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いたずら大好きジャックオランタン

「えいっ!」


「トリーートォ!」


 

 つむぎたちは順調に掃除機でおばけを吸い込んでいった。



「よしこれで三体目、おかしは……チョコレートケーキ!」



 退治したことによって手に入るお菓子はおばけによって様々であった。皿に乗ったチョコレートケーキをつむぎはアイテム欄にへと保存する。

 

 イベントが終わった後集めたお菓子を食べる予定だ。


 つむぎなお菓子をしまった後咲夜たちと共に街の中を歩く。



「みんなやっぱりハロウィンの仮装してるね」


「Unreallyはいつも個性的な格好の人が多いから仮装してるのか判別しにくいけどね」



 つむぎと咲夜が会話をする。

 街の中はお化けの衣装やカボチャをアクセサリーに纏った人がたくさんいた。そういった人たちもまた小型掃除機を持っておばけを退治している。


 この掃除機は今日限定の配布アイテムだった。



「にゃーん」



 すると猫の鳴き声が聞こえた。

 それは白い猫だった。尻尾は炎のようにゆらゆらと揺らいでいる。


 画面の表示には猫のおばけと書いてあり吸引可能と表記されている。



「ねこのお化けもいるんだね」



 つむぎは言う。すると一人その猫に近寄っていく人物がいた。



「きゃーーかわいいぃ」



 ねねこだった。さっきまでおばけが怖いと一匹も退治してなかったのにこの猫には近づき抱き上げたのだ。



「近づくといたずらされるよっ!?」


「あははっ、もうこら……これくらいじゃいたずらにならないわよっ」



 ねねこは猫に髪を引っ張られたり指をがしがし噛まれても笑って受け止めた。その姿はペットの猫とじゃれてる女の子そのものだった。



「ねねこちゃんはやっぱり猫が好きなんだね」


「そうよ、あっちの世界では猫を何匹も飼っているもの」



 つむぎはしみじみ思う。ねねこが猫の姿をしているのは猫が好きだから。その現れなのだと。


 なりたい姿になれる。

 そんなUnreallyだからこそできることだ。



「そっかそれじゃあもういい?」



 咲夜は掃除機の構え猫のおばけを吸い込もうとしていた。



「なんでこの流れで吸い込もうとするのよ! 人の心がないの!?」



 ねねこは猫を抱き上げて咲夜から離れた。



「だってこの子も一応おばけだし22時になったらイベントも終わって消える運命だよ」



 そうであった。このイベントは22時に終わり残ったおばけはその場で消滅する運命だ。消える事実は変わらない。



「それでも一緒にいるの! 消えるその時までかたときも離さないの!」


「にゃ~ん」


 

 まるで野良猫を飼うのを親に説得しようとしてる子供だった。猫は楽しそうにねねこの髪をいじっている。



「そっかならいいけど」



 やれやれと言った表情で咲夜は猫を吸い込むのをやめることにした。



「うぐっ……うえーーん」



 すると何処からか聞き覚えのある声が聞こえてきた。つむぎたちはその方向へと向かう。



「せっかく集めたウチのおかしが鳥のおばけにぃ……」


「アホーアホーー」


 

 そこにいたのはしきだった。しきは普段通りの服を着て倒れ込み鳥の群れにいじめられていた。


 しきの髪をつついたり、しきがもっていたお菓子を横取りして床に落として食べていたり散々な目に合っている。しきは涙目になっている。


 だが一つ、つむぎは指摘することがあった。



「いやしきちゃん、それただの普通の鳥だよ」


「え?」


「カァー、カァー」


 

 しきはよく鳥の群れを見てみる。それは白くもないお化けでもなんでもないただの普通のカラスだった。画面上にもなんの表記もされていない。



「えっじゃあおばけにいたずらされてたんじゃなくていつも通りただ鳥に苛められてただけなの……」



 するとしきの目からはハイライトが消えていく。



「あぁまたか……鳥たちはいつもウチをバカにして……ウチはいつもそうだ……誰もウチを愛してくれない……もういいや自爆しよ……」



 ネガティブに一気になっていったしきは呪文を唱えるかのように自爆発言をし胸の真ん中にあるコアがピコピコと光出す。

 その気配を察知してか鳥たちはばさぁっと空へと飛び逃げていった。



「ちょっ街中で自爆とかやめ──」



 ドカーーン!


