キョニューブルー その戦い
「怪人チカン・ジョ~シューはんが駅前に出現だ!」
πTVプロデューサーがマイクで指令を送る。
「巨乳戦隊キョニュレンジャー出動!」
「なんでいっつも駅前なんやろな〜」
キョニューブルーこと青野ヶ原虚無子は京都弁だ。前回方言が出なかったのはたまたまである。
「たまには遊園地とかに出てくれはったらよろしいのに。そしたら戦い終わって遊んで帰れますのに……」
他の巨乳戦士達もウンウンうなずく。
「背景がいっつも同じじゃマンネリだって言われるよな」
「視聴率下がっちゃうよ」
「絵面を変えてほしい」
「キョッキョッキョッキョーーッ!」
駅前では怪人チカン・ジョ~シューはんがいやらしい手つきで暴れていた。
「してませーん! 冤罪でーす! ほんとはしっかりやってまーす!」
「うわっ」
「キモっ」
「何、あの怪人」
「見た目フツーのサラリーマンなのに明らかにキモい」
「とりあえずみんな! いつもの行くわよ!」
レッドの音頭で全員が声とポーズを合わせる。
「「「「「巨乳戦隊! キョニュレンジャー!」」」」」
ボヨヨヨ〜ン! という迫力ある効果音が鳴り響き、その場にいた者達が皆、彼女達に注目する。
「キョキョキョ……! 出おったな、キョニュレンジャーども」
怪人が最高にいやらしい目を向けた。
「揉み甲斐がありそうな乳を並べおって。戦闘員、かかれ!」
「キョー!」
「キョーッ!」
どこから出て来たのかワラワラと、30人ぐらいの黒ずくめのスーツに身を包んだ戦闘員達が現れ、襲いかかってきた!
「フン!」
「オラッ!」
「とう!」
パンチやキックで仲間が簡単に倒して行く中、ブルーはみんなの一番後ろにいて、弓矢を手にしていた。
「せいっ!」
ブルーの放った一本の矢が、まとめて3人の戦闘員を薙ぎ倒す。
「キョーッ!」
「あのな、ブルー……」
イエローがわざわざ戦いの手を止めてツッコミにきた。
「みんな能力使わずに省エネでやってんだぞ。戦闘員なんかに能力使うな」
「まあっ! それは嫌味ですの!?」
ブルーが心外そうに言う。
「わたくし、かよわき乙女どすのに! 筋肉バカのあなたとは違って、弓矢がなければハムスターよりも弱いんどすのよ!?」
「キョーッ!」
話している隙をついて、戦闘員が背後からブルーに襲いかかった!
「あっ……。あっ……」
キョニューブルーの身体がサンドバッグのように揺れる。
殴られる! 蹴られる! ボコボコだ!
「ごめん、ブルー……」
イエローが横から戦闘員を瞬殺しながら、謝った。
「おまえはおまえのやり方でやっていいよ」
シクシクと泣き崩れながら、ブルーが何度もうなずく。
その頃、怪人チカンジョ~シューはんは、レッドの情熱の拳によって、あっけなく倒されていた。
「きょ、巨乳……サイコー……」
揉んでもいないのに怪人はそう言うと、爆発して散った。




