると、去って行く。
「一風部長も熱原くんも、馬鹿だよなあ」
田良子坂は余韻に浸るようにモニターを見続けながら、呟いた。
「こんな最高な番組を手掛けておいて、途中退場するなんて」
「田良子坂くん」
後ろにいた部長が言う。
「彼らのように不祥事を起こさないよう、頼むよ?」
「久助さん」
田良子坂が振り返る。
「俺はあの人達みたいに馬鹿じゃない。全国の良い子達に巨乳の素晴らしさを教え続けます」
「それでいい」
部長の久助はうなずいた。
「貧乳など邪道。正義は巨乳にありなのだからね」
「「「「「ただいまです〜」」」」」
キョニュレンジャー達が戻ってきた。
「おお、お疲れさん」
田良子坂が労いの言葉をみんなにかける。
「冷凍庫にパピコ入ってるよ」
「いえ。私はモナ王派ですので」
レッドがそう言って、断った。
「相変わらず獏丹生くんはこだわり女王だなぁ」
巨乳レッドこと獏丹生玲子はお嬢様である。
Gカップの胸に尖ったアゴ、牛乳のように白い肌にサラサラのブロンドベージュの髪をなびかせ、今日も我が道を行く。
「彼女こそが絶対正義だ」
田良子坂は臆面もなく口に出して、言った。
「貧乳戦隊など、彼女1人の前に膝をつくことだろう」
たらこくちびる毛さま、Q輔さま、この作品はフィクションであり、登場する人物は、実在のなろう作家さまとは何の関係もありませんm(_ _)m