 つむぎの静止も聞かずしきは思いきり爆発した。爆風があたりを舞う。


 幸いしきの爆発では街のオブジェクトに被害がでることは無かった。



「げほっげほっごほっ」



 しかしつむぎたちは被害がゼロではない。まわりは黒いもやで覆われ煙を吸い息苦しい。



「はースッキリした!」



 少したち煙が消えたあとしきはポジティブな性格にへと戻っていた。



「せっかくの衣装がダメになったらどうするのよ!」


「大丈夫大丈夫アンリアルだから~ふんふん!」


「理由になってない!」



 ねねこは猫を大切そうに抱きながら怒っていた。



「あはは、まぁこんな日もあるよ……うん?」



 苦笑するつむぎ。すると前方から謎の物体がこちらに近づいてくるのが見えた。

 じーっと奥の方を見てみる。

 そこにいたのは──



「トリーーーック!」


「大きなカボチャのおばけ!?」



 それは巨大なジャックオランタンにシーツがくっついたおばけがこちらへと向かってきてきた。



「あんなでっかいの倒したらきっと絶対すごいの貰えるでしょ! ウチが一番!」



 しきは自信満々に前に出てきた。

 そして向かってきたおばけに掃除機のスイッチをオンにし吸引しようとする。が──



「効いてない!?」



 吸引しようとしても大きすぎるのか全然効いてなかった。



「わたしたちも……!」



 つむぎと咲夜も掃除機を持ち吸い上げようとする。だが一切効いてない。



「トリーーーック!」


「うわぁぁぁ!?」



 シーツの中につむぎたちは飲み込まれた。シーツの中は真っ暗でなにも見えない。


 シーツの中から出てこれたときには異変が起きていた。



「目が回るぅ」


「水浸し……」


「鳥が生まれたぁ!?」



 つむぎは目を回らせ、咲夜は水浸しに、しきの頭には鳥の巣と卵がありすぐに鳥が羽化した。



「いったいどうなってるの。ボスイベントかなにか?」


 

 つむぎは不思議に思う。掃除機で吸い込めばおばけは退治できるはずなのに全然効いてないのはおかしかった。



「このままじゃあたしも……」


 

 ねねこは後ずさる。

 被害を受けていなかったのは幸い距離をおいて離れていたねねこだけだった。

 

 にゃーんとねねこを心配するように鳴く猫。


 これで終わりか……



「ここはわたくしに任せるでありんす……」



 その時だった。着物を着て刀を持った白髪の少女がねねこの前に現れた。



「ノーラちゃん!?」



 それはエレオノーラだった。

 エレオノーラは刀を抜くと一気におばけの方へと突進しこう言った。



「До свидания……さよならでありんす」



 そう言い残した後エレオノーラは刀をしまう。



「トリーーーック!?」



 一瞬の出来事だった。斬擊がおばけを襲い。

 大きな断末魔をあげかぼちゃのおばけは消滅した。



「倒した!? 物理攻撃効くの!? ってあれ?」



 しきが言いかぼちゃのおばけがいた方をみると一つの人影が見えた。



「あらら、ばれてしまったかい」



 そこには紫のフードを被った少女がいた。つむぎたちはその少女を知っていた。



「ひそかまーたあんた夏の時と同じことやってるの」



 呆れたようにしきは言う。彼女は鹿羽ひそか。

 つむぎたちのフレンドでありいろいろいたずらをするのが大好きな少女だ。



「何を言うかい、今日はハロウィンだよ。ひそかはただハロウィンを楽しむのにいたずらしていただけさ。いたずらする側に回っちゃだめとは言われてないからね。今日はハロウィンだからね」


「それ理由にいたずらしたいだけじゃん」



 うんざりするようにしきは言う。

 もはや彼女がしょうもないことをやっていることはしきにとっては日常茶飯事であった。



「まぁひそかはそういうことだからまた変装してハロウィンを楽しんでくるよ。ではまた」


「何人が犠牲になるやら」


「み、みんなも他の人からのいたずらには気をつけようね!」



 ひそかはかぼちゃのおばけに変身してその場を去っていった。平常運転だが迷惑な話だ。

 つむぎはエレオノーラの方を見る。



「ノーラちゃんありがとう!」



 つむぎは助けてくれたエレオノーラに感謝を言う。



「いえいえ、たまたま通りかかっただけでありんすから」


 

 エレオノーラは笑顔でつむぎたちに微笑む。

 


「実は喫茶雪月花も今日はハロウィンの特別仕様でありんすよ。なのでよかったらわたくしの店に来てくんなまし」


「そうだねせっかくだしノーラちゃんのお店で休憩しようか!」



 つむぎはエレオノーラの提案に乗り喫茶雪月花に行くことにした。


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