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姉妹げんか

「千房! あなたってひとは……」

「何よ? なんか文句でもあるわけ? この牛乳女」


「たった1サイズあたしより胸が小さいからって、それだけの理由で闇落ちしよってからに!」

「あたしの勝手やないの。大体あたしがムカついたのは乳の大小やないわ。たった1サイズの違いで人を不要物みたいに扱った、この社会に対してよ」


「だからって社会を壊していいと思っちょーの!?」

「当たり前やん。ざけんな、社会。ざまぁ!」


「まだ『ざまぁ』を言うんは早いわ! あたしら巨乳戦隊があんたらの野望、打ち砕いたるわ!」

「あれを見てもそがなことが言えーかや?」


 千房が顔でむこうを指した。

 そこには巨大なたらこ色の大魔神のようなものが聳え立ち、哀しげな目で地上を見下ろしていた。


「あれが……あんたらのラスボス?」

「そーだよ。社会悪巨人ビルゲ将軍様がこのふざけた社会をぶち壊し、真っ平らにしてくださるのだわ! ふふふ……」


 陽奈は生唾を呑み込んだ。

 確かにあんな巨大なものにどうやって勝てというのか。

 巨人の背後にはどうやら戦って負けたらしき貧乳の巨大ロボが横たわっている。


「千房……。あたしたち、仲のいい双子の姉妹だったじゃない」

「そうね。昔はね。パパもママもあんたをえこひいきしたりしなかったからね」


「やめようよ、こんなの。喧嘩はやめよう。また昔のように仲よく、あんな巨人も引っ込めて……」

「今は敵同士だけんね! たかがおっぱいが1サイズでかいだけであんたのことをえこひいきしたこの社会をぶち壊してやーわ!」


「千房!」

「何よ、陽奈!」


「あんたはここであたしが倒す!」

「やってみぃや! あたしの懐に入ってるカプセルからは、無限にあたしが改造した怪人が出てくるようになっちょーけん、キリないぞ? 果たして社会悪に勝てるかな?」



「そこの双子」

 空からビルゲ将軍の声が轟いた。

「くだらん姉妹喧嘩はやめろ」



「くっ……、くだらないですって!?」

「ビルゲ将軍様。くだらなくはありません。今、ここでこのクソ妹をぶっ殺してみせて差し上げ……」



 千房のことばを遮ってビルゲ将軍が告げる。

「陽奈が到着して、これで巨乳戦隊全員が揃ったのだろう? これでフルパワーが出せるのだろう? 戦ってみろ、この私と」



 ビルの17階の窓のむこうで、リーダーの玲子が顔に絶望を浮かべているのが陽奈から見えた。



「それで勝てないなら真に絶望するがいい」



「ホルスタイン・ブラスターを使うわ」

 そう言って陽奈がいきなり白衣を脱ぎ捨てた。


「何よそれ! 自慢!?」

 千房が罵声を浴びせる。


 白衣を脱いだ下は黒いガーターベルトつきのセクシーな下着だった。Hカップの胸がどーんとその存在感を派手に揺らす。


「ビルゲ将軍! こっちを見なさい!」


 陽奈のことばを受け、ビルゲ将軍が物憂げに振り向く。

 陽奈のダイナマイト・ボディーをじーっと見た。

 このボディーに男が興味を激しく抱いた時、陽奈の必殺技『ホルスタイン・ブラスター』は自動的に発動する。乳房の先端から白い牛乳のような光線が敵めがけて飛び散り、それを食らった相手は陽奈の命令をなんでも聞く操り人形と化すのだ。社会悪組織ギゼンの秘密基地もこれで壊滅させた。


 しかし、ビルゲ将軍はまったく興味をもたなかった。


「私は男ではない」

 哀しげな目をして、言った。

「水産加工品にそんなものが効くとでも思ったのか」



 陽奈は項垂れ、地面に手をついた。






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― 新着の感想 ―
水産加工品にそんなもの > そういえば加工済みなんだな、ビルゲ。生じゃないのか。 つまり、もう死んでいる!?
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