漉王老師とヨメ
傷害罪で拘留されていた漉王老師は5日振りにHTVの宿舎へ帰ってきた。
「ふう……。部屋に帰ってエロ動画でも観るかの」
老師は熱原プロデューサーの好意で一番広い部屋をあてがわれていた。
元々インドの山奥の森の中で段ボールハウスに住んでいたのだから、狭い部屋のほうが本当は落ち着くのだが、断りきれずにそこを借りている。
だだっ広い部屋で、いつも冷蔵庫と流し台の間にちんまりと身を収めて暮らしていた。
部屋に入った途端、老師は声を上げた。
「ななななな……なんじゃ!?」
部屋の中がやたらとファンシーなことになっていた。
かわいい抱きぐるみが棚を飾り、大きくてお洒落なハンモックが部屋の一角に吊り下げられている。
「こ、これは……まさか……」
そのかわいいセンスに見覚えがあった。
「げ……げん・ラーか?」
ハンモックがもこっと揺れた。
そこから身を起こしたのは、褐色の肌にあどけない瞳を輝かせた美少女であった。
「ろくおー!」
美少女は嬉しそうな笑顔になると、ハンモックの上から漉王老師に飛びついてきた。
「ワシ、日本まで来ちゃったぞいっ!」
「げ、げん・ラー!」
老師が困ったような顔になる。
「わ、ワシが恋しくて来ちゃったか……。ま、参ったのう」
「何が参ったんだ?」
げん・ラーの表情が変わり、キッ!と睨む。
「まさか浮気でもしてたのか?」
「に、日本でもヨメを作ろうと思っての」
老師はとても素直に答えた。
「そろそろ5人目が欲しいと思ってたところなもんで……」
漉王老師はイスラム教徒であった。インドではイスラム教徒のみ一夫多妻が許されている。老師はむしろそのためにのみイスラム教徒になったといえた。
彼には4人の妻がいる。日本は危険な国だからと騙し、祖国に置いてきた。妻のそれぞれの名前はここにいるげん・ラー、ソラーハ・ラウミ、サッキー・ソーラ、そして──
「あぁら、あなた。5人目を迎えるつもりでしたの?」
皮肉たっぷりな口調でそう言いながら、手の上にインコを乗せたサリー姿の美女が奥から出てきた。
ばいんばいんと揺れるその巨乳に目が釘づけになりながら、漉王老師は悲鳴を上げるようにその名を呼んだ。
「ナナ・ミイト!」
さーっと顔から血の気が引く。
「おまえも来とったのか!」
「ご存知ですわよね、あなた?」
ナナ・ミイトは優しく微笑むと、メスを取り出した。
「わたくしが血を見るのが大好きなこと」
「や……、やめ……!」
「5人目は許しませんわよ! げん・ラーちゃんのためにも!」
ナナ・ミイトの振り回すメスが漉王老師を去勢せんと狙う!
「あーん! これ以上愛する女性を増やしちゃダメェッ! ワシだけを見るのじゃ! ワシだけをーッ!」
げん・ラーが嫉妬の拳で漉王老師をポカポカ殴る!
「わ……、悪かったっ! 抑えてくれ! 抑えてくれいっ!」
さすがの漉王老師も愛するヨメには為す術がなかった。
騒がしいのを聞きつけて集まった貧乳戦士達が、開いたドアの外から見ていた。
「賑やかだなぁ……」
「誰? あの美女二人」
「それにしても漉王老師、まだここにいらしたの?」
「トレーニングも何もしてもらってないんだけど……」
「……」
幻邏さま、七海糸さま、出演許可をありがとうございましたm(_ _)m
ソラーハ・ラウミ様、サッキー・ソーラー様……、もしもご覧になることがおありでしたらお許しくださいm(_ _)m




