冬の光
世界はなぜ こんなにも美しいのだろう――――
冬の光が 僕を透明にするから?
つらら
きたかぜ しもばしら
あおぞら ゆきぐも なみきみち
風は 透きとおった体を吹き抜け 迷うように渦巻いて 午後の太陽を振り返る
海の輝く瞳を あなたのみつめる水色の活字を いつまでも探して
尾根道 稜線 遠い海、白い街――――
世界から僕は見えない
物語は僕を通り過ぎて消えていく
遙か彼方へと
けれど透明な僕は今、世界を抱きしめる
僕をこの世界にとどめてやまない 冬の、いとしい光を
僕がこの世界にもとめてやまない あなたの、明日の言葉を信じて