悪の秘密組織『ギゼン』
「あっ! 巨乳のひと、来たよ?」
ヒンニューピンクがみんなにしらせる。
「キミ達! オレにもやらせろ!」
そう叫びながら走り寄ってくるキョニューイエローをみんなが一斉に見た。
「遅い。遅いわ、ホルスタイン」
ヒンニューイエローが吐き捨てる。
「戦闘員はもうすべて片付けましてよ」
ヒンニューグリーンが高笑いする。
「……」
ヒンニューブルーが何か言った。
「私達に任せて!」
ヒンニューレッドが勇ましく言った。
「悪を滅するは正義の貧乳の務め!」
「何が正義だよっ!?」
キョニューイエローは馬鹿にするようにツッコむ。
「正義はいつもひとつ! 我々巨乳戦隊キョニュレンジャーこそが正義だっ!」
「クックックック……!」
怪人セクハラジョージがそれを見てあざ笑う。
「その通り! 正義はひとつだ! ひとつしかない! つまり、我々悪の秘密組織『ギゼン』こそが正義だ!」
「は?」
「はあ?」
「あんだって?」
呆れたように、みんながセクハラジョージを振り返った。
「悪の秘密組織と自分で名乗っておいて、正義もクソもないでしょーがっ!」
「っていうかお前、どうやって生き返った?」
「クククク……」
怪人セクハラジョージがキョニューイエローのほうを見る。
「それはお前のところのグリーンにでも聞いてみるんだな」
「なんだって……?」
キョニューイエローは思い当たることでもあったのか、愕然とした。
「まさか……っ!? キョニューグリーンが……!?」
とっても暗い、じめじめとしたところで怪しい一つ目の覆面をかぶり、中年男性の声が言った。
「医学の進歩は我々の進歩なりイーッ!」
「イーッ!」
「イーッ!」
戦闘員達が調子を合わせる。
「うるさい」
覆面男がたしなめた。
戦闘員達はしおらしくなり、みんなで下を向いた。
「さて、怪人セクハラジョージよ。おまえの新しい力を小賢しいおっぱいどもに見せつけてやれ」
悪の首領らしき覆面男はフォッフォッフォと笑う。
「生まれ変わったお前は以前のただのセクハラ野郎ではない。そうだよな? ウシノ?」
「ええ」
首領の後ろから白衣姿の爆乳美女が、ハイヒールを鳴らして歩み出る。
「パワーアップしてありますわ。超セクハラジョージに改造してあります」
「しかし死んだ怪人を蘇らせるとは……エコじゃのう」
首領が感心したように言う。
「地球環境に貢献したということで助成金もガッポガッポじゃないか」
「お喜びいただき、幸せですわ」
縁の赤い眼鏡を光らせ、暗がりの中から姿を現したのは、巨乳グリーンこと牛野陽奈であった。
「今後、どれだけ怪人が倒されようとも、この私が蘇らせてあげます」
そのさらに後ろには、パワハラジョーシ、清廉潔白社長クマラー、ブラックキギョーが並び、粘ついた笑いを浮かべていた。




