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お金持ちな少女

 3月の9日。つむぎは咲夜としきと共にUnreallyの街を散歩していた。

 街は活気があり都会の街並みだ。

 ここは中心都市オルベージュ区だ。

 Unreallyで最も人口密度が高く最初に訪れる区である。


 

「今日ってさーUnreallyサービス開始5周年記念らしいじゃん? なんかこころちゃんところで放送あるみたいだねー」



 両手を頭の後ろに組み能天気そうな表情でしきは言った。

 3月9日はUnreallyがサービス開始した日らしかった。こころのチャンネルでもそれを記念した告知が出されている。



「そういえばそうだね。そっかぁ、もうすぐわたしも一周年かぁ」



 つむぎは頷く。正確には5月にはじめたが4月のはじめにUnreallyへ行くことを決めたとするとだいたい一年近く経つことになっている。


 アンリアルドリーマーを見始めて二年。

 アンリアルドリーマーになって一年だ。



「そこの方たち、ちょっとよろしいです?」



 そんなことを考えているとつむぎたちは一人の少女に声を掛けられた。


 黒髪で紫の瞳をした少女だ。

 お嬢様風のワンピースを着ており、どこか気品を感じられる少女だった。



「なにか用かな?」


 

 つむぎは尋ねる。



「ええ、実はわたくしとある場所を知りたいんですの。ここらへんに60階建ての白いビルってありません? 建物は知っているんですけどなにせずいぶん久しぶりに行くもので……」


「うーんどこだろ?」



 首を傾げ考え込むつむぎ。すぐには思い付かなかった。咲夜の方に目を向けるが首を振り知らないようだった。


 UDreamスタジオもそれなりに大きな建物だがそこまで大きくはない。それにそこまで大きな建物がオルベージュ区にあるなら知られてるはずだ。



「あーそれってあそこかな?」



 考え込む二人とは裏腹にしきはどうやら思い付く場所があったようだ。



 ◇



「お、おおっきい……」



 つむぎはその全貌をみようとして言葉を詰まらせた。

 そこはオベルージュ区の隣にあるル・ポール区だった。

 白くて数百メートルを越えるビルはつむぎが今まで見てきたビルのなかで一番といっていいほど大きな場所だった。



「ここって?」


「Unreallyの開発会社シンギュリアの本社だねー」


「へぇ立派だねぇ」


 

 つむぎの疑問にしきが答える。



「でもここに来ても意味ないよー。関係者以外立ち入り禁止だし」



 つまらなそうに答えるしき。

 関係者以外立ち入り禁止ということは見てわかる。そのビルの周りは黒いフェンスで囲まれていた。


 正面には唯一入り口である門があり閉じてある。メニューでその場所を見てみると立ち入る権限のない領域ですと表示がされていた。



『承認ました。一式まな様どうぞお入りください』



「うそ、開いた!?」



 固く閉じてあった門はここに用事のあった少女、一式まなが近づくと容易く開いた。

 しきはそれを見て驚いていた。



「あぁやはりここであってましたわ」



 まなは驚きもせずただここが目的の場所だとあってることに胸を下ろし安堵していた。

 彼女はこの会社の関係者なのか?



「ここまで連れてきてもらったお礼をしないといけませんね」



 するとまなはしきに近づきあるアイテムを渡す。それは大きなダイヤモンドで出来た豪華な指輪だった。



「いいのこんなのもらってもー?」


「ええ、こっちの世界では無限に買える品物ですので心配いりませんわ」



 高そうな見た目をしたそのアクセサリーを見て驚くしきだがまなはたいしたものじゃないように言った。

 まなにとってはそれほど大切なものではないのだろう。



「ではわたくしはこちらで失礼いたします」


「うん、じゃあねまなちゃん」



 まなは門の中へ入るとスカートをつまみ上品に礼をした。

 やはり彼女は気品があり美しい。

 そして門は閉まった。



「いったいなんだったんだろ彼女……」



 彼女の正体を疑問に思う咲夜。

 それはつむぎも同じだった。

 立ち入り禁止のUnreally本社に一般人が立ち入りできるはずがない。


 しかし、しきはそんなことは気にせずもらった指輪を中指にはめて嬉しそうに見ていた。



「スッゴい豪華~なにこれなにこれ売ったらめっちゃお金になりそう! ……ってええええ!?」


 

 嬉しそうにしていたしきだが、いきなり驚いたように叫びだした。

 そしてガタガタと震え怖がっていた。



「どうしたの?」



 つむぎが尋ねる。



「に、に、に、におにおにお」


「なにが言いたいの?」


「こ、このアイテム鑑定してっ……」



 震えるしきに咲夜はなにが言いたいのか聞き出し二人はそのダイヤモンドの指輪を鑑定することにした。



 鑑定

 アイテム名:ダイヤの指輪

 売却価格:200000000ユノ



『二億ユノ!?』



 つむぎと咲夜は目が飛び出るかのように驚いた。あまりの数字のぶっ飛び具合にくらくらしそうだ。



「たしかUnreallyで惑星一個作るのって……」


「最低で一億ユノ」


「惑星二個分じゃん!? どうなってんのUnreallyのもんじゃないでしょこれ!? リアルで買えるもの課金してこっちに呼び起こさなきゃこんな金額にならないから普通!!」



 咲夜の回答に叫ぶしき。

 Unreallyは惑星を自ら購入し自分だけの惑星を作ることができる。その金額が一億ユノだ。

 それは基本人気Uドリーマーが稼いでやっと手に入るか、大勢が一緒にユノを出しあい協力して買える金額である。


 もしほかにあるとするならば現実世界のお金で買ったものをこっちの世界で売ることだ。


 UnizonなどのネットサイトとUnreallyは連携しており現実世界のものを買うとこっちに呼び出すことが出来た。その売値はリアル世界で買ったときの10倍の額のユノとして売ることができる。


 つまりこの指輪は実際には10分の1の価格だがそれでも2000万円。あまりにも大きすぎる金額だった。



「こ、これ売っても大丈夫なやつかな……ウチばれて逮捕されたりしないかな……」


「その時は……笑ってあげるよ」


「ひどい!!」



 震え怖じ気づくしきに雑な扱いをする咲夜。

 それを見てつむぎはあははと苦笑いをしていた。


 そして高いビルを見上げる。



 一式まな


 彼女は一体何者だろうか? 


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