決着!
キョニューレッドこと獏羽生玲子は息も絶えだえに、貧乳戦士達の戦いを見守っていた。
ヒンニューイエローが作った怪人の隙に、ヒンニューレッドが必殺の『貧乳聖撃波』を放つのを見ながら、彼女は祈った。
『お願いっ! 勝って! 貧乳戦隊! わたくし達巨乳戦隊の手柄なんてどうでもいいっ! その強すぎる怪人を倒し、この町の平和を守るのよ! 今はそれだけが大切なことっ!』
バチィッ!
ヒンニューレッドの必殺技は、怪人超セクハラジョージに直撃した。
目の眩むような光が辺りを包む。しかし、それが収まった時、観衆達も、巨乳戦士達も、絶望の声を口から漏らしていた。怪人は余裕の笑いをゲヘヘと上げながら、ヒンニューレッドの細い身体に、巻きついていたのだ。
「おまえが最後だなァ〜?」
怪人が臭そうな舌を出しながら、ニタニタ笑う。
「おまえを嫌がらせたら、俺様の完全勝利だァ〜」
「つっ……、強いっ……! 強すぎる……っ!」
ヒンニューレッドこと千々梨優美は、諦めてしまっていた。
「こんな強すぎる怪人……、誰が倒せるっていうの……?」
その目からは戦意の光が消えている。
「そ〜れ〜で〜はぁ〜っ……」
怪人がヒンニューレッドの頬にしゃぶりつこうとする。
「セクハラぁ〜っ!!!」
その時、大地を揺るがす太い女の声が、その場に響き渡った。
「待ちなさいっ!」
「ん……? 誰だ?」
怪人超セクハラジョージはうるさそうに振り向き、思わず叫び声を上げた。
「うっ……? うわあああ! お前はっ……! ……誰だよ?」
その場の誰もがその一点に注目する。
そこには巨乳戦士とお揃いデザインの金色のコスチュームに身を包んだ、恰幅のいいおばちゃんが立っていた。
「千津子さん!?」
巨乳戦士達が揃って驚きの声を上げる。
「松岡さん!!」
「おばちゃんっ!!!」
彼女は巨乳戦士6番目のメンバーに今加わったばかりのキョニューゴールドこと松岡千津子、51歳! Eカップだがウェストのくびれは皆無! 普段は巨乳戦士達の身の回りのお世話をする家政婦であるが、今、彼女らの危機を遠くから見て、駆けつけたのだ!
「フン……。てめーなんぞに何が出来るんだ? ババァ」
怪人超セクハラジョージが嘲笑う。
「てめーみてーなトド体型のおばはんなんか、一発で……あれ?」
超セクハラジョージは気づいた。自分のパワーがヘナヘナと減っていることに。
「うああああ!!! 俺様のパワーが……! どんどん減って行くうぅぅぅ!?」
巨乳や女の子の可愛い顔でブーストされる改造を受けている怪人は、萎えるものを見てしまうと逆に大きくパワーダウンしてしまう性質をもっていたのだ。
「チャンス!」
ヒンニューレッドの目がきらーんと輝いた。
「もう一度喰らえ! 貧乳聖撃波!」
ばこーん!
「セ〜クハラぁぁあ〜!」
バイバイキンみたいな悲鳴を上げながら、怪人超セクハラジョージは空の彼方へ飛ばされていった。




