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巨乳戦隊キョニュレンジャー VS 貧乳戦隊おっぱいナインジャーZ  作者: しいな ここみ
第二章 ヒンニューブルー 微風ユレンの恋
25/105

貧乳戦隊の恋は御法度

 微風ユレンは転校生に恋をした。


 しかし、貧乳戦隊おっぱいナインジャーZには恋愛禁止という鉄の掟がある。


 かつてオーディションの時、合格者を前にして、プロデューサーの熱原哲司は言った。


「貧乳戦隊のメンバーは喫煙、飲酒、恋愛を禁止とする」


「ちょっ……ちょっといいですか?」

 後にヒンニューイエローとなる平野ぺたが手を挙げた。

「喫煙、飲酒はわかりますけど……、恋愛禁止って、なんでですか? あたし達アイドルでもないのに」


「恋は心に弱さを生むからだ」

 熱原がカッコいいことを言った。

「それに、恋は胸を育てるともいう。恋愛によって女性ホルモンが活発になり、貧乳でなくなられると困るからな。ゆえに禁止だ!」





 ユレンが自習をしていると、転校生がやって来た。


「こんにちは! 微風ユレンさんですよね?」


 びくっとして顔を上げると、優しくもどこか陰鬱な、イケメン転校生の顔がそこにあった。


 ユレンは答えた。

「……」


 転校生は微笑んだ。

「やっぱりそうかぁ。僕、戦隊ヒーローものの大ファンなんだ。サイン、いいですか?」


 ちゃんと色紙を用意していた。

 ユレンはそれに綺麗にサインをすると、聞いた。

「……?」

「あっ。『影山くんへ』でいいです」


『あれっ?』

 ユレンは思った。

『この人、私の言葉が聞こえてる?』


「貧乳戦隊おっぱいナインジャー、いつも観てますよ」

 影山緋色かげやまひいろは照れ臭そうに、その番組名を口にした。

「頑張ってください」





 微風ユレンが帰り道を女子達のあとをひっついて歩いていると、後ろから転校生が追いかけて来た。


「微風さーん! 帰り道、こっち?」


 ユレンがうなずくと、嬉しそうに笑う。


「僕もこっちなんだ。よかったら2人で一緒に帰らない?」


「わっ!」

「わあっ!」

 女子達が楽しそうな声を上げる。

「ユレン、あたし達はいいから」

「なんかお似合いだよ? 行け、行け」


 押し出されるようにユレンが転校生の前に出る。

 顔を真っ赤にしながら、ぺこりとお辞儀をして、言った。

「……」

 よろしくお願いします、と言ったのだったが、屋外で発する声は教室の中よりも小さくなって、彼にはとても届かないように思えた。


「こちらこそよろしくお願いします」


 転校生がそう言ったので、ユレンはびっくりして顔を上げた。


 影山緋色の顔は暗いけれどイケメンで、とても信頼できる、依存さえしてもいいようなものに見えた。


『この人……、私の王子様なのかもしれない』


 ユレンは緋色に運命のようなものを感じていた。


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― 新着の感想 ―
影のヒーローって名前が怪しすぎー!? でも、キャラクターはそんな事に気づくわけもなく。
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