巨乳イエローの目撃
「くそっ……! くそっ……!」
金色の短髪を怒らせて、空手着姿の美女がサンドバッグに中段蹴りを浴びせ続けていた。
「オレも……っ! レッドのように……! なりたい……っ!」
彼女は巨乳イエローこと堀スタイン。名前ほどではないが、Gカップの立派な胸をもつ、巨乳戦士である。
巨乳戦隊一の肉体派であり、元々は空手家を経て女子プロレスラーをやっていた。
巨乳レッドこと獏丹生玲子に憧れてキョニュレンジャーのオーディションを受け、合格したものの、現在の自分に満足していなかった。
憧れの巨乳レッドを超えるべく、日々鍛錬を怠らない。
今も他のメンバーが応接室で美味しくティラミスを頂いている中、堀だけはテレビ局内の道場で稽古を続けていた。
アラームが響いた。
『駅前に怪人出現! セクハラジョージです!』
「何っ……!?」
イエローは蹴りの動きを止め、スピーカーに向かって呟く。
「そいつは確か……。緒戦の時に、偽乳ゴールド千々梨優美が倒したんじゃなかったか!? ……死んだはずだ!」
イエローのスマートフォンが鳴った。出ると、局長の田良子坂だ。
『イエローっ! 一足先に行って怪人を足止めしておいてくれないか? 今、みんなティラミスで忙しいんだ!』
「了解!」
そう言うとすぐに外へ駆け出す。
「オレが一人で戦闘員ともども全員倒しておいてやるぜ!」
「巨乳イエローっ! ボイーンっ!」
外へ出ると走りながら変身だ。
掛け声とともに堀スタインの身体が回転し、黄色い星々に包まれる。
Gカップの胸がときめくように揺れ、そこから黄色いビニールのような波が、彼女の身体を覆って行く。
たった5秒で変身は完了した。
「巨乳〜っ……、イエロー!」
弾けるように揺れる胸をテレビカメラに見せつけると、急いで駅前に向かってまた走り出した。
駅前では既に別の戦隊が戦闘員達と戦闘を開始していた。
イエローは一瞬立ち止まり、声を上げる。
「貧乳戦隊おっぱいナインジャーZじゃないか!」
そして心配するように、また駆け出した。
「キミ達じゃ無理だっ! その貧乳では……! 我々に任せろっ!」
しかし、巨乳イエローは知らなかった。貧乳戦隊の、強さを。
「はあ〜っ!」
貧乳イエロー平野ぺたの強烈なキックが戦闘員5人をまとめて吹っ飛ばした。
「……!」
声は聞こえなかったが貧乳ブルーこと微風ユレンの流麗な動きが戦闘員5人をまとめて切り裂く。
「えーいっ!」
小さな小さな貧乳ピンクこと鬱布瑛華の身体が弾丸のように飛び、戦闘員5人の身体をまとめて貫く。
「ホホホホ!」
貧乳グリーンこと千々梨マリアがムチを振るい、戦闘員5人をまとめて薙ぎ倒す。
「やあっ!!」
圧巻は貧乳レッドこと千々梨優美の強さであった。
その動きは正拳5段突きに見えた。それが戦闘員12人をまとめて吹っ飛ばした。
「こ……、コイツら……強いっ!」
巨乳イエローこと堀スタインは思わず立ち止まり、呟いていた。
「一人一人なら、間違いなくオレ達よりも……!」
そして、疑問を口にした。
「……なのになんで視聴率低いんだ?」




