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巨乳戦隊キョニュレンジャー VS 貧乳戦隊おっぱいナインジャーZ  作者: しいな ここみ
第二章 ヒンニューブルー 微風ユレンの恋
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大人しい彼女

 ヒンニューブルーこと微風そよかぜユレンは17歳、女子高生である。

 彼女は貧乳戦隊の仕事以外の時は、普通に学校に通っていた。


 朝、登校すると、教室の扉を開けて、級友達に元気に挨拶をする。


「ぉ…ょー」


 元気な声を出したつもりだったが、誰にも聞こえなかった。


 しゅんとしながら自分の席に着くと、クラスのリーダー的存在の女子、家門竹子いえもんたけこが取り巻きを従えて近づいてきた。


「ねーねー、ユレンちゃん。見てたよー。今回の怪人、強かったねぇ」


「…っ。タケ…ちゃん」

 ユレンが嬉しそうに顔を上げる。


「でもさー、あんたの声、ちっとも聞こえないんだわ」

 竹子はからかうように言った。

「もうちょっと大きな声で喋ろうよ。せっかくあんた、ウチの学校から出たスーパーヒーローなんだからさ」


「……ん」


「はい! もっと大きな声で!」


「……めん」


「『ごめん』って言ったのね?」


「…ん」


「まあ、いいわ」

 竹子はユレンの肩をぽんと優しく叩いた。

「あんたみたいな可憐な美少女がハキハキなんかしたら、男子どもがうるさくなってしょうがないもんね」



 微風ユレンはモテなかった。

 というよりは、男子達は皆、彼女のことを非現実的な空想のアイドルのように見ていた。

 現実に付き合おうとか、それ以前に好きになる者もいない。

 彼女と会話すれば、それが無理なことがよくわかるだろう。

 その声のあまりの小ささに、何度も『え? 何て言ったの?』と聞き直さないといけない彼女など、面倒臭いと誰もが思うのだ。

 しかも彼女は貧乳戦隊おっぱいナインジャーZの戦士。

 普通ではない、自分達とは生きる世界が違うのだと思われ、男子からは距離を置かれていた。


 女子は皆、気軽に優しくしてくれる。どうやら母性本能をくすぐるらしい。

 お世話してあげないと自分では何も出来ない子のように思われ、どうやらみんなの妹扱いされているふしがあった。



『私もみんなと同じように、恋がしたいなあ……』

 ヒンニューブルーこと微風ユレンは考えていた。

『17歳なんだもん。思い出に残るような恋がしたいよ……』




 次の日のHRで、先生が言った。


「転校生を紹介するわね」


 転校生はどこか影のある、とても優しそうなイケメン男子だった。

 愁いを帯びたイケボで自己紹介をはじめる。


影山緋色かげやまひいろです。趣味は戦隊ヒーローもののドラマを観ること。特技は特にありません。よろしく」



 微風ユレンの目の中で、なぜか転校生の姿が輝いて見えた。

 彼の周りに、キラキラの星のようなオーラが散りばめられているように見えたのだ。


 ユレンは思った。


『これって……。私、恋をした……?』


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― 新着の感想 ―
自分達とは生きる世界が違う > それは即ちヒンニューワールド。巨乳世界に生きる者とは相容れないのだ。 いかにもアンチヒーローな名前のキャラクターが来た!?
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