美しき哉、友情
「わたくしたちは、10人……」
そのことばを遠くから受け取った玲子がうなずいた。
「そうね、優美さん! わたくしたち、巨乳戦隊と貧乳戦隊、もう敵対し合うライバル同士ではなく、共に闘うひとつの戦隊──美乳戦隊ビニュレンジャーでしたわね!」
「そうだよ、玲子さん」
優美が巨大ロボの中から出ながら、それに答える。
「10人みんなで力を合わせれば、きっと倒せる! あれほど強くて巨大な敵でも!」
「みんな! 行こう!」
堀スタインがそう言うと、窓から飛び降りた。
「うん!」
「勢揃いしよう!」
青野ヶ原虚無子も出階堂小心もうなずくと、続いて窓から飛び降りた。
「みんな! お待たせ!」
地上に降り立った巨乳戦隊の元へ、牛野陽奈が駆けつける。
「これで全員揃ったわね」
マリアがにっこり笑う。
「力を合わせましょう」
祈るようにユレンが手を合わせる。
「土偶と仲間だなんて嫌だけど、今はしょうがないわね」
瑛華が小心と並び、毒づきながらもファイティングポーズをとった。
「よーし! じゃ、みんなでキメるよっ!」
平野ぺたがリーダーのように仕切った。
「「「「「「「「「「美乳戦隊、ビニュレンジャー集結!」」」」」」」」」」
「いいな……」
ビルゲ将軍の目が優しくなった。
「おまえら……、いいぞ」
両レッドが並び、空へ指を突きつける。
「行きますわよっ! 田良子坂……もとい、社会悪のラスボス、ビルゲ将軍!」
「私たちに倒せない敵はないっ!」
堀スタインが少し不安そうに聞いた。
「……で、どうすんだ?」
青野ヶ原虚無子もオロオロしている。
「どないな必殺技出したらええのん?」
平野ぺたは自信たっぷりだ。
「巨乳パワーならあたしも貸しますよっ!」
微風ユレンの声が小さくなった。
「……」
ビルゲ将軍が10人の戦士を挑発する。
「なんだ? 所詮はにわか戦隊か? 何をしたらいいかわからんのか」
「美乳パワーよ!」
玲子がみんなに言う。
「巨乳も貧乳もなく、おっぱいはおっぱいだわ!」
「そうっ!」
優美が引き継いで、言った。
「おっぱいに貴賤はないっ! 私たちの美しき胸の力をひとつにして、あの敵を倒す!」
出階堂小心が、隣の鬱布瑛華の胸をチラリと見て、言う。
「そういえばあんたの胸……、ちっちゃすぎるけど、それが小学生っぽいイメージにピッタリで、美しいわね」
瑛華がにっこりと笑い、答えた。
「ありがとう。あんたも小学生みたいな見た目にIカップなんて、山形土偶みたいにアンバランスな魅力が美しいよっ」
「なんだと、このちび◯さ!」
「ありがとう、褒めてくれて!」
千々梨マリアが二人をたしなめる。
「あなたたち、喧嘩しないの」
牛野陽奈が諭すように言う。
「そうよぉ〜? 仲のよさがパワーを生むんだから」
貘羽生玲子がみんなに指示を送る。
「みんな! わたくしにみんなの美乳パワーを集めて! ……優美さん、来て」
「うん」
千々梨優美が玲子を正面から抱きしめた。
「柔らかいね、玲子さん」
抱き合う二人の間に、CカップとGカップの胸が柔らかく触れ合い、ひとつの複雑な花のごとき美しき美乳を作り出す。
それを見たビルゲ将軍は、思わず恍惚の声を漏らした。
「おお……。美しいぞ、おまえら」
そして満足そうに、語った。
「それでいいんだ。おまえらは巨乳も貧乳もなく、同じ美しきおっぱいをもつ仲間同士だったのだ……最初から、な。大人の男どものニーズに踊らされ、大切なものを見失っていたのだ。今こそ最大の社会悪、【男】から自由になれ!」
8人の美乳戦士たちが、その美しき乳房を尖らせ、その先端から2人のレッドにパワーを送る。
「行きますわよ、優美さん!」
「喰らえ! 超・必殺……!」
「「超・美乳キャノン!!」」
抱き合う2人の間から、煌めくピンク色の光の波動がビルゲ将軍めがけ、滝のごとき轟音を放ちながら、発射された。
「美しき哉……、友情」
嬉しそうにそう漏らしながら、ビルゲ将軍はかき消されていった。




