夏の夜のつれづれ
夏は、夜がいい。
窓の外の空気に涼しさが感じられるくらいの時間、おけらだかこおろぎだかがジージーと絶え間なく外を満たして、いつのまにか耳も満たしていることにふと気がついて、十秒くらい聴きふけって、またワープロソフトに意識をむける。
何がいつもそんなに忙しいの、と旦那は言う。
気がつくと、昼間は誰かの話し相手になっている。
そうでないときも、つい自分の思いつきを語りかけにいってしまう。
孤独が必要なパソコン作業は、昼間の家ではできないのだ、と、やっと得心がいったのは、つい最近のこと。でも、だからと昼間を寝てやり過ごす訳にもいかず。つい寝不足にむけてまっしぐら。
ああ、だからカフェでノートパソコンを広げたいのか。コロナで遠慮している場合ではないのかも。今まで罹患しなかったし、食べ物に気をつけてるから免疫には自信があるし、マスクは飲み物をすする瞬間しか取らないし。作業が捗らないで寝不足になる方が何倍も不味い。
といいながらも、今週もほとんどノマドには成功しなくて。そもそも、何のためかさっぱり思考停止している無闇な自粛で17時閉店が増えてしまって、どこにも寄れないでとぼとぼ帰ることも多く。昼間に作業できれば、この灯りは要らないんだよな、エコじゃない私。と、思ってみても、実際、はかどらないまま、今日も夜。
そろそろ、仕事の神様が降りてこないかな。またの名を集中力。
どうして今までやらなかったんだろう、できなかったんだろうって、思ってしまうくらい、急にはかどる時間というものが、存在する。
だいたい、夜に。
未明とかいうころまで降りてこないこともあるけれど、結局朝まで降りてこないこともあるけれど。締め切りまでにはだいたい降りてくる、人が変わったように、サクサクすんなりはかどる時間。そのための溜めが必要なんですよ、と言われたこともある。ダラダラぐずぐず現実逃避しているだけのようだけど、頭の隅はそれはもう色々なことを考えて、繰り返しシミュレーションして、準備してて、その集大成に過ぎないのだとか。
画面に意識をむける。
今したいのは、この原稿。脱線しないように目的を心の中で反すう。
ぱち。カタカタ。タタタタ、、、リズムがノってきて、そのうち、なにも聞こえなくなる。外の虫の声も、冷蔵庫の低いモーター音も、遠くの高速を走る車の風も、かすかに甲高く配線を電気が流れる音も。視界は、文字だけ。
・・・・・・文字だけ。終了、保存。
これでいいかな、あとはまた起きてから読み返そう。
もう充分!
はー、まだ未明と呼ぶには早い時間。
よかった、、、、寝られる。
ちょっとしか寝られなくても。
仕上がってホッとした気持ちが、しっかりした睡眠を誘うから大丈夫。Let's call it a day.