ライバル同士
「……と、いうことらしいわね」
キョニューレッドが残念そうに言った。
「これからもライバルとしてよろしくね、貧乳戦隊さん」
ヒンニューレッドこと千々梨優美は悄然となりかけていた表情を力強く笑わせた。
初めて巨乳戦士が、自分達のことを『ライバル』と言ってくれたのだ。
「ありがとう! ライバルとして、負けないからね」
「わたくしは獏羽生玲子よ。あなたのお名前も聞かせてくださる?」
「千々梨優美よ。よろしく!」
二人がガッチリと再び握手をするのを見て、他の戦士達も同じ色の相手の戦士と顔を見合わせた。
「キョニューブルー。名前はまだないわ」
「ひ、ヒンニューブルーです……。………く」
「キョニューグリーンこと牛野陽奈よ。よろしくね」
「ヒンニューグリーンこと千々梨マリアですわ。よろしく、お姉様」
「オレはキョニューイエローこと堀スタインだ。キミ達も頑張れよ」
「うるせーわ。あたしはヒンニューイエローこと平野ぺた」
「ぺた?wwww」
「黙れホルスタイン」
「キョニューピンクこと出階堂小心。怪人に捕まるのはあたしの役なんだから取らないでよねっ!」
「ヒンニューピンクこと鬱布瑛華。ボクは捕まりたくて捕まったんじゃないっ!」
それぞれが相手に「負けないわよ!」を宣言し、両戦隊は別れたのであった。
= = = =
暗い洞窟の中のようなところで、モニターを見つめていた黒い影達が溜め息をついた。
「まさか……あんなおばちゃんが出てくるとはな……」
首領のケガレ・プレジデントがかぶりを振る。
「あれではセクハラもしようがない」
「失態をお見せして申し訳ございません、プレジデント様」
ウシノ・チブサが膝をつき、謝罪した。
「しかし、性的嫌がらせを武器とするセクハラジョージには弱点がありました。次なる社会悪に隙はありません。必ずや、ふざけたおっπヒーローどもを打ち負かしてみせましょう」
「この世に社会悪をはびこらせるのだ」
首領が立ち上がり、その場にいる者全員に言った。
「我らが社会悪を正当化し、この世を阿鼻叫喚の地獄絵図に変えてやるのだ! それこそ我ら『ギゼン』の野望!」
「おーっ」
「おーっ」
「ではウシノよ! 次なる怪人を派遣せよ!」
「はっ!」
ウシノが跪く。
「既に準備を整えております」
「次は誰を行かせる?」
「はい。こいつにかかればどんな強者でもヘトヘト……。社畜を従えた琵琶法師、ざんぎょう法師を派遣いたしましょう!」
「いいね」
首領がうなずく。
「世に癒やしと興奮をもたらす悪のおっπ戦士どもを蹂躙するのだ!」
「おーっ」
「おーっ」
『うーん……。それにしても……』
ウシノは内心、思っていた。
『まとめて派遣しちゃえばいいのに……。なぜ1人ずつ行かせるのかしら?』




