貧乳レッド、その強さ
貧乳戦隊一行は日本に帰国していた。
漉王老師も一緒だ。熱原が破格の契約金で引き抜いたのだった。
ブラック・キギョーと巨乳戦隊の戦いをモニターで見終わると、漉王老師が呟いた。
「なんというボインボイン!」
「これは……やりすぎだ!」
イエローこと平野ぺたが批判する。
「Zカップはやりすぎ!」
「ああ……。ここまで来ると、もはやおっぱいではなく、腫瘍だな」
熱原はそう呟くと、貧乳レッドを振り返った。
「しかし、ウチのレッドにも、あのぐらいチートレベルの強力な技を身につけてもらいたい」
「ええっ!?」
無理です、というようにレッドが首を振る。
「みんなの貧乳パワーを集めてパワーアップできるように、おまえもなるんだ」
「でっ……でも……! 貧乳パワーなんか集めたら、かえってちっちゃくなって、マイナスになっちゃいそうですよ」
「「「「それはない」」」」
残りのメンバー4人が怒ったように首を振る。
「しかし、向こうのレッドがいかにZカップ化できるとはいえ、それも仲間の力あってのもの。所詮は合体技じゃ」
漉王老師が白ひげをいじりながら言う。
「単独の力ではウチのレッドのほうが強い。違うかね?」
「とはいえ、Zカップ化によってそれを超えられてしまうのは事実です。巨乳レッドこと獏丹生玲子のパワーは、チートだ」
「チー牛……」
ピンクが呟く。
「それ、意味が違いますわ」
グリーンがにっこりツッコんだ。
「私……、特訓して、もっともっと強くなります」
貧乳レッドが拳を握りしめる。
「漉王老師! 私を強くしてください!」
「フォッフォッフォ」
漉王老師は白いひげをいじりながら笑う。
「ワシにできるのはおっぱいを大きくしてやることだけじゃ」
「「「なら、なんでついて来た!」」」
イエロー、ピンク、グリーンの3人に蹴られて漉王老師は嬉しそうだ。
「とにかく、我々も実戦経験をもっと積まなければ」
一布部長が言った。
「おっぱいは大きくなる必要はないが、経験は積むべきだ。怪人、現れてくんねーかな」
部長が言ったその時だった。
「駅前に怪人出現です!」
監視官の椎名心美の声がスピーカーから言った。
「しかも……。これは……っ!?」
駅前では戦闘員達がワラワラと躍り出て、通行人達にセクハラを働いていた。
その後ろから両手の指をワキワキさせて怪人が歩いて来る。
「ヒーッヒッヒ! 我が名はセクハラジョージ! いやらしいことをされたいのは、どいつだぁーっ!?」
それはかつて貧乳レッドによって倒された怪人セクハラジョージのキモい姿であった。詳しいことは拙作短編『醜い巨乳レンジャーの子』をご覧いただきたい。
「バカな!?」
モニターを見つめながら、熱原が声を上げる。
「あの怪人はウチのレッドが倒したはずだ! 死んだはずだぞ!?」




