巨乳レッド、その力
駅前に出現した怪人は、今までとは格が違っていた。
田良子坂プロデューサーがマイクに向かって叫ぶ。
「気をつけろ! 攻撃力も防御力もケタ違いだ! 何より組織的悪質暴力がひどい!」
真っ黒な巨体を見せつけ、怪人が名乗る。
「フハハハハハ! 我が名はブラック・キギョー! 小賢しいキョニュレンジャーどもよ! 今日が貴様らの解雇される日だと思え!」
怪人の前に巨乳戦隊がいつものように躍り出る。
しかし今日はみんな腰が引けていた。
「なっ……、なんて禍々しさなの!」
「まるで労基なんて存在しないかのような禍々しさ!」
「いい人そうな顔してるのに……」
「騙されないで! あの頬のキズをよく見るのよ!」
「働けい! 戦闘員どもよ!」
ブラック・キギョーの命令で、戦闘員達がいつものように襲いかかってくる。が、その強さもいつもと違っていた。まるで最早何も考えることもできず、働きすぎて身体がダメになることさえ厭わないようにドーピングされた、まるで、殺戮用奴隷マシーンだ。
「きゃあっ!」
ピンクが戦闘員に捕まった。
「ココロっ!」
「あんた、戦闘員なんかに捕まるんじゃないっ!」
戦闘員はグフフと笑うと、ピンクのIカップの巨乳を後ろから揉みしだく。
「仕方ないっ……! みんなっ! 震動波よ!」
レッドの声に、みんなで巨乳を合わせる。
「「「「ハァーッ! 巨乳震動波!」」」」
「ぎゃーーーっ!!」
戦闘員はズタズタに切り裂かれ、死んだ。
「ま……、まさか戦闘員相手に必殺技を使わないといけないとは……」
ブルーが疲れて一瞬、膝をつく。
「消耗してしまったわ! グリーン、みんなの治癒を頼む!」
レッドが急いで命令を送る。
「さすがのあたしでも戦闘中に全員の回復はムリよん」
グリーンが首を横に振る。
「くそぉっ! こうなったら決死の特攻だ!」
イエローがヤケになる。
「ダメよ! 命を粗末にしないで! 君死に給うことなかれ!」
レッドはそう言うと、覚悟を決めた表情になった。
「アレをやるわ! みんなの巨乳パワーを私にくれ!」
「や……、やるのか!」
「一人で全部背負う気ね!?」
「死なないでよ、レッド?」
「えーん、えーん。レッド、死なないで」
「ククク……。これで終わりだ、ただ乳がでかいだけの弱者どもよ」
ブラック・キギョーが最終奥義を繰り出してくる。
「くらえ! 最終奥義、『時間外労働週300時間暗黒波!』」
恐ろしく、不可能なほどの数字の、過酷な波動が5人の戦士を襲う。
ブルー、グリーン、イエロー、ピンクは目を瞑り、胸の一番尖ったところから巨乳パワーを飛ばし、それをレッド一人に集めた。
レッドのEカップのバストが、爆発のごとき光を発する。どんどん巨乳化していく。そのデカさと弾力で、ブラック・キギョーの奥義を、ばるるーん!と跳ね返した。
「何イッ!?」
ブラック・キギョーが、労基局に入られたように、たじろぐ。
「そ……、それは……!? 一体……何だ!?」
レッドの胸が、Zカップに膨れ上がっていた。
その重さ、なんと片方だけで20kg。
片方だけで小学校一年生ほどの重さがある。
その重みに死にそうになりながら、レッドはキッ! と敵を睨みつけると、胸を持ち上げた。
「宇宙の果てまで飛んで行きなさい! テラ・爆乳波!」
ボイイ〜ン! という音と共に、戦闘員達と一緒にブラック・キギョーが空の彼方へ飛んでいく。
「エイギョウテイシ〜!」という断末魔を残して。




