絶望と希望と
巨大ロボが完全に再起不能となったことを最終確認すると、優美は立ち上がった。
「みんな! ここでこうしてたって仕方がない! 外へ出て、闘うよっ!」
「闘う……って」
ユレンが気弱な声を出す。
「あの巨乳レッドさんのテラ・爆乳波が効かなかった相手に……? 勝てるの? わたしたち……」
「無理だよう……」
瑛華も弱々しく言った。
「ボクのダンガン・ピンクじゃ体に穴を開けるどころか、鼻の穴に穴を開けるのが関の山だよう……」
平野ぺたは後ろをむいて黙ってしまっていた。
「優美ちゃん」
マリアが聞く。
「何か……勝算が?」
「ないっ」
優美はきっぱりと言った。
「ないけど闘わなきゃいけないんだっ! 私たちは正義の戦士! 社会悪がそこにある限り、勝てる見込みはなくても闘わなきゃいけない!」
「負けるとわかってる闘いに挑むのはバカじゃないかしら?」
「バカでいいんだよ、お姉ちゃん」
優美は目の中に炎を灯した。
「それにあの巨人、私たちを試したがってるように見える。まるで我が子を千尋の崖から突き落とす獅子の親のように。それに応えてやろうよ」
「ゲーム……」
平野ぺたが、ようやく口を開いたかと思うと、勢いよく振り返った。
「ゲームの攻略みたいなもんだよね、これ? 難しいゲームほどやり甲斐があるってもんだよね!?」
「残念ながらゲームじゃなくて命を賭けた闘いだけど……」
優美はぺたのことばを否定しながら、うなずいた。
「でもゲーム気分ぐらいのほうがリラックスできる! そうだね、ぺったん! これは難しいゲームだと思って、闘おう! クリアーできないゲームなどない!」
「おー!」
ぺたが拳を突き上げる。
「あたしらスーパー戦隊、貧乳戦隊おっぱいナインジャー! 今まで強い敵どもを蹴散らしてきた! 今回も勝とうぜ、みんな!」
仕方がなさそうにユレンが立ち上がる。それを見てしょうがなさそうに瑛華も立ち上がった。
「確かに……。わたしたちはスーパー戦隊だもの。闘わなくてはいけないわ」
マリアの目に希望の光が灯った。
「勝てる見込みが0.000001%でもあるなら!」
「それに……」
優美が強く言った。
「私たちは5人じゃない」
ビルの上を見つめ、目の中の炎を強くする。
「私たちは10人の美乳戦隊、ビニュレンジャーなんだから!」




